セキュリティトークン発行には課題が存在
仮想通貨に積極的なことで知られるマルタ共和国の、金融サービス機構(MFSA)は、マルタ国内でセキュリティトークンを提供することに関する疑問点へのフィードバックを公開した。
「イノベーションを抑制しない方法で」どのようにセキュリティトークン・オファリング(STO)を行うことが出来るかについて、市場参加者より受け取ったフィードバックをまとめた。
2019年7月19日から約二か月に渡って、同国では、マルタの金融市場におけるブロックチェーンベースの証券の課題を特定し、またそれに法的根拠を付与するための協議が行われていた。
今回の報告は、MFSAが、国家機関、コンサルタント、法律事務所、テクノロジープロバイダーら18人の業界参加者から受け取ったフィードバックに基づくもの。特にEUの法律の枠組み内でのSTOの影響に焦点を当てた。
MFSAは、デジタル台帳ベースの決済が「実行可能なソリューション」を提供できると結論付けている。
一方で、欧州連合(EU)レベルで、証券集中保管機関(CSD)規則に関する変更がない限り、技術の導入には支障があるとした協議の参加者もいたという。
規制では、取引所に登録されている譲渡可能な証券を、CSDの帳簿に記録する必要がある。セキュリティトークンでは、 CSD仲介者を省くことが出来るといわれるが、そのことは関連する法律を変更せずには不可能ということになる。
(MFSA)セキュリティトークンの市場取引を開始する前に、幾つか解決しておかなければならない問題がある。
国際基準に合わせた標準設定へ
マルタ金融サービス機構(MFSA)は、昨年国際通貨基金(IMF)により、資金洗浄対策とテロ資金供与防止の欠如を指摘されており、その際、IMF側から緊急措置をとるための勧告も確認されている。
また、国際的な金融規制機関である金融活動作業部会(FATF)の「グレーリスト」に掲載される可能性についても述べられていた。
MFSAの戦略、政策、イノベーション担当最高責任者であるクリス・ブッティジーグ氏は「私たちは基準を引き上げ、(資金洗浄などを防ぐ)標準があることを確認する必要がある。また、国際機関に、私たちは真摯に、財務監視プロセスや法執行に取り組んでいると納得させる必要がある」と地元メディアのインタビューで話した。
MFSAは最近、銀行監督、金融犯罪コンプライアンス、および行為監督における新たなリーダーを採用しており、この分野で豊富な経験を持つ3人の英国人を含む。
このことは、マルタが欧州中央銀行の勧告に、さらに足並みを揃える意味を持つという。