はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX
CoinPostで今最も読まれています

巨額の資金調達を受けた米サークル社が描く「仮想通貨経済圏」実現への道筋

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

サークル社が描くお金の形
サークル社が新しいお金の形として描いているのは、「すべてのものがトークン化される社会」です。今年2月に大手取引所Poloniexを買収した目的は、トークン化社会の市場としての役割を担うものにしたい、というビジョンも含まれています。

サークル社が描くトークンエコノミー実現への道筋

2013年、「新しいお金の形」を作り上げるとのビジョンの元、アメリカ・ボストンを拠点に設立されたサークル社(Circle)は、創設以来、米金融大手のゴールドマン・サックスや中国インターネット検索最大手、百度(バイドゥ)などから、2億4600万ドル(約274億円)の資金調達に成功しており、その潤沢な資金を元に、4つの柱となるビジネスを築き上げてきました。

3つの法定通貨(米ドル、英ポンド、ユーロ)に対応した個人間決済アプリのCircle Pay、1ドルからの仮想通貨投資を可能にしたCircle Invest、25万ドル(2775万円)以上の大口仮想通貨投資家向けのグローバルOTCトレードデスクのCircle Trade、そして、大手仮想通貨取引所Poloniexの運営など、700万人のユーザーへ多角的な金融サービスを提供しています。

そんなサークル社が「新しいお金の形」として、描いているのは「すべてのものがトークン化される社会」です。

同社のヨーロッパ地域の担当責任者であるMarieke Flament氏は、次のように述べています。

我が社が描いているビジョンは、単にお金だけではなく、商品、貴金属、土地、家、贅沢品を含むあらゆる資産の所有権がブロックチェーン上のトークンとして、いつの日か、移動されるようになるというものだ。

 ただ、それが今から5年後になるか、10年後になるかについてはわからない。 しかし、我が社の基本的信条は、これが社会を変革するものになるということである。

サークル社が、今年2月に大手取引所のPoloniexを買収した際にも、共同設立者のSean Neville氏とJeremy Allaire氏は、ゆくゆくは、同取引所をトークン化社会の市場としての役割を担うものにしたい、というビジョンを語っています。

我々は価値あるものすべて表すトークンを取引できる堅牢で、多面的な分散市場を思い描いている。 

商品、資金調達、株式、不動産、芸術作品、音楽や文学などの創造的な制作物から、リース契約、時間ベースのレンタル、クレジットから先物などまで、あらゆる価値を持つものを対象として考えている。

しかし、そのような価値あるものが、トークン化された社会へ移行するためには、着実に数多くの段階をクリアする必要があります。

同社は、その公式ブログの中で、仮想通貨資産とブロックチェーン技術は、次世代のオープンインターネット社会に貢献する発明であるものの、安定した価格を持つ、交換と価値保存の手段が未だ確立されていないことが、その普及を阻害しているとしています。

ステーブルコインの重要性

そして、グローバルな規模での相互運用性が機能するためには、確実性があり、また一貫性を持った「トークン」が、強く求められている状況にあると分析しています。

その答えが、法定通貨、例えば米ドルと連動したステーブルコインであり、ステーブルコインこそが、ブロックチェーン上での決済をはじめ、スマートコントラクトプラットフォーム上に構築される証券などの金融契約を促進させる役割を果たすとしています。

前出のFlament氏も、法定通貨と連動したステーブルコインが、トークン化社会のビジョンを実現するのに、重要な役割を果たすと次のように述べています。

私たちは、トークン化のプロセスは確実に起こると確信しており、そのための適切な枠組みの構築を促進するため、努力している。 Circle USDコイン (USDC) が、トークン化のための大変重要な部分を占めることになるだろう。

サークル社は、この5月に、1億1000万ドル(122億1000万円)の資金調達に成功していますが、その際に、投資ラウンドを主導したマイニング大手のBitmainと戦略的パートナーシップを結び、米ドルに連動したステーブルコイン、「USDコイン」の開発に連携して取り組むことを発表しています。

そのUSDコイン開発プロジェクトが、CENTREと呼ばれるオープンソースのプロジェクトで、既に政府金融当局の規制に準拠した、承認済みの取引所や、既存の銀行などを会員として想定した組織を目指しています。

最終的には、ステーブルコインは、法定通貨とは紐付けられないものへと進化していくだろうと予見しながらも、現段階では、既存の金融システムをインフラの中に取り込み、共存しながら、次の段階へと一歩ずつ進む必要があると、現実を踏まえた認識を持っているようです。

仮想通貨とブロックチェーン技術がより広く一般に普及していくための、ステップの一つとして、今、仮想通貨業界でも、ステーブルコインに、注目が集まってきています。

新しい潮流

直近では、大手仮想通貨取引所Binanceも出資すると報道されたプロジェクト”Terra”、アルゴリズムを活用した無担保型の”Basis”、PayPal創業者のPeter Thiel氏やCoinbaseの支持を得た”Reserve”など、開発も活発になってきており、新しい潮流となりつつあるようです。

現在、最も普及し、取引されているステーブルコインは、テザー(USDT)ですが、その法定通貨の裏付けに対する正式な監査が、未だ行われていないなどの問題もあり、より透明性が高い、他の選択肢が次々と現れることは、仮想通貨業界にとっても大変歓迎すべきことだと言えるでしょう。

CoinPostの関連記事

ゴールドマンサックスにも支援されるCircle社がPoloniexを4億ドルで買収
米国のモバイル決済アプリ事業を展開しているCircle(サークル)が仮想通貨取引所のPoloniexを4億ドル(約428億円)で買収の発表が出ました。
世界をリードするバイナンスが発表した「ビッグニュース」3選|1000億円規模の仮想通貨ファンド、ほか
仮想通貨業界をリードする世界最大手取引所「バイナンス」は、Binance Labs開催のカンファレンスにて、10億ドル(1,000億円)規模のファンド設立や支援プロジェクト「Dache Chain」など、3つのビッグニュースを発表した。
CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
12/02 火曜日
18:36
AIがスマートコントラクト脆弱性6億9000万円分を発見 防御活用にも期待=レポート
Anthropicの研究で、AIエージェントがスマートコントラクト脆弱性6億9000万円分を発見。2025年3月以降の34件で460万ドル相当の攻撃に成功し、新たに2件のゼロデイ脆弱性も発見。攻撃収益は1.3カ月ごとに倍増しており、防御活用が急務に。
17:42
FRBが3年半にわたる量的引き締め(QT)終了、仮想通貨市場に流動性改善の可能性
米FRBが12月1日、3年半にわたる量的引き締め(QT)を終了した。約2.4兆ドル規模の資産縮小後、仮想通貨市場への流動性改善が期待される。2019年QT終了時はビットコインが短期下落後に上昇した経緯があるが、専門家は政策効果の遅延やインフレ動向など不確実性に慎重な見方も示している。
16:04
走行映像でGARコインを還元 ドラレコアプリ「セトラス」が地方創生DXモデルを始動
セトラスが市民のドラレコ映像を行政業務に活用し、専用暗号通貨「GARコイン」で報酬を還元する地方創生モデルを発表。実証実験に参加する自治体を3枠限定で募集している。
13:55
コインベースへの情報開示請求が過去最多の1.2万件、欧米で協力要請急増 実態判明
コインベースが2025年透明性レポートを公開し、60カ国以上から12,716件の情報開示請求を受領し、前年比19%増加となったと報告した。米国の件数がトップだが、米国外からの請求は53%を占め前年比2%増加した。
13:15
米FDIC、ステーブルコイン規制「ジーニアス法」運用規則案を12月下旬に公表予定
米FDIC代行議長がステーブルコイン規制「ジーニアス法」の運用規則案を今月に公表する予定だと表明。トークン化預金や仮想通貨業界のデバンキング問題についても対処を説明した。
12:29
カルシ、ソラナ上で予測市場トークン化を開始 仮想通貨の流動性取り込みへ
米予測市場カルシがソラナ上で予測市場契約のトークン化を開始。オンチェーン取引により匿名性が向上し、開発者のサードパーティ構築も可能に。評価額110億ドル、約3500市場を運営する同社は仮想通貨ユーザーの流動性獲得を目指す。
11:00
米トランプ政権の仮想通貨特命官サックス氏、利益相反報道を否定
米トランプ政権のAI・仮想通貨特命官デビッド・サックス氏がNYタイムズの利益相反報道を否定した。名誉毀損専門の法律事務所に対応を依頼し、倫理規定遵守を主張している。
10:40
ゴールドマンがイノベーター買収、ビットコイン連動ETFも取得で仮想通貨事業拡大
ゴールドマン・サックスがETF大手イノベーターを20億ドルで買収すると発表した。買収にはビットコイン連動ファンドQBFも含まれ、ゴールドマンの仮想通貨関連商品ラインアップが拡大。
10:14
リップル、シンガポールでライセンス範囲拡大 XRPとRLUSDによる決済事業を強化
リップルがシンガポール金融管理局から主要決済機関ライセンスの拡大承認を取得。XRPとRLUSDを活用した決済サービスを強化。アジア太平洋地域のオンチェーン活動は前年比70%増で、同地域での事業拡大を加速。
10:02
ビットコイン100万円幅急落、yETH流出事故で大規模清算|仮想NISHI
ビットコインは軟調な推移が続いている。1日には一時8万5,000ドルを割り込み、日本円ベースでも24時間比で100万円超の下落となった。背景には、イーサリアムが「フサカ・アップデート」を目前に控えロングポジションが積み上がる一方、Yearn FinanceでyETHの流出事故が発生し、ロングポジションの清算が連鎖したことがある。
09:20
リミックスポイント、12億円規模のWeb3関連事業投資を中止へ
リミックスポイントは、事前に予定していた12億円規模のWeb3関連事業投資の中止を決定。仮想通貨ビットコイン購入以外の調達資金使途を変更した。
08:40
ハッキング被害から3.7億円相当回収、ヤーン・ファイナンス
ヤーン・ファイナンスがyETH関連のハッキングで盗まれた資産のうち約240万ドル相当を回収した。回収作業は継続中で被害者への返還を予定している。
07:35
mNAV1倍割れでも「最後の手段」に、ストラテジーがビットコイン清算条件を明示
ストラテジー社のフォンレCEOがビットコイン売却の具体的条件を初めて明言した。株価が保有資産を下回り資金調達が不可能になれば売却も選択肢の1つとなる。
07:05
ストラテジー、約2240億円の米ドル準備金を確保
ストラテジー社は、優先株の配当と負債の利子の支払いのために約2,240億円の米ドル準備金を確保したことを発表。目的を説明し、仮想通貨ビットコインの買い増しも報告した。
07:00
チェーンリンク初のETF、NY証券取引所に上場予定
仮想通貨チェーンリンク(LINK)に投資する上場投資信託(ETF)が12月3日にニューヨーク証券取引所で取引を開始予定。NYSEアーカがグレースケール・チェーンリンク・トラストETFの上場を認証した。
通貨データ
グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧