Celsius Networkが破産申請
暗号資産(仮想通貨)融資企業Celsius Network(セルシウスネットワーク)は13日、米連邦破産法11条(チャプターイレブン)に基づいた破産申請を行ったことを発表した。
申請書によると、同社の負債総額は推定10億ドル~100億ドル。手元資産1億6700万ドル(約230億円)を活用して、再建計画を組み立てるという。
Celsius Networkは、高利回りな預金金利を謡い、投資家に仮想通貨を預けさせる一方で、集めた資産をDeFi(分散型金融)や仮想通貨マーケットメーカー会社に貸し出して金利を稼いできた。
22年5月当時、同社の運用資産は120億ドル近くに上り、そのうち80億ドル強を外部へ融資していると公表していた。最大年利17%を謡う有利子口座は、170万人の顧客を有していた。
しかし、6月初めにCelsiusは「極端な市況」を理由に顧客資金の引き出し、仮想通貨のスワップ(交換)や口座間の送付を停止。
相場急落とヘッジファンドThree Arrows Capitalの債務不履行の影響で資金を回収不能に陥ったとする見方も出ていたが、過去数週間にDeFi融資プロトコルに合計8億ドル(1100億円)の債務を返済したばかりだった。
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連鎖倒産
Celsiusが行ったチャプターイレブン申請は、日本の民事再生法に似た再建型の倒産法制度。経営を継続しながら負債の削減などを実施し、企業再建を行う。申請後に債権取り立てが停止され、債務者は負債の整理に取り組み、原則120日以内に再建プランを策定する。
破産申請によると、Celsiusの債権者は10万人強に上る。特に、Pharos USDというファンドからは無担保で約8100万ドル(111億円)を借り入れており、最大の債務者となっている。その他、仮想通貨トレーディング企業Alameda Research、B2C2の名前も挙がっている。
Celsiusはリリースで「手元資金は1億6700万ドルあり、再建プロセスを進行する上で十分な流動性を提供できる」として、以下のように述べている。
事業を安定させ、ステークホルダーの価値を最大化する再建取引を完遂する機会を提供する。
顧客資産の出金については現段階で検討されていない。連邦破産法第11条の手続きに基づいて進められるという。
仮想通貨市場では、大手ファンドの債務不履行に端を発する連鎖倒産が相次いでいる。1日にシンガポールのヘッジファンドThree Arrows capital(3AC)が米国で破産申請を出した。3ACに約900億円(6.5億ドル)相当を貸していたVoyager Digitalも、5日に破産申請を提出。
その他にも、Three Arrows capitalの債務不履行の影響で、仮想通貨融資企業Genesis Tradingや、仮想通貨ウォレットや取引サービスを提供するBlockchain.comら業界大手が、数百億円規模の損失を被ったと見られている。
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