「チョークポイント2.0」への懸念再燃
米メガバンクのJPモルガン・チェースが仮想通貨業界関係者の銀行口座を相次いで閉鎖している模様だ。The Blockによると、シェイプシフト(ShapeShift)のマーケティング・プロトコル関係責任者ヒューストン・モーガン氏は、JPモルガンが11月21日に自身のビジネス銀行口座を閉鎖し、個人口座も今週中に閉鎖すると通知されたと明かしたという。
カリフォルニア州・ロサンゼルスを拠点とするモーガン氏は、この措置が警告なしに行われたと指摘。シェイプシフトは非カストディアル型の仮想通貨取引プラットフォームで、分散型自律組織(DAO)としても運営されている。
The Blockによると、モーガン氏は21日に、JPモルガンから「追加情報が必要」で口座が閉鎖されるリスクがあるというテキストメッセージを受け取った。「突然のことだった。問題や不足書類、不規則な活動について連絡を受けたことは今までなかった」と述べた。その直後、ビジネス口座と個人口座の両方にログインできなくなった。モーガン氏はすぐにJPモルガンに電話し、一般サポート、ビジネスバンキング、口座審査などの部門間を約30分間たらい回しにされたが、明確な答えを得られなかった。最終的に同行の担当者に繋がり、口座閉鎖の決定は既に下されたと告げられたという。
モーガン氏のビジネス口座はシェイプシフトのDAO構造に関連しており、即座に凍結された。ビジネス口座には約4万ドル(624万円)が入っていたと話した。シェイプシフトのDAO運営では各ワークストリームが独自の組織として機能しており、マーケティング責任者としてワークストリームに関連する支払いと契約のためにビジネス口座を維持していた。
同氏は「擬似的なシェイプシフト口座」と述べ、月に30から50件の取引を積極的に行っていたと説明し、JPモルガンの担当者が通話中に個人口座も翌週に閉鎖されると警告し、凍結されてはいなかったため資金を移動するよう助言したと伝えた。モーガン氏はまだシェイプシフト関連の他の口座が影響を受けたとは聞いていないが、今後の内部会議で確認する予定だという。
先週、ビットコイン送金アプリ「ストライク」のジャック・マラーズCEOもJPモルガンが自身の口座を閉鎖し、ストライクへの一部預金を拒否したと明かした。銀行はマラーズ氏に対し、ストライクが「詐欺活動に参加している」と伝えた。マラーズ氏はXで「先月JPモルガンからバンキングサービスを停止された。奇妙なことだ。私の父は30年以上JPモルガンの顧客だった。理由を聞くたびに係の人間には『理由をお伝えすることは許可されていない』と言われた」と説明した。
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この一連の口座閉鎖は政治的反応を引き起こした。ワイオミング州のシンシア・ルミス上院議員は「オペレーション・チョークポイント2.0が遺憾ながら続いている。JPモルガンのような政策は従来の銀行への信頼を損ない、デジタル資産業界を海外に追いやる」と述べ、チョークポイント2.0を終わらせて米国をデジタル資産の中心地にすべきだと主張した。
チョークポイント2.0は、バイデン前政権が仮想通貨企業やその関係者に水面下で銀行サービスを拒否したとされる動きを指す。トランプ大統領は8月に仮想通貨業界への「ディバンキング」を禁止する大統領令に署名していたが、今回の事例は大統領令にもかかわらず口座閉鎖が続いていることを示している。
オペレーション・チョークポイントとは、流れが滞る難所を意味し、「1.0」は2013年に司法省が銃器販売業者など詐欺やマネロンのリスクが高いと考えられる業界への銀行サービスを制限した動きを指す。「2.0」は米国政府による仮想通貨業界に対する銀行サービスからの締め出しを指す。
今回の事例により、トランプ政権下でも仮想通貨業界に対する銀行の姿勢は変わっていないのではないかとの懸念が再燃している。仮想通貨関連企業の待遇については、マイケル・セイラー率いるストラテジーがMSCIやナスダック100などの主要株価指数から除外される可能性も浮上しており、業界全体が伝統的金融システムからの圧力に直面している状況が続いている。
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