CoinPostで今最も読まれています

リトアニア中銀、ネムブロックチェーン用いてCBDC発行 7月9日に先行予約開始

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

リトアニアでCBDC発行

欧州バルト三国の一国 リトアニアで大胆な「CBDC発行プロジェクト」が進行中だ。中央銀行であるリトアニア銀行(Lietuvos Bankas)が発行するデジタル通貨「LBコイン」が、今月23日の正式ローンチに先立ち、来週から先行販売が開始される予定だという。

中央銀行が発行するデジタルコインであるLBコイン、実は「デジタル・コレクターコイン」として、実際の使用を目的としたものではなく、ブロックチェーン上では法定通貨としての役割は果たさない。収集し、トレードすることでコレクションを完成させ、現物版である記念銀貨と交換して初めて法定通貨として使用可能になる。

ブロックチェーンは、ネムのブロックチェーンを用いており、発表当初は新チェーンにあたるカタパルト(現シンボル)を利用すると発表されていた。

LBコインを記念銀貨に交換するには

リトアニア銀行は2万4000枚のデジタルトークンを発行するが、各トークンには1918年の独立宣言に署名した20人のうち一人の肖像画が添付されるという。トークンは、署名した歴史的人物の活動分野によって6つのカテゴリーに分けられ、1カテゴリーに対し4000枚が割り当てられる。

LBコインは、ランダムに選ばれた6枚のトークンを1セットとし、99ユーロ(約1万2000円)で販売される。同時に、1918年にちなんだ、額面19.18ユーロ(約2300円)の記念銀貨も発行されるが、法定通貨として通用するこの銀貨を手に入れるためには、6つのカテゴリーのトークンを揃えなくてはならないという。

LBコインはトークンを販売するeショップの専用ウォレットで保管することできるが、LBコインが利用しているブロックチェーンのウォレットへの送金や、贈与、トレードも可能だ。そして、トークンを揃え、銀貨と交換するためには、カードコレクションのように、他のコレクターとトレードすることが必要とされる。

出典:ネム

関連中銀のトークン発行で仮想通貨ネムのカタパルト採用事例=NEM財団理事長

LBコインの目的

リトアニア銀行が実用を主眼とせず、このような「遊び」の要素をCBDCに取り入れた背景には、ゲームに興味をもつ若年層にアピールすることだけではなく、同行がデジタル通貨の発行や利用について知識と経験を深めるという大きな目的があったようだ。

プロジェクトマネージャーであるPavel Lipnevič氏は次のように述べている。

LBコインは、実際の環境下で、一種のリテール中央銀行デジタル通貨(CBDC)を発行する実践的な経験を積むのに役立つ。この場合、貨幣学というニッチな分野だが、中央銀行と個人ユーザーにとってはリスクが管理された『遊びの場』として機能する。

実際、これまでの過程でCBDC発行に伴う様々な法的な問題、また技術やサイバーセキュリティの面での問題を経験し、解決してきたという。

リトアニア中銀のMarius Jurgilas副総裁は、世界の金融機関でCBDCに対する関心が高まる中、LBコインがCBDCの様々な再生を試す「最も先進的で実験的な遊び場」となるのではないかと述べている。

このような背景から、LBコインが交換される記念銀貨にしても、額面よりも高価な銀で作られており、コレクターアイテムとしての面が大きく、通貨として使用することは可能だが、推奨されていない。この銀貨を手に入れるための労力と費用を考慮すると割りに合わないことは明白だ。

実際、リトアニア中銀のブロックチェーンプロジェクトの責任者は、日常的な使用を制限するため、このコインがリトアニアの店では受け入れられないような方法を考えたと述べている。

ブロックチェーンとともに新たな時代へ

リトアニア銀行は2年以上にわたって、フィンテック企業を対象としたブロックチェーン基盤のサンドボックス、「LBチェーン」の開発に携わってきた。デロイトやIBMが参加するこのサンドボックスでは、KYCや決済ソリューションをはじめとする数々の製品がテストされてきたという。

LBコインの発行は、LBチェーンプロジェクトが最終段階を迎えていることを示している。同中銀は国内のITインフラ全体でLBチェーンを利用できるよう、試験拡大を検討しているという。

1918年に独立を宣言したリトアニアは、その2年後、ソビエト連邦から独立を果たすも、1940年にはソ連に併合された歴史を持つ。そして、その50年後の1990年、ついに独立回復を宣言している。

独立回復から30年の節目にあたる今年、独立に寄与した人々を冠した中央銀行デジタル通貨を発行し、ブロックチェーンとともに新たな時代へ歩み出そうとするリトアニアの力強い姿勢に、励まされる思いだ。

参考:ロイター

CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
09/18 水曜日
10:05
ブラックロックのビットコイン現物ETF「IBIT」、3週間ぶりの純流入
ブラックロックのビットコイン現物ETF「IBIT」が3週間ぶりの純流入を記録。イーサリアム現物ETFの状況も解説。
07:50
主要ステーブルコインUSDC、Suiブロックチェーンで提供開始 価格上昇
主要ステーブルコインのUSDCは仮想通貨Sui上で発行される予定だ。また、Sui財団はムービーパスと提携しUSDCを使用した映画購読プラットフォームの支払い機能をユーザーに提供する。
07:00
ビットコイン、売り圧だけでなく需要も低下か
仮想通貨ビットコインは売り圧だけでなく需要も低下している可能性があるとCryptoQuantが分析。取引所に入金するアドレスの数が2016年以来の水準まで減少しているという。
06:45
QRコード対応の仮想通貨ウォレット「Wallet Connect」、エアドロップを発表
仮想通貨ウォレットプログラムであるWallet Connect(ウォレットコネクト)は17日、独自の仮想通貨Connectトークン(WCT)のエアドロップを発表した。
06:20
トランプ氏の仮想通貨プロジェクト、WLFIトークン販売計画
ドナルド・トランプ前米大統領らが関わる仮想通貨プロジェクト「ワールド・リバティ・ファイナンシャル」について、WLFIトークンの販売計画が明かされた。トークンの販売予定日はまだ明確ではない。
09/17 火曜日
17:47
エルサルバドル、2025年予算で対外債務ゼロへ ビットコイン戦略も奏功か
エルサルバドルが2025年予算で対外債務なしを発表した。仮想通貨ビットコインへの投資戦略が奏功か。
15:25
国際決済銀行、クロスボーダー決済強化へ向けたトークン化プロジェクト始動 
国際決済銀行が主導する「プロジェクト・アゴラ」に世界41の民間金融機関が参加することが発表された。トークン化によって、ホールセールのクロスボーダー決済をどのように強化できるかを検証する。
14:44
ブータン王国、5年間のマイニング事業運営でビットコイン1000億円超を保有か 
ブータン王国が政府主導のマイニングで1,060億円相当のビットコインを保有している可能性がある。豊富な水力資源を活用した取り組みを展開している。
14:31
仮想通貨NEIRO(ねいろ)価格急上昇 バイナンス上場で
バイナンスに上場したミームコインNEIROが前日比870%高騰。ドージコイン(DOGE )のモチーフかぼすちゃんの後輩柴犬「ねいろちゃん」をモチーフにしたNEIROの特徴と価格急騰の背景について解説します。
12:33
FOMC前のビットコインは軟調推移、イーサリアム財団と思しき売り圧力も
暗号資産(仮想通貨)相場では、利下げ局面で特に重要度の高いFOMCを控え、日経平均株価やビットコインは軟調に推移している。イーサリアム財団関連ウォレットから断続的なETH売却も観測されている。
10:45
ソニーの「ソニューム」でUSDCが利用可能に
仮想通貨イーサリアムのL2ソニュームでステーブルコインUSDCを利用可能にするために、サークル社とSony Block Solutions Labsが連携。イノベーションや創造性を促進する。
10:34
マイクロストラテジー、BTC追加購入を計画
仮想通貨ビットコインの追加購入などを行うため、マイクロストラテジーが資金調達を計画。700億円調達して一部の金額をビットコインの買い増しに使う予定だとした。
09/16 月曜日
15:00
テザーなどステーブルコイン発行企業4社、北朝鮮ハッカー集団保有の7億円相当を凍結
ステーブルコイン発行企業4社が北朝鮮ハッカー集団ラザルスの資金と思しき7億円相当の暗号資産(仮想通貨)を凍結した。3年間で280億円のマネーロンダリングも明らかに.。
14:45
コインベースCEO、ブラックロックへのビットコインIOU発行疑惑を全面否定
米大手仮想通貨取引所コインベースのブライアン・アームストロングCEOは、ブラックロックに対しビットコインの借用証明書(IOU)を発行し、相場操縦しているとの噂を全面否定。ETF運用について説明した。
14:23
イーサリアム次期アップグレード「Pectra」、2段階の実施案が浮上
イーサリアムの次期アップグレード「Pectra」を2段階で実施する可能性を開発者会議が検討中。Pectraの内容も解説。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア