はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用
CoinPostで今最も読まれています

レンディング大手セルシウス(Celsius)、資金引き出しの一時停止を発表

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

Celsius Networkが出金サービス停止

最大年利17%を謡う暗号資産(仮想通貨)の貯蓄口座と、融資サービスを提供するCelsius Network(セルシウスネットワーク)は13日、「極端な市況」を理由に顧客資金の引き出しを一時的に停止することを発表した。

オンチェーン分析から、Celsiusが顧客資産と思しき大量の資産をDeFi(分散型金融)で運用してきた履歴が以前から指摘されていた。これまで直面した複数のハッキング被害と直近の「stETH」の価値下落により、同社が流動性危機に直面しているとの憶測が広まっている。

リリースによると、Celsius Networkは資金の引き出しだけでなく、仮想通貨のスワップ機能や口座間の送付機能も停止している。サービス再開の目途は示されていない。

当社は、顧客に対する義務を果たすために資産を保護・保持するという一点に集中して活動している。当社の究極の目的は、流動性を安定させ、出勤、スワップ、口座間の移動をできるだけ早く復旧すること。様々な選択肢を検討するために多くの作業があり、プロセスには時間がかかり、遅延が発生する可能性がある。

流動性危機とは

流動性危機とは、企業が引き出し可能な資産または換金しやすい資産が枯渇している状態。調達金利が運用金利を上回って(逆ザヤ)になる場合や、及び運用期間と調達期間の差が大きい場合に金利変動で逆ザヤになるリスクもある。

▶️仮想通貨用語集

Celsius Networkとは

連続起業家のAlex Mashinksky氏によって2017年にロンドンで設立されたCelsius Networkは、仮想通貨を預入れた投資家に高い利息を支払う貯蓄プラットフォーム。また、低金利の融資も行う業界大手レンディング・プロバイダー。

2018年3月のICOで約60億円(5,000万ドル)を調達、19年初旬に仮想通貨の取引・貯蓄・融資を行う総合ウォレットサービスをローンチ。最大年利(APY)17%と低い手数料、そして強力なコミュニティによる支持により急成長を遂げ、2021年2月時点にユーザーベース40万人強、預かり資産は1兆円強(90億ドル)を超えた(当時の為替レート)。

17%もの高い固定金利は、顧客から借りた資金を運用して収益の80%を貯蓄・借入の報酬としてユーザーに還元する形で実現する。公式FAQでは、流動性危機に陥らないよう、「すべての仮想通貨ローンが最大150%担保されている」と約束されていた。

CeFi(中央管理型金融)であるため、Celsius Networkの財務情報はDeFiプロトコルのようにブロックチェーン上で完全に公開されていない。しかし、Celsius名義のウォレットに紐づくオンチェーンデータからはその一部が垣間見れる。直近では、Celsiusウォレットからのイーサリアム(ETH)の出金量が増加傾向にあり、5週間程で流動性が枯渇する見方も出ていた。

Celsius Networkの流動性危機

Celsiusは以前から、DeFiを利用して顧客の預かり金でイールドファーミングを行ってきたと見られている。過去には、DeFiでの不正流出に巻き添え被害を受けた事案も伝えられている。

Celsiusは、21年6月のStakeHound事件で約90億円(7,000万ドル)、21年12月のBadgerDAO事件で約56億円(5,000万ドル)を失ったと見られている。

関連:仮想通貨レンディング大手Celsius、DeFiプラットフォームの不正流出で損失

関連:委託されたイーサリアム80億円相当のアクセス権喪失か、大手カストディFireblocksが告訴される

そして、おそらく22年5月のLuna/USTの崩壊でも、関連情報から少なくない規模の損害を被った可能性が指摘されている。

関連:USTディペッグ騒動の引き金とは、ブロックチェーン分析企業Nansenの調査レポート

Celsiusはさらに、445,000 ETHをリキッド(流動的)ステーキングプロバイダー「Lido」で運用していると分析されている。ここでステークされたETHは、イーサリアムの「The Merge」が成功して次のアップデートが完了する約1年後まで引き出すことができない。

こうしたリスクを反映して債権トークン「stETH」の価値はETH価格を5%下回る状況が継続している。さらには分散型取引所CurveのstETH市場の流動性が低下しており、スリッページリスクのために損失なしにETHにキャッシュアウトし難い状態となっている。

実際のところ、Celsiusの財務状況は定かではない。しかし、13日の顧客資金の引き出し停止は、これらの憶測に信憑性を持たせる。

取り付け騒ぎを防ぎつつ引き延ばしを図り、その間に方々から流動性を調達するための処置と考えると筋が通る。一部では、Celsiusが抱える大量のstETHを割引価格で買い取るための交渉がOTC(相対取引)で進められているとも伝えられている。

仮想通貨データベースサイト「Etherscan」によると、13日までの3日間に「Celsius」とラベリングされたイーサリアムウォレットからは約104,000ETH(約200億円)と約9,500 WBTC*(約300億円)が大手仮想通貨取引所に送られたことがわかっている。*ラップド・ビットコイン(イーサリアム・チェーン上で流通可能版のビットコイン)。

関連:イーサリアム関連「stETH」の価格乖離、その背景は

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
08/03 日曜日
14:00
今週の主要仮想通貨材料まとめ、BTCの継続的上昇停滞や推定5000億円のETH喪失の可能性など
前週比で振り返る仮想通貨市場の最新動向。ビットコインやイーサリアム、XRP、ソラナといった主要銘柄の騰落率や注目材料を一挙紹介。市場トレンドと関連ニュースを詳しく解説する。
11:00
週刊仮想通貨ニュース|トランプ政権の『仮想通貨黄金時代』報告書に高い関心
今週は、テスラのビットコイン売却による機会損失、トランプ政権による『仮想通貨黄金時代』報告書公開、金融庁による仮想通貨WG第1回会合開催に関するニュースが最も関心を集めた。
08/02 土曜日
13:30
OpenAI、1.2兆円を資金調達完了 汎用人工知能に関する協議も
OpenAIが新たに1.2兆円の資金調達を完了。経常収益が急成長する中、汎用人工知能(AGI)達成後のマイクロソフトとの技術利用権について協議を進めていると伝えられる。
12:00
ジーニアス法成立、サークル株に対する影響と今後の展望は
ステーブルコインUSDCの発行元サークルが米国で上場し、株価は急騰後に一時300ドル近くまで上昇。GENIUS法案の追い風もあり注目を集めたが、その後は調整局面へ。本記事では株価動向、成長の可能性、リスク、そしてUSDCの仕組みやDeFiでの活用方法を総合的に解説する。
11:15
米シャープリンク、約1.5万イーサリアム追加購入
イーサリアムトレジャリー企業シャープリンクが7時間で14933ETH購入。6月以降46万4000ETH蓄積し未実現利益2億ドル以上を記録。
10:30
DeFi教育基金が米上院に提案、クラリティ法案の4つの原則とは?
仮想通貨業界団体DeFi教育基金が、米上院の「責任ある金融イノベーション法」に4つの重要原則を提案した。分散型金融と従来型仲介業者の区別などを求めている。
09:50
メタプラネット、最大5550億円相当の優先株発行を検討へ
メタプラネットは仮想通貨ビットコインの追加取得のために、発行可能株式総数の増加や永久優先株式の発行を臨時株主総会に付議することを決議。永久優先株式の発行額は最大5550億円である。
08:43
ビットコイン一時11万3000ドル割れ、トランプ新関税発表などで仮想通貨市場に売り圧力=CNBC
トランプ大統領の関税発表などを受けビットコインが3%下落し一時11万3000ドルを下回った。イーサリアムやXRP、ソラナなども下落。専門家は健全な調整と分析。
07:15
ベッセント財務長官、「仮想通貨黄金時代」宣言 
ベッセント財務長官が仮想通貨黄金時代の到来を宣言。トランプ政権が168ページの包括的報告書を公開し、ビットコイン戦略的準備金やDeFi規制緩和を明記。
06:45
英金融当局、10月から仮想通貨ETNの個人投資家向け販売を解禁
英金融行為監督機構が2021年から禁止していた仮想通貨ETNの個人投資家向け販売を10月8日に解禁。FCA承認取引所での取引が条件、デリバティブ禁止は継続。
06:25
米SECの仮想通貨タスクフォース、全米10都市で巡回ラウンドテーブル開催へ
米SECのヘスター・パース委員率いる仮想通貨タスクフォースが8月から12月にかけて全米10都市を巡回。従業員10人以下の小規模仮想通貨プロジェクトとの対話を重視。
06:00
ストラテジーの「iPhoneモーメント」か、アナリストが目標株価を大幅引き上げ
世界最大のビットコイン保有企業ストラテジーの第2四半期決算を受け、ベンチマークとキャンター・フィッツジェラルドが目標株価を上方修正。新優先株STRCを「iPhoneモーメント」と評価し長期成長を予想。
08/01 金曜日
17:45
予測市場が示す2025年後半の仮想通貨相場展望
仮想通貨市場の未来について、現在もポリマーケットなどで予測が活発に行われている。本記事では、2024年に精度で注目を集めた予測市場が示す2025年後半の仮想通貨相場展望をまとめた。
16:30
韓国Four Pillars、Circle・a16z・S&P参加のTACにアジア初のリサーチ企業として加盟
韓国のFour Pillarsがアジアのリサーチ企業として初めてTACに参加。Circle、a16z、S&P Globalなど大手機関と共にトークン化資産の発展に貢献。仮想通貨市場の国際協力体制が強化。
13:45
9割の北米大企業CFOが仮想通貨利用を想定=デロイトQ2調査
デロイトの最新調査により、北米大企業の最高財務責任者の99%が、長期的に仮想通貨の業務活用を想定していることが明らかになった。投資や決済での利用をはじめ、サプライチェーン管理での利用が高く評価され、2年以内の導入に意欲を見せる企業も多い。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧