- イーサリアムが大型アップグレードの詳細を発表
- イーサリアムが次期大型アップデート「イスタンブール」の詳細を発表した。コードの変更の実施とメインネットの立ち上げとで2回に分けてアップグレードが行われる予定だ。
イーサリアムが大型アップグレードの詳細を発表
イーサリアムの次の大型アップグレード「イスタンブール」における6つの実装項目、また作業手順が発表された。
「イスタンブール」は2019年3月に行われたコンスタンティノープルに引き続く、大型アップグレードであり「セレニティ」(イーサリアム2.0のPoS実装)に向けた最終的な段階に位置するものだ。
「イスタンブール」は前半と後半に分けて行われる予定となっている。
前後半それぞれのアップデート内容
前半は、六項目のイーサリアム改善案(EIPs ※ Ethereum Improvement Proposalsの略)に伴うコード変更であり、現在の予定としては今年10月にイーサリアムのメインネット上で行われる。
内容としては、プライバシーコインzcashのチェーンとの相互運用性の向上、リプレイ攻撃など外部からの脅威に対して、ネットワークの安全性を向上させることが目的とされている。また、様々な改良によりシステムの効率性も上がる予定だ。
後半では、メインネットが立ち上げられ、改善案(EIPs)のさらなるテストと審議に焦点が当てられる。これには「ProgPoW」と呼ばれるマイニングアルゴリズムの変更案も含まれている。
アップデートの実施時期については、コア開発者のPéter Szilágy氏が、「一回目の「イスタンブール」は、数週間以内には実施できるが、二つの大きなEIPsを含む二回目については、より人員と時間を必要とするので、さらに後になるだろう」とCoinDeskのインタビューで明かした。
イーサリアムのテストネットである、Ropstenでの「イスタンブール」テストネットの起動は、当初今年の8月14日に予定されていたが、イスタンブールの一回目で行うEIPsの項目を最終決定するまでに、二週間ほど先送りする必要があるという。
今回の実装項目がコア開発者によって承認されたばかりなので、今年の9月4日に予定されていたテストネットRopsten上での、アップグレードバージョンの起動も後ろ倒しになる可能性がある。ディベロッパー達は来週の会議で、いつをテストネットの起動日にするか話し合うことに決めた。
メインネットでのアップグレードを行う前に、ネットワークの安定性と安全性をテストネットで検証することは重要であり、テストネットの立ち上げはメインネット起動前の最後の不可欠なステップとなる。
GethやParityなどの主なイーサリアム・クライアントの開発者は、一週間程度で、新たに承認されたEIPsをソフトウェアに統合し、テストネットワーク上で実装するのに備えるとみられる。
承認されたEIPsによる実装項目
イーサリアムのGithubページによると、現在承認されている改善案は以下の通り。
EIP-152: Blake2 コンプレッションの追加と F プリコンパイルの起動
EIP-1108: alt_bn128 プリコンパイルのガス代を削減
EIP-1344: ChainID オペコードの追加
EIP-2028: Calldata のガス代を削減
この他に暫定的に承認状態の改善案EIP-1884とEIP-2200がある。
イーサリアムの今後の主な予定
尚、イーサリアムにおける近い将来の主なイベントとしては、以下が挙げられる。
- 2019月10月4日メインネット・アップグレード(イスタンブール)予定日
- 2019年10月8日(火)-11日(金) 大阪でのDevCon5開催
また、イーサリアム2.0の初期段階にあたるフェーズ0の実装仮日程として2020年1月3日という提案が今年6月になされていた。
「ビーコンチェーン」を実装するフェーズ0では、投資家からも最も注目されているイーサリアムのコンセンサス・アルゴリズム変更(PoWからPoSへの移行)にも関わる開発工程であり、イーサリアム2.0における重要フェーズとなる。