キラーアプリの基盤チェーンとなるシナリオ
米資産管理大手VanEck社は27日、ソラナ(SOL)について、2030年までの価格評価を『基準、弱気、強気』という三つのシナリオで予想したレポートを発表。イーサリアムのような優位性を達成すると仮定した強気のケースでは、トークンの価格目標は3,211ドル(約48万円)となると予想した。
レポートではソラナが、「1億人以上のユーザーを獲得するアプリをホストする最初のブロックチェーンとなる」というシナリオをモデル化した。
VanEckは、ソラナを「ブロックチェーン上で可能なことの限界に挑戦し、ユーザー体験の向上に尽力している」と高く評価。「次なるキラーアプリの成長を促す最高のチャンスを提供する適切な機能」を兼ね備えていると主張している。
次なるキラーアプリをホストする確率は、基盤となるブロックチェーンの機能と処理能力の高さに大きく左右されるが、ソラナの場合、データスループットにおいて、既存の他のブロックチェーン全てを上回っているという。さらに、次なる大型アップグレード「Firedancer」により、ソラナのデータ容量は、現在の10倍以上になると見られている。
また、ソラナは、「ローカル手数料市場」という新たな機能を開発。異なる種類のトランザクション価格を、需要に基づいて異なる価格に設定することを可能にするという。
三つのシナリオ
VanEckは、標準化された評価フレームワークをソラナに適用し、2030年の基準ケースとして、トークンを335ドルと評価した。
基準ケースでは、ソラナのスマートコントラクト市場シェアを約30%と仮定。また、収益化率はイーサリアムの20%との仮定した。
背景としては、イーサリアムがオープンソースのブロックチェーン全体で取引される価値の70%を達成した場合を想定しており、その際のイーサリアムの目標価格は11万8,000万ドル(1,766万円)とVanEckは設定している。
弱気のシナリオでは、市場シェアは5%、収益は410ドルにとどまり、トークン価格は10ドルと予測された。一方、強気のシナリオでは、市場シェアを80%と設定し、収益が51,786ドル、トークンの価値は3,211ドルと予測した。
大手企業との提携
レポートは、ソラナ開発チームが、コンセンサスに囚われない思考で、最高レベルの機能を備えたブロックチェーンを構築し、実験的なイノベーションに挑んでいると指摘。その一例として、ブロックチェーン使用に最適化された独自の携帯電話の開発を挙げた。
このようなユーザーを視野に入れた開発に対する意欲が高く評価され、ShopifyやVisa、Googleとの提携に結びつき、ソラナエコシステムの発展を後押ししているとVanEckは分析している。
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ソラナの課題
VanEckはソラナには、多くの課題があることも指摘している。
ソラナの収益性がその一つだ。
例えば、直近30日間の手数料による収益は126万ドルだったが、バリデータへの支払い等のブロックチェーン運営コストは同期間で5,278万ドルであり、大きな損失を出している。
VanEckによると、ソラナは、短期的には「収益性の欠如によって崩壊の危機に瀕する」ビジネスではない。しかし、長期的には、セキュリティコストをカバーするだけの需要を生み出す必要があることは否めない。
VanEckは、ソラナチームのビジョンと実験意欲は評価するとしながらも、そのアーキテクチャがチェーンの技術的な安定性に影響を与えるという事態も発生したと指摘。2022年1月から23年2月までの13ヶ月のうち、7ヶ月で障害が発生。23年2月25日には、ネットワーク機能が完全に停止するというダウンタイムが19時間近く続いた。
このような、機能停止は、ソラナが「実験的なシステム」を運営していることに起因するという。ソラナは数多くの改善をおこなってきたものの、その設計により、将来的にネットワーク障害が予期せぬ原因で発生する可能性があるため、開発チームは依然として、ソラナチェーンは「ベータ版」であると考えていると説明した。
ソラナはイーサリアムとは一線を画す技術的アプローチをとっているため、開発者の数や、プロトコルへの預入総額(TVL)、ベンチャーキャピタルや財団の資本面で、イーサリアムとの互換チェーンには大きく差をつけられていることも指摘された。
しかし、ソラナのコミュニティには、強いアイデンティティがあり、強力なサポーターであった FTXの崩壊に際しても、回復力を維持できたことは、エコシステムにとって非常に重要な要素だとVanEckは評価している。
VanEckは以上を総括して、「投資家のポートフォリオで、ソラナが意味のある割合を占めることは正当である」と述べている。
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