USDTの安定性を再評価
格付け会社のS&Pグローバル・レーティング(以下、S&P)は26日、テザー社が発行する米ドルステーブルコイン「USDT」に対する評価を、最も低い「5(弱い)」に引き下げた。
これは具体的には、1ドルの価値を維持する能力を評価したもの。これまでの評価は「4(制約的)」だったが、主に裏付け資産として保有する高リスク資産が過去1年間で増加したことを理由に評価を引き下げている。
今回S&Pは、過去数年間やこの1年間を見るとUSDTの価値は比較的安定しているとは述べている。一方で、準備資産で保有するビットコインの価値が循環供給しているUSDTの約5.6%に達していることを指摘した。
そして、これは準備資産の過剰担保マージンである3.9%を超えているとして、ビットコイン価格が下落した場合に、その価値の減少を完全には吸収できないことを示していると説明している。
その上で、ビットコインと他の高リスク資産の価値の低下が組み合わさることで、裏付け資産が不足することになりうると主張した。
一方で、高リスク資産へのエクスポージャーを減らすことで、評価が改善する可能性があるとも説明している。
エクスポージャーとは
投資家や機関の保有する金融資産のうち、価格変動リスクやカウンターパーティリスク等に直接さらされている金額や残高、比率のこと。
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情報開示の問題点
また、S&Pは今回、裏付け資産として保有する高リスク資産が増えていることに加え、情報開示が限定的であることも指摘した。
現在も裏付け資産の大部分は米短期国債と現金同等物であるとしつつも、カストディアンや取引相手、口座を保有する銀行の信用力に関する情報提供が限られていることを問題視している。
他にも、裏付け資産の管理やリスク選好度の不透明性、強固な規制フレームワークや発行体の破産に備えた資産の分別管理の欠如、主要な償還可能性に対する制限といった問題もあったと説明した。
今回のS&Pの評価を受けて、テザー社のパオロ・アルドイノCEOはXで「伝統的な金融機関向けに構築された古典的な格付けモデルは歴史的に、投資適格の格付けを与えられていたにもかかわらず破綻した企業に、個人投資家や機関投資家が資産を投じる事態を招いてきた」と批判している。
そして、テザー社は焦げ付いていない裏付け資産を持つ、金融業界初の過剰資本企業であると主張。また、これまで高い収益性を維持しているとも強調した。
なお、流通するUSDTの全ては米国債と米ドルによって裏付けられており、テザーが持つビットコインとゴールド(金)はあくまでテザー社自身の運用資産である。
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