
猛暑によるマイニング活動制限が一因か
暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(BTC)のマイニング難易度が6月29日、約7.5%低下した。ここ数週間、ハッシュレートも急激に低下していたところだ。
ビットコインネットワーク・エクスプローラーMempoolによると、この難易度調整はブロック高903,168で行われ、126.41兆から116.96兆に減少している。
難易度が高くなるほど、マイナーは次のブロックを生成するために、より多くの計算能力と電力を必要とするようになる。
一般的にマイナーの数が増えると、ビットコインのマイニング難易度が上昇する。逆に、新しいブロックを見つけようと競争するマイナーの数が減ると、ビットコインのプロトコルはマイニング難易度を下げる仕組みだ。
難易度は2016ブロック(約2週間)ごとに自動的に調整され、実際にマイニングを行っているマイナーの数に関わらず、平均して10分ごとに新しいブロックが見つかるようになっている。
ハッシュレートとは
仮想通貨マイニングにおいて1秒間に実行できるハッシュ計算の回数を表す指標。単位は「hash/s」。「s」は「second=秒」で、「1秒間に何回計算ができるか」を表す。
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今回の調整前、ビットコインのブロックは平均よりも遅い速度でマイニングされており、10分38秒ごとに1ブロックが生成されていた。
マイニングのハッシュレートは、今月15日を境にして急低下していたところだ。15日のハッシュレートは約940EH/s(エクサハッシュ/秒)だったが、現在は約858EH/sである。

出典:Mempool
SNSでは、イスラエルがイランに攻撃した直後にハッシュレートが低下したとの報告が上がっていた。また、北半球が夏の時期になると、電力需要の高まりによりハッシュレートは下がる傾向にあるとの指摘もある。
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一方で、今回のマイニング難易度の低下は、米国テキサス州で猛暑が続く中、電力供給のためにマイナーの活動制限が行われたことが大きな原因とみられる。
BitInfoChartsによると、6月29日時点の平均ブロック生成時間は8分52秒であり、標準となる10分を切っている。このため、ハッシュレートが回復するにつれて、また難易度の上方調整が起こる可能性はある。
難易度調整後、ハッシュ価格は1PH/s(ペタハッシュ/秒)あたり1日約60ドルまで急上昇。より多くの収益を上げられるようになったマイナーに一時的な安堵感をもたらした。ただ、稼働を再開するマイナーが増えれば、またハッシュ価格が下がることが予想される。
ハッシュ価格とは、一定のハッシュ計算能力で1日あたりマイナーがどれだけの収益を期待できるかを定量化する指標だ。