はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX
CoinPostで今最も読まれています

恒大集団が米国で破産申請、中国経済への影響は? 仮想通貨・金融市場も警戒

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

恒大集団が破産申請

中国の大手不動産開発会社「恒大集団」は17日、米国ニューヨークの連邦破産裁判所に破産法第15章の適用を申請した。

政府による不動産業界の資金調達の締め付け、ゼロコロナ政策による国内の不動産市場の冷え込みが重なり、中国で多数の大手不動産開発企業が債務不履行の危機に瀕している。

この不動産危機は地方の財政にも影響を及ぼし、人民元の下落や輸出入の減少といった要因で中国経済が減速している。このような状況の中で、マクロ金融市場に下押し圧力がかかり、株価や暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(BTC)の連鎖的な下落のリスクが警戒されている。

恒大集団は、米国内にオフィスビルやホテル、そして米国企業の株式など、多額の資産を持つ。また、米ドル建ての負債も多く、為替レートの変動に大きく影響を受けるポジションにある。今回の破産法の申請は、米国の債権者からの法的措置や、米国内の資産の清算を防ぐ目的で行われた。

かつて恒大集団は、中国で2番目の売上高を誇る不動産開発業者だった。しかし、2021年に債務不履行となり、経営の再建を目指して再編を進めていた。2021年の最終赤字は約9兆円に達し、2022年には約2兆円の赤字となった。同年末の恒大の債務総額は約48兆円となっている。

関連:ビットコイン一時4万ドル割り込む、中国恒大グループ情勢とFOMCが最大の焦点に

中国経済の不透明感

中国の他の不動産会社も同様の状況に直面している。大手の碧桂園(カントリー・ガーデン)や中堅の遠洋集団も、今年上半期に巨額の赤字を発表している。不動産不況に関連して、地方政府は土地使用権の売却収入が大幅に減少。地方政府傘下のインフラ投資会社で債務不履行(デフォルト)懸念も浮上する。

中国人民銀行は、この状況を打破するために、15日に金利を0.15%引き下げたが、住宅市場の回復は依然難しい状況にある。中国経済は低迷が続き、7月の工業生産の成長率も前年同月比で3.7%と、前月の4.4%から減速傾向にある。これまで中国の急速な経済成長の背骨をなしていた不動産と製造業が失速しており、経済の構造的な下降傾向は長期化する様相を呈している。

注目されていた若年労働者の失業者数に関する統計が公表されなかったことも、景気への懸念をさらに強めた。中国の「ゼロコロナ」政策後の経済活動の低迷を示す象徴とみられている。

一方、米国の金融市場も、中国の経済状況を反映しており、碧桂園の米ドル債の利回りが3000%を超えるなど、デフォルトリスクへの懸念が高まっている。さらに、中融国際信託が運用する信託商品の償還リスクが問題視されるなど、金融市場で不安が広がる状況だ。

上海外国為替市場の人民元相場は下落し、1ドルあたり7.2989元と約15年半ぶりの安値水準(7.328元)に迫る状況だ。これを受けて、中国政府は国有銀行に対し、外国為替市場での介入を強化するよう指示している。

関連:国債と金利の関係、仮想通貨市場への影響について解説

チャイナショックへの警戒

国際通貨基金(IMF)によれば、中国は今年の世界経済成長の34.9%を占めるとの見通し。中国の成長率が1ポイント上昇すれば、近隣諸国の中長期的な成長率は0.3ポイント上昇するとされている。

中国の経済が鈍化する場合、その影響は米国株などの下落としても表れるだろう。実際、多くの国々は輸出の大部分を中国に依存しており、中国経済の鈍化は商品輸出国や観光経済を持つ国々にとって、グローバルな経済への大きな影響をもたらすだろう。

特に、自動車部品などの日米大手企業は、中国との大規模な製造関係を維持している。さらに、消費者向けブランドやインバウンド消費に関連する分野でも、中国の消費者市場に大きく依存する企業は数多く存在している。

また、金融市場の動向にも目が離せない。米株市場のリスクオフ局面を引き起こすと、米株市場と連動しやすい仮想通貨市場にも影響を及ぼす可能性がある。

18日の日経平均株価は中国経済の不透明さや利回り上昇を背景に下落となった。日経平均は0.55%安の31,450.7円で取引を終了し、週間ベースでは-3.1%の下落となっている。

17日の米国市場で、10年債利回りは一時4.328%まで上昇、昨年10月に付けた4.338%を上回れば、2007年11月以来の高水準となる。これが投資家のセンチメントに影響を与えているとみられている。

米株式市場では主要3指数が全面安。特に、ナスダック総合指数は3日間で-3.4%となり、今年の2月以来の大幅な下落率となった。18日のビットコインは続落し前日比-9.2%安の26,266ドル(381万円)、2カ月ぶりの安値をつけた。

関連:仮想通貨ビットコイン一時25,000ドル台に急落

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
13:45
「仮想通貨は正当なポートフォリオ分散手段」 機関投資家のアプローチに大きな変化=シグナム
スイスのデジタル資産銀行シグナムが発表した最新調査で、回答した世界の機関投資家の89%が仮想通貨をすでに保有し、仮想通貨を投機ではなくポートフォリオの有効な分散投資手段とみなしていることが明らかになった。
13:00
米上場ターボ・エナジー、ステラ・タウラスと提携 スペインで再エネ融資をトークン化
ナスダック上場のターボ・エナジーがタウラス、ステラと提携し、スペインでクリーンエネルギー融資のトークン化実証実験を開始。ブロックチェーン活用で744億ドル規模のEaaS市場参入を目指す。
12:45
JPモルガンとDBS、トークン化預金の相互運用で取り組み
JPモルガンとDBS銀行がトークン化預金の相互運用性フレームワーク開発に取り組んでいると発表した。KinexysとDBSトークンサービス間でリアルタイム決済の実現を目指す。
12:37
Bitcoin JapanのCEO、ビットコイン準備金基盤のAIインフラ投資計画など明かす 
エネルギー軸でビットコインとAIを融合 Bitcoin Japan株式会社(旧堀田丸正)は11日、臨時株主総会で商号変更を完了し、ビットコイン財務戦略の詳細を発表した。 関連:…
11:40
ソフトバンクG、エヌビディア株を9000億円で全売却、オープンAI投資へシフト
日本のソフトバンクグループが保有のエヌビディア株を全売却し、オープンAIへの最大400億ドル投資に充てる。ビジョンファンドは234億ドルの投資利益を計上し、純利益は前年比2倍以上となった。
11:15
XRP現物ETF、今週中に米国で上場見込みか 最終書類提出=専門家
カナリー・キャピタルがXRP現物ETFのナスダック上場に向けた8-Aフォームを提出した。専門家は明日か木曜日のローンチを示唆しており、米国で2つ目のXRP追跡ETFとなる見込みだ。
10:35
ビットコイン量子コンピュータ対策で議論白熱に、アドレス移行提案の是非めぐり
仮想通貨ビットコインの量子コンピュータ対策として、Taprootアドレスからの移行が提案され議論が起こった。量子耐性の獲得方法で専門家の見解が分かれている。
10:25
7年ぶりの米国ICO「モナド」、トークンセール開示文書を公開 評価額3800億円弱
モナド財団が11日、MONトークンのコインベース公開販売に関する開示文書を発表。FDV約3,750億円、最大75億トークンを販売。大口集中を防ぐ「ボトムアップ方式」を採用し、11月17日から販売開始。
10:10
ソラナ現物ETF、取引開始から10日間連続で資金が純流入
仮想通貨ソラナの現物ETFは10日時点で、取引開始から10日間連続で資金が純流入。この状況について、事前の予想を上回っているとの見方が上がった。
08:05
スタンダードチャータード、シンガポールでステーブルコイン決済カード「デカード」を支援
スタンダードチャータードがDCSカードセンターと提携し、ステーブルコインを実店舗で使用できるクレジットカード「デカード」の主要銀行パートナーとなった。
07:35
プライズピックス、ポリマーケットと提携 米国で予測市場参入
プライズピックスが世界最大の予測市場プラットフォームのポリマーケットと複数年提携を締結した。連邦規制下でスポーツやエンターテインメントに関する予測市場契約を提供し、米国での事業拡大を目指す。
07:02
メタプラネット、株主数が日本の人口の約0.2%相当まで増加
仮想通貨ビットコイン財務企業メタプラネットのサイモン・ゲロヴィッチ代表取締役社長は、同社の株主数が日本の人口の約0.2%相当にまで増加したと報告。過去数カ月で日本の株主数は66%増加したとも説明した。
06:30
TDコーウェン、ビットコイン年末価格を14万ドルと予想 ストラテジーのBTC追加購入数も試算
TDコーウェンがストラテジーの新規ユーロ建て優先株発行により6720ビットコインが追加されると予測した。ビットコインの年末ベースケース価格は14万1277ドルに据え置かれ、強気シナリオでは16万ドルを想定。
06:05
ブラジル中銀、仮想通貨と国際資本取引の新ルール導入
ブラジル中央銀行が仮想通貨取引および国際資本取引に関する包括的な規制を発表。サービス提供企業への許可制度や報告義務を設け、資本移動の透明化および安全性を強化する。
05:35
中国がアメリカによる20兆円ビットコイン窃取を主張、ルビアンハッキング事件で
中国国家計算機ウイルス緊急対応センターが、2020年のルビアンマイニングプールから127,272ビットコインが盗まれた事件について、米国政府による国家級ハッキング作戦だとする報告書を公表した。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧