
相次ぐ大量売却
複数の大手仮想通貨投資企業がイーサリアム(ETH)の大量売却を行っていることが観測された。仮想通貨トラッキングサービスLookonchainの最新データによると、Galaxy Digitalは過去2週間で65,600ETH(約147億円相当)をバイナンスに送金する一方、752,240SOL(約138億円)を同取引所から引き出しており、ETHからSOLへの資産入れ替えを示唆する動きを見せている。
また、大手仮想通貨VCのParadigmは4月22日朝、5,500ETH(約12億円相当)を機関投資家向けブローカーAnchorageに送金した。Paradigmは過去1年間で累計96,955ETH(平均価格約3,110ドルで総額約423億円)をAnchorageに移動させており、これまでの傾向から、これらのETHがコインベースやバイナンスなどの取引所に移されて売却される可能性が高いと見られている。
大口保有者による売却は他にも観測されており、4月17日には、イーサリアムのICO時に76,000ETHを取得した休眠状態のクジラが3年ぶりに活動を再開し、3,000ETHを売却した。同じアドレスはさらに6,000ETHを新たなウォレットに移動させており、追加売却の兆候を示している。これに先立つ4月14日には、別のクジラが2万ETHをKraken取引所に送金していた。
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一方で、売り圧力が高まる中でもイーサリアムを積極的に購入する投資家も存在する。Lookonchainによれば、949日間休眠状態だった2つのウォレットが4月18日に活動を再開し、1,237万ドル相当のDAIを使って7,738ETH(約17億円相当)を購入したという。このように大口投資家の間でETHに対する見方が分かれている状況だ。
仮想通貨マーケットメイカー大手のWintermute(ウィンターミュート)は最近の分析で、ビットコインの回復力が高まっており、イーサリアムに好材料がなければビットコインがパフォーマンスで上回る状況が続くと指摘している。同社はイーサリアムの好材料として、次期アップグレード「Pectra(ペクトラ)」の実装や、イーサリアム現物ETF(上場投資信託)のステーキング要素の承認などを挙げている。こうした材料が実現するまで、機関投資家の間でイーサリアムの売却圧力が続く可能性がある。
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