新型コロナで急速に広がるテレワーク、ブロックチェーン技術で問題解消へ

テレワーク導入にも様々なハードルが存在

新型コロナウイルスの流行を受けて、日本政府も対策の一つとしてテレワークの推進を打ち出している。導入においては様々な課題もあるが、ブロックチェーン活用が突破口となる事例を紹介したい。

安倍総理は2月29日の記者会見で「感染拡大防止の観点からも、テレワークなど、IT技術を活用しながら、社会のあらゆる分野で遠隔対応を進め、未来を先取りする変革を一気に進める」ことを宣言した。

従来より、政府は「働き方改革」の一環として、新しい働き方モデルの一つである、テレワークを推進していたところであり、その動きが新型コロナ危機により加速している。

新型コロナウイルス感染症対策本部より出された「新型コロナウイルス感染症緊急対応策-第2弾-」において、テレワークを強力に推進する方針が決まったことも踏まえ、厚生労働省を始め各省庁も関連施策の導入を始めている。

それに伴い、一般社団法人日本テレワーク協会のホームページでも、テレワーク導入への助成金や、IT企業が提供する支援プログラムを各種紹介している。

とはいえ、すべての企業がテレワークを円滑に導入できるわけではなく、様々な問題点が浮かび上がってきている。

日本特有のハンコ文化問題や情報漏洩リスクも

ハードルの中には、日本企業特有の「ハンコ文化」や、情報漏洩の問題がある。

首都圏のIT企業など約30社が参加する「TDMテレワーク実行委員会」によると、テレワークを行っていても、9割の会社では押印をするために出社を行っているという事実が明らかになった。

日本の慣行では、他社との契約書や、社内の経費精算書など、重要書類は紙で作成され、担当者数人のハンコが並ぶことが非常に多い。普段はリモートで自宅から仕事をしていても、捺印のためだけに、定期的な電車通勤を余儀なくされるという現状がある。

また、情報漏洩対策も課題となる。テレワークでは、個人が私用デスクトップやタブレットを自宅のネット回線に接続して仕事するケースが多い。オフィスのように不正侵入防止システムなどを配備した高いセキュリティ環境を用意することは困難だ。

このために端末への不正アクセス等による社内情報の漏洩リスクが伴う。

ブロックチェーンの解決能力

こうした問題には、すでにあるブロックチェーンを活用したソリューションを導入することで解決可能なものもある。

「デジタル印鑑」の開発事例

ハンコについては、ブロックチェーンによる電子署名で代替することができる。新型コロナ以前より、こうした試みは日本でも紹介され始めていた。

bitFlyer Blockchainの加納裕三CEOは昨年10月に、同社がブロックチェーンを使って個人が自分の情報を管理できるシステムを開発していると明かした。

仮の名称は「bPassport」で、ブロックチェーン上に氏名、生年月日、住所などの個人情報を登録、情報の提出が求められる場面で、それを提示できるという。

情報登録の際は銀行の情報や住民票など、信頼のおけるソースによって裏付けする。一度登録すれば、本人であることを証明する、印鑑証明のようなものとして利用し続けることが可能だ。まだリリース時期は明らかにされていない。

また、ブロックチェーン技術企業blockhiveも、ブロックチェーン先進国であるエストニアの電子署名をモデルとして「e-sign」(イーサイン)を開発した。

このサービスは「デジタル世界の印鑑」のような役割を果たし、従来の電子契約では決裁者が本当に署名した本人なのか確認できないという課題があったが、「e-sign」では、スマートフォンから利用できるIDアプリを用いて、ユーザーの身元確認を行うことができる。

使い方はシンプルで、パスポートや運転免許証など公的書類を用いてデジタルIDアプリを作成。契約書を作成して「e-sign」にアップロードし取引相手に送信、相手が署名すると通知される。

契約締結日のタイムスタンプも記録され、法人個人問わず、無料・無期限で使える予定であることにも注目される。同サービスはまだ本稼働していないが事前登録受付中である。

情報漏洩防止の導入事例

ブロックチェーンは情報漏洩防止にも役立つ。日本の事例としては、国内翻訳最大手の翻訳センターが、リモートで業務を行う翻訳家とのやり取りで、機密保持を強化するためブロックチェーンを導入した。

同社では社内翻訳家は在籍しておらず、外部の翻訳家に仕事を発注しており、情報漏洩のリスクについて更なるセキュリティの向上方法を模索していた。

同社が開発したシステムはブロックチェーンにより、翻訳家のパソコンの状態やウイルス対策ソフトの稼働状況、また翻訳文書に対して行われた操作を追跡。

複製・改変などで文書を持ち出そうとする試みを防ぐことができる。

近年、データ改ざんされる恐れがなく、情報を記録することが可能なブロックチェーンについて様々な分野で注目が集まってきたが、今回の危機が更なる導入事例へ向けて促がすきっかけとなるのは間違いないだろう。

新型コロナウイルスによる危機で、私たちの社会が直面し乗り越えなければいけない課題は多いが、リモートワークを始め新しい試みを促進する側面も確かにある。より暮らしやすい社会が構築されるきっかけとしたい。

CoinPostの注目記事

エストニア共和国が世界的なブロックチェーン先進国に 企業誘致に成功した背景とは
エストニア共和国は、デジタル社会とブロックチェーン導入の面では世界で最も進んだ国の一つに。すでに仮想通貨関連の事業を展開している国外在住の株主をもつ企業は、700を超えるという。
腕立て伏せで仮想通貨の報酬をゲット テレワーク中の健康維持で新たな試み
一日20回の腕立て伏せを30日続けることで、仮想通貨「Pepoコイン」で報酬が貰えるユニークなチャレンジが行われる。Pepoは最近、ビデオ通話のZoomと連携を行っている。


画像はShutterstockのライセンス許諾により使用