はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX
CoinPostで今最も読まれています

資産運用世界大手バンガード、ブロックチェーンで資産担保証券の試運用を完了

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

資産担保証券のデジタル化プログラム

アメリカに本社を置く世界最大級の資産運用企業、バンガード(Vanguard)は、11日、ブロックチェーン・スタートアップ、シンビオント社(Symbiont)と共同で開発に取り組む、資産担保証券(ABS)の発行をデジタル化するブロックチェーン・パイロットプログラムの第一段階を完了したと発表した。

このプログラムで、バンガードは資産運用サービス大手のBNYメロンやグローバル金融機関Citi、米信託銀行State Street、およびABS発行大手との緊密な連携を通して、ブロックチェーン上でABS決済の全ライフサイクルをモデル化することに成功したという。

バンガードとシンビオントの提携

バンガードは、世界に日本を含む19の拠点を持ち、3000万人以上の投資家へサービスを提供しているが、その運用総資産は4月30日時点で5.7兆ドル(約608兆円)。 一方、シンビオントは2013年に米ニューヨークで設立された、金融市場のインフラ構築に主眼をおいたブロックチェーン開発を行うフィンテック企業で、昨年1月には米証券取引所Nasdaqの投資部門Nasdaq Venturesの主導で2000万ドル(約21億3500万円)の資金調達に成功している。この資金調達ラウンドには、金融大手Citigroupや仮想通貨投資会社Galaxy Digitalも参加した。

両社はブロックチェーン技術を活用した様々なプロジェクトで提携しているが、その関係は2017年に、インデックスファンド・データの収集プロセス合理化を、スマートコントラクトの活用でシンビオントが支援したことに遡る。2019年には、分散型データベースを介して、1.3兆ドル規模のファンドのインデックスデータが、データプロバイダーと市場参加者間で瞬時に移動するシステムが稼働した。 さらに、両社は同年、外国為替市場向けに、ブロックチェーン技術を利用した取引プラットフォームの開発に着手している。

ABS発行プロセスのデジタル化

今回のパイロットプログラムは、最終的に「現在の資本市場のインフラを変革し、自動化することで、市場参加者により良い結果をもたらし、コストを削減する」ことを目指しているという。

バンガードは、ABS発行プロセスをデジタル化することで、取引のスピードと透明性を高めながら、コストを削減し、リスクを最小限に抑えることができると主張している。ABS発行プロセスの合理化は、より効率的なビジネスモデルを資本市場にもたらすことにつながると考えているという。

バンガードのプレスリリースによると、シンビオンのブロックチェーン・プラットフォーム「Assmbly」とスマートコントラクトを組み合わせることで、「情報の流れが増加し、価格発見機能と流通市場の流動性が強化される」という。 さらに「すべての市場参加者に開かれた共通のインフラ」を利用することで、主要な企業活動の自動化が推進されると見込んでいるようだ。

シンビオントのMark Smith最高経営責任者は、ABS発行の実証試験の完了は、ブロックチェーン技術が資本市場のインフラを根本的に変えていく上で重要な一歩だと述べている。さらに「2020年は、市場参加者が初めて、台帳ベースの発行をライブで目にする年になるかもしれない」と今後の発展に期待をにじませた。

ブロックチェーンの可能性

ABSは、売掛債権やクレジットカード債権など、キャッシュフローを生み出す多様な債権や商業用不動産などの資産を担保として発行されているが、実際の発行には、原債権者をはじめ、融資会社、引受会社、債権回収代行業者など、関係者も多岐にわたり、その仕組みは単純ではない。 そのため、その複雑なプロセスを可視化し、合理化を促すブロックチェーン技術に注目が集まっている。さらにスマートコントラクトを組み込むことで、多くのステップを自動化することも可能になる。

一方で、金融サービス分野へのブロックチェーン導入に懐疑的な見方も存在する。例えば中央集権型の「単純なXML元帳の方がはるかに効率的だ」と主張するウォール街の投資銀行家もあり、金融サービスインフラ改革への道のりは必ずしも平坦ではないようだ。

しかし、ブロックチェーンの実際の導入事例が、確実に増加していることも確かだ。

今年3月、ブロックチェーン・スタートアップのFigure Technologiesが、ブロックチェーン上で、1億5000万ドル(160億円相当)の住宅担保ローンの証券化を完了したことが報道された。

また、格付け会社Fitch Ratings によると、ブロックチェーンを利用した証券化では、中国がリードしており、すでに複数のプラットフォームが独自に開発されているという。これまで、少なくとも8つのABS取引が証券化プロセスの一部にブロックチェーンを使用していると報告されている。

出典:Vanguard

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
11/25 火曜日
15:38
SEC、Fuseエナジートークンを証券非該当と判断 実用型トークンに新たな道筋
SECが英Fuse Energyの実用型トークンを証券非該当と判断し、ノーアクションレターを発行。DePIN分野の規制明確化が進む中、市場規模は190億ドル(約2.9兆円)に達し、前年比270%の急成長を記録。
13:54
「プレミアムで取引されるデジタル資産トレジャリー企業は少数に」ビットワイズ見解
ビットワイズCIOがビットコインなどを保有するDAT企業の今後を分析した。プレミアムを維持できるのは一部のみで、多くはディスカウント価格で取引されると予想している。
12:13
中国、ビットコインマイニング世界3位に復活か シェアの14%を占める=ロイター
ロイター通信によると、中国のビットコインマイニングシェアが2021年の全面禁止後に約14%まで回復し、世界第3位に返り咲いた。新疆や四川で余剰電力を活用した地下採掘活動が活発化。
12:01
JPモルガン、仮想通貨企業CEOの口座閉鎖か 「チョークポイント2.0」と波紋を呼ぶ
ビットコイン決済アプリStrikeのCEOがJPモルガンの口座を閉鎖されたと訴えている。仮想通貨業界への銀行サービス拒否が続いている可能性が浮上し波紋を呼んでいる。
11:44
グレイスケール、XRP・ドージコインETFを上場開始 管理手数料は初期免除
グレイスケールがXRP・ドージコイン現物ETFを11月24日にNYSE Arcaで上場開始。管理手数料0.35%、初回3カ月間または10億ドル到達まで無料。米国初の純粋なドージコイン現物ETFとして、キャナリー・キャピタル、ビットワイズに続く市場参入。アルトコインETF市場が急拡大中。
11:35
米ビットコイン現物ETF、4週連続で資金が純流出
米上場の仮想通貨ビットコインの現物ETFは、先週の資金フローが約1,914億円の純流出だった。これで週次としては4週間連続で純流出となったが、ポジティブな見方も上がっている。
06:50
金融庁、仮想通貨交換業者の責任準備金積立を義務化へ
金融庁は仮想通貨交換業者に対し、不正流出などの事案に備えて責任準備金の積み立てを義務付けることがわかった。金商法適用の議論が進む中、投資家保護を強化する。
11/24 月曜日
17:50
ブラックロック、ビットコイン投資の本質は「デジタルゴールド」 機関投資家が重視する“真の価値”とは?
世界最大の資産運用会社ブラックロックのデジタル資産部門責任者が、機関投資家がビットコインに投資する理由を解説した。「デジタルゴールド」としての価値保存機能が重視される一方、決済手段としての利用は依然投機的との見方を示した。
11:47
ソラナのインフレ率を下げる改善提案 今後6年で2,230万SOLの発行量削減見込む
仮想通貨ソラナのコミュニティがインフレ減少率を引き上げる改善提案を公開した。目標インフレ率への到達が6年から3年に短縮する見込みだ。
10:25
「仮想通貨市場の弱体化、背景にマーケットメーカーの機能不全」トム・リーが指摘
ビットマイン会長が仮想通貨市場の下落が続いている要因を分析した。10月10日の清算イベントがマーケットメーカーを機能不全にしていると見解を示している。
11/23 日曜日
14:00
今週の主要仮想通貨材料まとめ、ヴィタリック紹介のイーサリアム新ツールやXRPのステーキング導入案など
前週比で振り返る仮想通貨市場の最新動向。ビットコインやイーサリアム、XRP、ソラナなど主要銘柄の騰落率や注目材料を一挙紹介。市場トレンドと関連ニュースを詳しく解説する。
11:30
ビットコイン売られ過ぎでも反転せず、12月FOMCの据え置きが現実味を増す|bitbankアナリスト寄稿
今週のBTC対円相場は1400万円割れまで下落。ヌビディア好決算後も1400万円割れが続き、米雇用統計の強弱まちまちな内容が見通し悪化を助長。12月FOMCでの金利据え置き観測が強まる。
11:00
週刊仮想通貨ニュース|金融庁の暗号資産規制方針に高い関心
今週は、金融庁の仮想通貨規制方針、ビットコイン採掘割合の95%到達、ビットコインとイーサリアムの市況分析に関する記事が関心を集めた。
11/22 土曜日
13:45
ANAPホールディングス、企業向けビットコイン戦略支援「ビットコイン道場」を開始
ANAPホールディングスが企業のビットコイン活用を支援する継続型プログラム「ANAPビットコイン道場」の提供を開始した。会計や税務などの実務を専門家が包括的にサポートし、参加企業がコミュニティ形式で課題解決に取り組む仕組みを提供する。
13:02
コンヴァノがビットコイン戦略から本業回帰、AI・ヘルスケア事業に注力へ
コンヴァノが仮想通貨ビットコインを最大約2万BTC取得する計画を取り下げ、成長中の事業へ軸足を移す。業績予想を上方修正しており本業成長を重視する戦略転換となる。
通貨データ
グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧