はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用
CoinPostで今最も読まれています

USTディペッグ騒動の引き金とは、ブロックチェーン分析企業Nansenの調査レポート

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

ディペッグ騒動の要因とは

ブロックチェーン分析企業Nansenは27日、USTディペッグ騒動の要因をオンチェーンデータから探ったレポートを発表した。

単独の攻撃者の動きでディペッグが発生したわけではなく、複数のユーザーが結集したことにより、UST価格の急落に至ったとの結論を提示した。

Nansenの調査によると、まず、Terraform Labsが発行するステーブルコイン「TerraUSD(UST)」の価格が下落を始めた7日、7つのウォレットが、Curve Finance上でUSTを他のステーブルコインと交換する大規模な取引を行ったと説明。

こうしたウォレット活動は2022年4月の時点でAnchor Protocol(UST預金に対して高利回りを提供するプロトコル)からUSTトークンの引き出しを開始していたことが判明。特に4月中旬から急増していた。

この動きの背景として、Nansenは「少数の市場行為者が、USTに関する脆弱性、特にUSTを他のステーブルコインとペッグしているCurveプールの流動性が低い点を利用して、アービトラージ(裁定取引)を行っていた」ことを指摘した。

裁定取引とは

裁定取引(アービトラージ)は、同一の価値を持つ投資商品の一時的な価格差(歪み)が生じた際に、割高なほうを売り、割安なほうを買い、その後、両者の価格差が縮小した時点でそれぞれの反対売買を行うことで利益を獲得しようとする取引手段。

仮想通貨市場では、特に流動性の低い銘柄ほど、異なる取引所における価格の差がつきやすくなるため、価格差による利益が求められ裁定取引が行われる傾向が高い。

▶️仮想通貨用語集

UST価格急落に至る動き

Nansenによると、今回のUST価格急落は、次のような順序で起きたという。

  1. TerraのAnchor ProtocolからUST資金が引き出された。
  2. Wormhole(ワームホール)のインフラを経由して、Terraからイーサリアムにこれらの資金がブリッジ(移動)された
  3. Curveの流動性プールで、大量のUSTが、他のステーブルコインに交換された
  4. ディペッグが発生

Nansenは、以上のような動きを見せたウォレットの一部は、このプロセスの過程で、中央集権型取引所と分散型取引所における価格差を利用し、裁定取引を行っていたとみている。

なお、Wormhole(ワームホール)とは、イーサリアム(ETH)やソラナ(SOL)、アバランチ(AVAX)、Aurora、ポリゴン(MATIC)を含む様々なブロックチェーン間で資産の相互運用(ブリッジ)を提供するプロジェクトである。

関連トークンブリッジ「Wormhole」、Cosmosエコシステムに対応

ディペッグとは

ステーブルコインの価格が、対応する通貨の価値から乖離することを指す。USTは米ドルと価値が1:1の割合で連動(ペッグ)するように設計されていたが、99%以上急落する事態が発生していた。

▶️仮想通貨用語集

複数団体の投資決定が介在か

Nansenは、ディペッグは、必ずしも悪意のある行為者によって引き起こされたものではないと結論している。

ディペッグを引き起こした可能性のある動きの背後には、複数の資金力のある団体が存在していたとみられ、こうした団体が、「リスク管理上の制約を守るため」、または「マクロ経済と市場の変動が激しい中で、Anchor Protocolに預けていたUSTを減らすため」に、行った動きである可能性を指摘する格好だ。

Nansenによると、Anchor Protocolから大量の資金を引き出した2つのウォレットのうち1つは、暗号資産(仮想通貨)レンディング大手Celsiusと関連するもので、ワームホールブリッジを使ったイーサリアムへの資金変換にも関与していたという。

なおCelsiusは、「LUNAとUSTの急落から利益を得てはいない」「ディペッグから利益を得るポジションを取ったことはない」とコメントしている。

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
07/07 月曜日
12:21
イーロン・マスク、新政党でビットコイン支持示唆 法定通貨への懸念表明
イーロン・マスク氏が新政党「アメリカ党」でビットコイン支持を表明。「法定通貨は絶望的」と発言し、暗号資産への姿勢を鮮明に。トランプ氏との対立から第3政党設立へ。2026年中間選挙で限定的な議席獲得を目指す戦略も明らかに。
12:15
UAE当局、トンコインによるゴールデンビザ取得プログラムを否定=報道
アラブ首長国連邦当局がトンコインのステーキングでゴールデンビザを取得できるプログラムを否定した。当ビザの要件で仮想通貨投資家は対象外と表明している。
12:07
ビットコイン高値圏で推移、取引所の流入・流出比率は3年ぶり低水準に
ビットコインは109,060ドルで小幅上昇。取引所流入・流出比率が0.9まで低下し、2023年弱気相場以来の最低水準を記録。昨年11月の米大統領選以降、約20万BTCが取引所から流出し、残高は280万BTCと7年ぶりの低水準となった。これは投資家の長期保有志向の強まりを示しており、短期投機から長期価値投資へのシフトが鮮明になっている。
09:22
米シークレットサービス、過去10年間で犯罪関連の仮想通貨580億円相当を押収
米シークレットサービスが過去10年間で4億ドル相当の仮想通貨を押収した。米国では豚解体詐欺による銀行破綻も発生しており捜査当局は仮想通貨が関連する犯罪への対処を進める。
07/06 日曜日
14:00
今週の主要仮想通貨材料まとめ、ETH価格特化の新組織誕生や米国初のソラナ現物ステーキングETF上場など
前週比で振り返る仮想通貨市場の最新動向。ビットコインやイーサリアム、XRP、ソラナといった主要銘柄の騰落率や注目材料を一挙紹介。市場トレンドと関連ニュースを詳しく解説する。
11:30
ビットコイン週次レポート:1600万円台を窺う展開、トランプ減税法案通過で相場底堅く推移|bitbankアナリスト寄稿
今週のビットコイン(BTC)対円相場は1600万円を窺う底堅い展開。トランプ減税法案上院通過で1520万円台で下げ渋り、ADP雇用レポート下振れによる早期利下げ観測で1570万円台に回復した。bitbankアナリスト長谷川氏は下降チャネル突破も11万ドル乗せに苦戦と分析。
11:00
週刊仮想通貨ニュース|BitwiseのBTC20万ドル到達予測維持に高い関心
今週は金融アドバイザーの推奨ポートフォリオ、Bitwiseのビットコイン20万ドル到達予測維持、アリゾナ州知事による押収仮想通貨の準備基金法案への拒否権行使に関するニュースが最も関心を集めた。
07/05 土曜日
13:40
トランプ一族の「World Liberty Financial」、WLFIトークンの取引開始を提案
World Liberty Financialが仮想通貨WLFIトークンの譲渡可能化を提案。早期支援者のトークンがアンロックされる見込み。
13:00
リップル社、シンガポールでXRPLの起業家育成プログラム開催へ 最大20万ドル資金提供
リップル社がシンガポールでXRP台帳基盤の起業家育成プログラムを開始する。RWAトークン化・DeFi・AI分野などに焦点を置き、最大20万ドルの資金提供を予定している。
10:20
1兆円相当ビットコインが移動も、構造的売り圧力は限定的か=Bitcoin Vector分析
14年以上動かなかった8万ビットコイン(約1.2兆円)が8個のアドレスから移動。仮想通貨取引所への売却ではなくOTC取引との見方も。
09:45
ロシア国営ロステック、トロンでステーブルコインRUBx発行へ 制裁回避狙いも
ロシア国営企業ロステックがルーブル建てステーブルコインRUBxを年内に発行する予定だ。決済プラットフォームRT-Payも立ち上げる。経済制裁回避の意図もあるとみられる。
08:20
Mercado Bitcoin、XRPレジャーで約300億円の資産トークン化計画
ブラジルの仮想通貨取引所Mercado BitcoinがXRPLで実世界資産トークン化を拡大。南米機関による最大規模の取り組み。
07:10
英上場ゴールド探査会社Hamak Gold、ビットコイン財務戦略導入で247万ポンド調達
ロンドン上場のHamak Goldが仮想通貨戦略転換を発表。カタール王族系投資ファンドも参加し株価6%上昇。
06:55
14年以上動かなかったビットコイン、合計1兆円相当が移動 警戒感高まる
14年以上動かなかった合計1兆円相当の仮想通貨ビットコインが、8個のアドレスから移動したことがわかった。当時からどのくらい価値が増えているのかも明らかになっている。
06:30
Ondo Finance、米SEC登録のOasis Pro社買収でトークン化証券市場に本格参入
RWAトークン化プラットフォームOndoが規制準拠のOasis Proを買収。米国投資家向けトークン化証券サービス拡大へ。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧