- 仮想通貨のATMを規制か
- カナダのバンクーバーが仮想通貨のATMの利用禁止を検討していると報じられている。仮想通貨とそのATMがマネーロンダリングに利用されることを問題視。
バンクーバーが仮想通貨のATM利用禁止を検討
カナダの大都市バンクーバーが、仮想通貨のATMの利用禁止を検討していると、同国のオンラインメディアThe Starが報じた。
バンクーバーの警察は、特に時価総額が1位のビットコインのATMはマネーロンダリングに理想的な手段だと見ており、同市長のKennedy Stewart氏はATMの利用禁止を提案した。
一方で、業界の専門家や企業は、政府はまず現在規制が欠如する分野の取り組みを実施すべきだと反論している。
仮想通貨ATMの規制の経緯
2013年に世界初のビットコインATMはバンクーバーのコーヒー屋に設置された。
バンクーバーではビットコインをはじめとする仮想通貨のATMは、マネーロンダリングの規制の範囲外となっている。しかし、バンクーバー警察は2018年、その後2019年の2月に、仮想通貨とそのATMは詐欺やマネーロンダリングに使われていると指摘していた。
2019年の1月にはバンクーバー議会で、仮想通貨のATMを規制する条例を提案し、可決している。その条例には、ATMの設置を登録制にしたり、利用者にID認証(KYC)を課すなどの項目が含まれていた。
そして、5月28日に市長が議会で、ATMの利用を禁止する可能性があると警告した。現在は市の担当者が問題点などを精査し、その結果を2019年の10月から12月の間に提出することになっているという。
コーヒーショップやコンビニエンスストア、ショッピングモールなど、現在バンクーバーには60台以上の仮想通貨用のATMが設置されている。アカウント所有者はそこで、仮想通貨を現金に変えることもできる。ビットコインだけではなく、イーサリアムなど他の通貨も扱っているという。
なおカナダ全体の仮想通貨用のATMでは、1日の取引額が制限されていたり、ID認証なしで取引できる額に制限を設けたりしているが、その規定はばらばらだ。国全体でルールを統一すべきだとの声も上がっている。
銀行での引き出し金額に上限がある多くの人々にとって、一度により多くの額を取引できる仮想通貨のATMは便利だろう。仮想通貨業界において、技術の普及と規制強化のバランスは大きな課題だ。バンクーバーの事例判断にも注目が集まるだろう。