仮想通貨取引所の多くが証券法の対象
カナダの証券規制団体 カナダ証券管理者会(CSA)が新しく規制ガイドラインに関する通知を出し、国の仮想通貨取引所の多くがカナダの証券法の規制対象として該当することを示唆した。
木曜日に発表された最新の通知では、「証券法が仮想通貨の売買を仲介するプラットフォームにも適用される可能性がある。なぜなら仮想通貨に対するユーザーの契約上の権利自体がデリバティブを構成する可能性があるからだ」と説明した。
さらに、顧客の資金管理を継続して行う取引所は、証券またはデリバティブと見なされる可能性のある資産を必ずしも取引していない場合も含めて、証券法の対象となるという見方を示した。
一部例外としては、カストディ業務を行わない取引所、つまり顧客の資金を処理または管理しない取引プラットフォームが、それらに該当しない可能性が高いという。
仮想通貨の「即時引き渡し」がポイント
証券またはデリバティブと見なされる仮想通貨を販売していない場合でも、ユーザーに仮想通貨をすぐに引き渡すのではなく、実質上、その仮想通貨に対する契約上の権利や請求権をユーザーに提供しているだけのケースがあるが、カナダ証券管理者会はこれらのプラットフォームも一般に証券法の対象になると見解を示しているという。
こうした「即時引き渡し」の点からも、カナダの仮想通貨取引所の多くが、証券法の対象範囲になる可能性が高いのではないかと指摘されている状況だ。
今回の通知には、「即時引き渡し」の性質について広範に議論されており、引き渡しは最終的に、次のようなケースにで行われたと結論している。
「仮想通貨の所有権、および管理権を直ちにユーザーに譲渡し、その結果、ユーザーは仮想通貨をプラットフォーム(取引所)にさらに関与したり、依存したりすることなく、自由に使用、または別の方法で扱うことができるケースで、プラットフォームおよび、そのいかなる関連会社も、その資産について担保権や他の法的権利を持たないケース」
「想通貨の即時引き渡し後、プラットフォームのユーザーは、プラットフォームの破産リスク(信用リスク)、不正リスク、パフォーマンスリスク、または熟練度リスクにさらされることがないケース」
消費者保護が目的
今回のガイダンス内容は、識者の間では、顧客に損失をもたらさないためのものであり、消費者保護の観点から作成されたという見方が強い。
カナダでは、最近仮想通貨取引所が顧客資産に損失を与える事例があった。
2019年、カナダの取引所QuadrigaCXの最高責任者が突然死去したため秘密鍵が行方不明となり、顧客資産が引き出せなくなった。その後の捜査で、同取引所の杜撰な資産管理方法が明るみに出ており、現在もまだ米国およびカナダ当局による調査の対象となっている。
また2019年11月には、アインシュタインという名の仮想通貨取引所が閉鎖、1600万カナダドル(約13億円)以上の顧客資産が返却されないままだと報道されている。
カナダでは、今回のような消費者保護に関する面以外にも、様々な方面から仮想通貨業界の規制整備が進んでいる国だ。
最新の状況では、国内の仮想通貨取引所は、同国の金融監督機関であるFinTRACへの登録が義務となることをカナダ政府が発表。発効時期については、改正AML(マネーロンダリング防止)法と同時期となる2020年6月を予定している。
KYC(顧客確認)の徹底や、疑わしい取引を当局へ報告すること、コンプライアンス担当者の雇用も義務化される見込みだ。