
金に追随する可能性
2025年4月、ビットコイン(BTC)は83,000ドルから85,200ドルの範囲で変動しており、86,000ドルという重要なレジスタンスを突破することなく推移。これには、米国労働省が発表した失業保険申請件数が予想を下回ったことが影響しており、労働市場の堅調さが示された。これにより、市場の利下げ期待が後退し、リスク資産に対する短期的な投機的なセンチメントが抑制された。一方で、米国のパウエルFRB議長は「相互関税」政策がインフレを引き起こし経済成長の鈍化をもたらす可能性を指摘したが、トランプ大統領はFRBによる利下げの継続を求め、パウエル氏を批判した。
関連:トランプ大統領、パウエルFRB議長解任に初言及 「遅すぎる」利下げ判断を批判
また、2025年4月17日、金価格は3,357ドル(オンス当たり)の史上最高値を記録。Theyaの成長担当ディレクターであるジョー・コンソルティ氏は、金が新たな高値を記録した後、ビットコインはおおよそ100~150日以内にその高値を更新する傾向があると述べている。過去の事例では、2017年に金価格が30%上昇した後、ビットコインは2017年12月に19,120ドルの史上最高値を記録し、2020年の金価格が2,075ドルを突破した後には、ビットコインは2021年11月に69,000ドルに達した。

出典:ブルームバーグ
この相関性は、経済的不確実性が高まる時期における両者の補完的な役割によるもの。金は伝統的に安全資産として、インフレや金融緩和の兆候を最初に反映する一方で、ビットコインは供給量に限りがあり、分散型の特性を持つため「デジタルゴールド」として遅れて追随する。Galaxy DigitalのCEOであるマイク・ノボグラッツ氏は、この段階を米国経済の「ミンスキーモーメント」と称し、金とビットコインの同時の強気相場は、米ドルの弱さや35兆ドルに及ぶ米国の国債に対する懸念を反映していると指摘している。
また、長期的には、アナリストたちはビットコインに対して楽観的な見通しを示している。匿名アナリストのapsk32氏は、「パワーローカーブ時間等高線」モデルに基づき、ビットコインが2025年後半に放物線的な成長フェーズに入ると予測し、最大400,000ドルを目標にしていると述べている。この予測は、ビットコインの半減期効果(約4年ごと)が通常、12〜18ヶ月以内に強気相場を引き起こすという歴史的なサイクルにも基づいている。2024年4月の半減期イベントの影響は、2025年第3四半期か第4四半期に現れる可能性が高いとされている。

出典:apsk32
一方、JPモルガンのアナリストチームは、ビットコインについて「マクロ経済の不確実性が高まる中、投資家の『安全資産需要』が金価格を押し上げる一方で、ビットコインはその恩恵を享受していない」と分析している。
金ETFは2025年第1四半期に211億ドル(約3兆円)の純流入を記録し、ビットコインETFは3ヶ月連続で資金流出を記録している。市場の核心的な問題は、政策期待と内的な市場のモメンタムとの間に存在するミスマッチにあり、ビットコインの長期的な価値は規制枠組みや技術的なボトルネックによって決定されると結論付けている。
関連:回復基調のビットコイン、複数のアナリストが今後の相場展望示す