
弱気市場をけん引する分野とは
米資産運用会社ビットワイズは16日、暗号資産(仮想通貨)市場についての2025年1~3月期のレポートを発表した。大幅な市場下落にもかかわらず、一部では史上最高を記録したセクターもあるとしている。
ビットワイズは、過去最高値となった例として以下を挙げた。
- ステーブルコイン市場:2,180億ドル
- 現実資産(RWA)トークン化市場:190億ドル
- ビットコイン先物取引高:8,000億ドル以上
- ビットコイン先物建玉:160億ドル
- 上場企業が保有するビットコイン:68万8千BTC
- イーサリアムおよびレイヤー2における取引数:12億件以上
まず、ステーブルコインの運用資産は前四半期比13.5%増の2,180億ドル(約31兆円)に到達している。2024年に、USDTやUSDCその他ステーブルコインによる総決済額は、Visaを初めて上回った。

出典:ビットワイズ
また、米国議会は7月までにステーブルコイン法案を可決すると予想されている。これにより、ステーブルコインの法的準拠について明確な道筋が開かれ、銀行や決済プラットフォームなど、複数の大手金融機関がステーブルコインを導入する可能性がある。
ビットワイズは、ステーブルコインの普及拡大は、DeFi(分散型金融)やその他の仮想通貨アプリケーションなど、隣接セクターにも利益をもたらすだろうと述べた。
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また、ビットコイン先物取引が活発になっていることは、機関投資家が仮想通貨への関心を高めていることを示唆すると指摘。4~6月期においては、上に挙げた分野が市場を牽引すると予想した。
ステーブルコイン支えるイーサリアム
イーサリアム(ETH)は1~3月期で45%下落したものの、普及を続けるステーブルコインを支えるインフラでもある。
ステーブルコインとは
価格が常に安定している(stable)仮想通貨を指す。ステーブルコインは暗号資産の一種で、BTCやETH、XRPなど変動性のある資産とは異なり、米ドルなどに裏付けられその価値を保つことが目的だ。米ドルの裏付けによるステーブルコイン(USDT・USDC)のほか、アルゴリズムを利用するステーブルコインもある。
3月には、イーサリアム上のステーブルコイン流通量は1,250億ドル(約18兆円)という史上最高額に達した。ソラナ(SOL)やトロンとの競合に関わらず、引き続きイーサリアムはステーブルコインの発行と取引における主要ネットワークとして採用されているところだ。

出典:ビットワイズ
ビットワイズによると、イーサリアムの平均開発者数は依然として業界で最も多い。また、イーサリアムL2プロジェクトのBase、Arbitrum、Optimismでのトランザクション数も増加傾向にある。
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