米議員、ゲンスラー委員長を批判
米議会の金融サービス委員会、共和党トップのPatrick McHenry下院議員は11日、暗号資産(仮想通貨)取引所の管轄権限拡大を求めるSEC(証券取引委員会)のゲリー・ゲンスラー委員長を批判。民主党のエリザベス・ウォーレン議員に宛てた書簡の内容に対する声明を発表した。
McHenry議員はSECが証券取引所ではない仮想通貨取引所に対する管轄権限の拡大を求めるゲンスラー委員長の発言は米国内のイノベーションを阻む「露骨な権力掌握である」と非難。以下のようにコメントしている。
デジタルアセットの特性を考慮した、慎重な政策立案を行う必要がある。
米国でイノベーションと雇用創出を継続するためには、透明性の高いプロセスを経たスマートな政策が必要だ。ゲンスラーとエリザベス・ウォーレンとの間の裏取引はもう必要ない。
背景
民主党のエリザベス・ウォーレン議員は先週5日、SECに宛てた質問状に回答したゲンスラー委員長の書簡を公開。
ゲンスラー委員長はDeFi(分散型金融)プラットフォームや仮想通貨取引所の多数は未登録証券を提供している可能性があり、ステーブルコインなどもマネロンなどの違法行為に利用されている可能性があると指摘。
投資家保護の観点から、こういった取引プラットフォームに対する規制を強化していく必要があると説明していた。
また、直近2週間では米インフラ法案の仮想通貨条項を巡る議論が審議の時間を大きく費やしたため、米国の仮想通貨規制に対する注目度が高まっている傾向にある。
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インフラ法案の策定中でも、財務省のイエレン財務長官が仮想通貨支持派議員らが提出した修正案に反対していると報道されており、官僚が法案の策定に干渉しているとして一部から批判を浴びていた。
また、ウォーレン議員はSEC以外にも、イエレン財務長官宛てに仮想通貨の規制強化を求める書簡を提出しており、仮想通貨に対して厳しい姿勢を持つ。7月下旬には、ウォーレン議員がビットコイン(BTC)に対して否定的なコメントを述べたため、仮想通貨界隈で同議員がトレンド入りする場面もあった。
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声明を発表した共和党のPatrick McHenry議員は21年3月、米国内の仮想通貨規制を明確化するために法案1602を提出。CFTC(商品先物取引委員会)とSECが連携して一貫性のある規制ガイダンスを提供するためのワーキンググループ設立を行うという内容であった。
超党派の法案はすでに4月に下院で可決しており、上院での議決を待っている状況と説明した。McHenry議員はイノベーションを阻み、仮想通貨関連事業者を海外に流出させかねない過度な規制を仮想通貨業界に課すことに反対。
規制当局らは省庁間で一貫性のある姿勢を示すとともに、市場参加者などとも連携して、規制の不透明性をなくしていくべきだと呼びかけた。
今月4日にはCFTCのブライアン・クインテンツ委員がSECはコモディティに該当する暗号資産を規制する権限を持たないと発言。SECのゲンスラー委員長が「大半の仮想通貨は、有価証券に該当する可能性がある」と述べていたことに反論したもので、米規制当局間での見解の相違が改めて浮き彫りとなっていた。
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