イラン政府、14のマイニング事業者を認可
イラン政府が14の仮想通貨マイニングファームの活動を許可したことが分かった。
同国は今月6日に仮想通貨採掘業者に対して、身元と利用する機器の種類、マイニングファームの規模を1カ月以内に政府に登録するよう命じていた。
登録制度は機器を密輸する違法マイナーへの対応措置で、登録制度の告知から1週間で正式な認可が複数のマイニングファームに言い渡された格好だ。
イランは現在、マイニングを国家戦略とする一方で、マイニングのポリシーや関税のルールなど法律に不明確な部分がある。今回の事業者登録制度は、国益を前提とした政府の規制方針を進める上で、違法業者を排除する意味で、重要な役割をに担うことになる。
安価な電力コストに恩恵
イランでは電力が安価で供給されており、今年5月にロウハニ大統領が、ビットコイン(BTC)などの仮想通貨マイニング産業に特化した国家戦略を策定するように政府に命令した。
イラン産業鉱業省は、これまでに1千以上の仮想通貨通貨マイニングファームにライセンスを発行している。
マイニングファームは1キロワット時(kWh)あたりの平均エネルギーコスト0.1ドル(約11円)で、夏のピークシーズン(6月から9月)は、kWhあたり0.5ドル(53円)に上昇するが、世界的に見ても安価な電力代でファームを運営することができる土地柄だ。
この安価な電気代が魅力となり、海外のマイニングファームもイランに注目している。
例えば、トルコに籍を置くマイニング業者「iMiner」も今年、イランでのBTCマイニングを認可を受け、進出。
投資額730万ドル(約7億8000万円)で、6000台のマイニング機器を設置、96,000TH/秒のハッシュレートでビットコインを採掘するイラン最大級のビットコインファームとなる。
仮想通貨による国際取引も想定か
イランでは現在仮想通貨取引は禁止されているものの、取引所を中央銀行に登録することを義務付ける法案も提出されており、可決されれば、規制のもとで合法的に取引が再開されることになる。
昨年夏にイランの情報通信技術省(ICT)が開催したワークショップでは、ICTの一部門であるITO(情報技術機構)のディレクターAmir Nazemiがイランにおける仮想通貨マイニングに重点を置きつつ、仮想通貨のもたらすリスクと機会について話した。
仮想通貨とマイニングはブロックチェーンの重要な発現形態の一つであり、そこに参加し利益を得ることが可能で、「これらの新しいテクノロジーは市民生活に直接影響する可能性があり、私たちはこうした技術を導入する道を開く責任がある」としている。
また、これら新興技術は近い将来に他国とやり取りをする上で重要な位置を占めるかもしれず、国で歓迎されるべきだと述べた。
イランが仮想通貨やブロックチェーンを国際取引に使用する可能性を念頭に置いていることを示唆する発言である。
投票やサッカークラブにブロックチェーン活用
同じワークショップで、ITOの職員Sajjad Fallahはイランがブロックチェーンプロジェクトを促進していることを具体的に明かしていた。
一つはイラン科学省で実施される組合や協会の投票に適用するもので、すでに政府の呼びかけに答え、26のスタートアップが参加を申請、そのうち5つの企業が選択されるという。
また、イランの人気サッカーチームであるペルセポリスとエステグラルに、クラブ民営化を行う上で、金融取引を透明にするためブロックチェーンを活用することを提案した。
イランでは、最近マクロ経済指標を検討する会議の席で国会議員Mohammad Hossein Farhangiが、中央銀行総裁に向けてビットコインの問題を真剣に受け止めるべきだと述べたことも報道されている。
ビットコインは管理の仕方次第で、国益にもなるし国損にもなるとして、中央銀行がデジタル通貨を監督する必要があると主張した格好だ。
イラン政府の様々な部門で仮想通貨の可能性が注目されていることは確かで、これからも新たな動きが続きそうだ。