センスタイムがデジタル人民元に協力
世界でも注目される人工知能のスタートアップ「センスタイム(SenseTime)」が、中国のデジタル人民元開発チームと提携することが明らかになった。
月曜日に、同社は中国のデジタル通貨(DC)と電子決済(EP)を開発している中国のデジタル通貨研究所との契約に署名したことを発表。詳細は明かされていないものの、中国の金融セクターにおける「リスク管理と運用能力」の向上に焦点を当てる予定だ。
センスタイムは香港を拠点として2014年に設立、中国のSNS大手Weiboやスマホアプリの「SNOW」で使用される顔認識技術や、Huaweiが採用する画像認識技術で知られている。2017年、5年間の長期共同開発契約を日本の本田技研工業と締結している。2018年にはアリババ・グループ・ホールディングなどから6億ドル(約640億円)を調達した。
中国デジタル人民元の進捗状況
中国のデジタル通貨は現在、深セン、西安、成都、蘇州という4つの地域でパブリックベータ版で試験運用されている。現地メディアによると、蘇州では5月に公務員が受け取る手当の一部(交通費手当)がデジタル人民元で支給されるという。
また、河北省の「雄安新区」で、政府関連の改革発展局が発表した内容によると、中国のマクドナルドやスターバックス、サブウェイなど19の小売企業がデジタル人民元の試運転対象店舗として招待された。
デジタル人民元は中国の中央銀行によって管理され、選ばれた商業銀行を通じて発行される見込み。アリババのAlipayやテンセントのWeChatなど、人気のある金融アプリを通じて中国国民が利用できるようになる。
金融サービス企業Huatai Securitiesのレポートによると、デジタル人民元に関連するデータの管理を担当するセンターが、3つ立ち上げられる見込みであるという。 通貨の使用を管理するセンター、通貨を使用する個人情報の登録を行うセンター、システムによって作成された財務データを分析するセンターの3つである。
AIと5Gモバイル通信で世界をリードすることを目指している中国は、テストが完了すると、中央銀行発行デジタル通貨(CBDC)を展開する最初の経済大国になる。デジタル通貨を発表するための公式タイムテーブルはまだ発表されていない。