ビットコイン相場と金融マーケット
22日の暗号資産(仮想通貨)市場。 ビットコイン価格は、前日比-2.17%の460万円(42,050ドル)で推移している。
日本時間朝方には40,000ドルを割り込み、39,600ドルまで下落する場面もあったが若干持ち直した。40,000ドルを割り込んだ場合、8月の安値37,000ドル前後のサポートライン(下値支持線)がどこまで機能するかが試金石となりそうだ。
ただ、足元はすでに売られすぎ水準にあり、デリバティブ(金融派生商品)市場のOI(未決済建玉)整理が進んだことから、投資家が一巡して需給面は良化。買い戻しや押し目買いも観測される。
ここ数日は、中国第2位の不動産開発大手「恒大グループ」のデフォルト(債務不履行)危機が顕在化。投資家のリスク回避姿勢が強まったことで、金融市場の動揺を招いた。これに伴い、信用取引の追証回避売りや手許資金の確保需要などから、米株市場のリスクオフ局面と連動しやすい仮想通貨市場も大きく売られている。
米大手仮想通貨投資企業GalaxyDigitalのMikeNovogratz氏は、仮想通貨市場への影響は、最も普及するステーブルコインである「テザー(USDT)」供給の多くが、中国企業、及び恒大グループの証券によって支えられていると信じている可能性もある」などと指摘した。
"One of the biggest worries in #crypto has been the stablecoin called #tether. Tether has performed very well through this entire thing but people have this idea that tether has got lots of their stablecoins backed by Chinese commercial paper," says @novogratz on #evergrande #btc pic.twitter.com/Wwb5wK3crP
— Squawk Box (@SquawkCNBC) September 21, 2021
これに対しテザー社は、「中国恒大集団のコマーシャルペーパー(CP)や証券をUSDTの裏付け資産として保有していない。現在保有するCPの大半は、(信用力の高い)A-2以上の信用格付を有するものだ」と声明を出した。ロイターが報じた。
テザー社は今年8月、USDTの裏付け資産を公開した際、約7兆円に及ぶ準備資産の内、約85%が「現金及び現金同等物、その他の短期預金、コマーシャルペーパー」で保有されていると発表しており、投資家の懸念を払拭する狙いがあるものと見られる。
関連:テザー社「USDTの裏付け資産に中国恒大集団のコマーシャルペーパーは含まれず」
コマーシャルペーパーとは
企業が短期で資金調達するために発行する無担保の約束手形のこと。社債に似ているが、通常、社債の償還期間は1年以上なのに対し、コマーシャルペーパーは1年未満である。金利は発行する企業の信用力で決まるとされる。
また、現在の市場の見立てについてMikeNovogratz氏は、「ビットコインは40,000ドル水準、イーサリアムは2,800ドル水準をキープできるかどうかが特に重要」との見解を示している。
"We held $40,000 overnight in #bitcoin and $2,800 in #ethereum. Those are very important levels for people to watch. As long as those hold, I think the market is in good shape," says @novogratz on #crypto during #evergrande. pic.twitter.com/hcKuhUssAq
— Squawk Box (@SquawkCNBC) September 21, 2021
恒大グループの行く末は
銀行融資や債務発行などで多額を資金調達してきた恒大グループの負債総額は、中国の名目GDP(国内総生産)の2%に相当する3000億ドル(約33兆円)規模まで膨れ上がっているとされ、金融市場にもたらす影響が懸念される。デフォルト(債務不履行)となれば、株価の連鎖的な下落のほか、中国内外の経済に下押し圧力が強まるおそれがある。
一方で、恒大グループ2008年に経営破綻した米大手銀リーマン・ブラザーズのような金融機関ではない一民営企業であり、中国政府による公的資金注入など緊急の救済措置がどこまで採られるかは未知数だ。
デフォルトに陥ったとして、分散化された不良債権額は吸収し切れるとの見立てがあるほか、当時とは異なり世界各国で大手企業の経営破綻に対するセーフティネットも整備されており、「リーマン・ショック」級の金融危機にまで発展するとみる専門家は少ない。
なお、日本経済新聞が新たに報じたところによれば、23日に期日を控える「債権利払い」の実施方針を発表した。
これにより懸念後退で市場心理が緩和され、株価や仮想通貨反発の機運をもたらした。一方で、一時的な延命措置に過ぎないとの見方も根強く、今後の金融市場への影響度や中国政府の対応など先行き不透明感は払拭しきれていない。
なお、この後開催が迫る米連邦公開市場委員会(FOMC)では、テーパリング(量的緩和縮小)の年内開始観測が広がりつつあるが、新型コロナウイルスのデルタ変異株が世界的に蔓延する渦中にある中で、具体的な発表は、今年11月のFOMCまで先送りになる公算が高いとみられる。
オンチェーンデータ分析
ArcaneResearchのレポートによると、1,000BTC(50億円相当)を超える大口保有者を示すビットコインの”クジラ”は、買い増しを続けている。 クジラの数は今年2月8日に過去最高を記録するも、その後-15%減少した。
しかしBTC価格が高騰した3月以降、クジラの数が減っている関わらず、保有BTC量は増加に転じた。 これは、さらに大きなクジラが保有量を増やし続けたことを示唆している。
また、DivXMaN(@crypto_div)氏は、オンチェーン分析から、主要仮想通貨取引所の合計準備金高(Exchange Reserves)が、18年9月以来の最低水準に達したことを指摘した。
#Bitcoin Accumulation Continues. Exchange Reserves reach lows not seen since Sept. 2018 for a bullish long term signal.
— DivXMaN (@crypto_div) September 20, 2021
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リザーブ量の増加傾向は、投資家が保有する仮想通貨を売却・交換するため、取引所へと送金していることを示唆する。
反対に、リザーブ量の減少傾向は、投資家が中・長期保有を前提にしたコールドウォレットへの送金や、OTC(店頭)取引を通じた売却を検討していることを示唆する。
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