FX取引にCordaブロックチェーンを導入
SBIホールディングスが、外国為替証拠金(FX)取引にブロックチェーン技術の活用を始めたことが日本経済新聞の報道で分かった。
米R3社のCordaを日本国内で初めて実用化した事例になる。
証券会社などは通常、外国の債券や株式のサービスを提供するために外貨を保有しておく必要があり、為替変動リスクを防ぐために、金融機関に為替ヘッジの注文を行っている。
その際に従来は、スタッフが目視で注文と決済内容に間違いがないかをチェックしていた。この部分にブロックチェーンを取り入れることで人的ミスを減らし、取引履歴が常時共有できるようにするという。
今回は、SBI証券とSBIリクイディティ・マーケットの間にCordaを導入するが、結果を見て今後はSBIグループ企業の外へも運用を拡大する見込みだ。為替ヘッジ目的の注文を増すことで収益基盤を固め、取引コストを抑える。
プライバシーを重視し、様々な業界で活用
Cordaは、米R3社が設計・開発した。日本では、SBIホールディングス傘下で米R3社との合弁企業であるSBI R3 JapanがCordaライセンスの提供や導入支援などを行っている。
ブロックチェーンのプラットフォームで、分散型台帳の特性を使用して送金やその他データ送信などを行うことができる。
エンタープライズ(企業)向けに特化しており、金融業界だけではなく、様々な産業で応用が可能だ。
銀行間取引も安全に行うことも可能で、プライバシーの確保も重視して設計されている。取引当事者間でのみデータが共有され、取引相手のアイデンティティを確保するために、ネットワークの参加管理を行う「アイデンティティ・マネージャー」や、公開鍵を発行・認証する「Trust Root」など、様々な要素が整備されている。
導入事例としては、製薬業界で臨床試験サンプル管理システムに活用する事例、貿易金融業界で信用状取引へ応用される事例、エネルギー業界で石油やガスのロイヤリティ支払に使用される事例などがあり、幅広い分野で応用可能。
昨年末にはCordaプラットフォーム上で稼働する貿易実務システム「マルコポーロ」の大規模な実証実験が行われた。25ヶ国に及ぶ金融機関と企業が参加し、参加者の大半が業界を大幅に改善する可能性があると回答。日本からは、三井住友銀行や、三菱UFJも参画した。
出典:日経新聞