はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX
CoinPostで今最も読まれています

コインチェック記者会見まとめ:NEMの補償対応、凍結中の顧客資産を送金再開

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

コインチェックのサービス再開の目処を示す
コインチェックから不正送金されたNEMを保有していた顧客に対する補償に関して、来週中を目処に実施予定。また、同社で凍結中の顧客資産(アルトコイン)について、サービス再開の目処についても来週中を目処に発表予定とのことです。
仮想通貨市場にとってはポジティブ
今回の会見内容で、「コインチェック社が経営破綻したり、預けていた顧客のアルトコインが凍結されたまま戻ってこない」といった最悪な事態は免れました。これ機に金融庁などの監督・監視体制が確立することで、発展途上の仮想通貨業界における利用者保護に関する仕組みが整備され、仮想通貨、及びブロックチェーン業界が、健全に発展・繁栄されていくことが期待されます。
目次
  1. コインチェックの取引高と資産状況
  2. コインチェック側の今後の対応説明
  3. 質疑応答まとめ
  4. CoinPost考察

3月8日にコインチェックが記者会見を実施

2018年3月8日(木)、金融庁の立ち入り検査を受けていた仮想通貨取引所に対する「業務改善命令」が出され、コインチェック・Zaif・GMOコインを含む7社が行政処分されました。

これを受けて、コインチェック社が16時より都内で記者会見を実施。

質疑応答などの内容をまとめました。

CoinPostの関連記事

金融庁がコインチェック・Zaif・GMOコインを含む7社を行政処分|内容まとめ
金融庁が、最も悪質だと判断した2社に業務停止命令、5社に業務改善命令を下しました。注目ポイントは、「業務停止命令」を受けた業者が現れたこと、コインチェックが2度目の業務改善命令を受けたこと、またZaifやGMOコインといった大手取引所も新たに業務改善命令を受けたこと、の3点です。

コインチェックの取引高と資産状況

コインチェック社の2017年12月の取引高は、3兆8537億円に到達。

NEM保有している被害者は、全体の15%だったということが明らかになりました。

大塚取締役は、ビットコイン及び他仮想通貨(アルトコイン)全体の取扱高を公開。

日付コインチェック取引高
2017年7月
2868億円
2017年8月
6512億円
2017年9月
7619億円
2017年10月
1兆283億円
2017年11月
2兆5268億円
2017年12月
3兆8537億円

取引高の内2割が、手数料を取らない販売所形式ではなく、取引所の収益に繋がるスプレッド(売買差額)のある販売所形式だということで、かなりの営業利益が上がっていたことが伺えます。

また、2018年3月8日時点での利用者のアカウント数が、累計170万口座に達していたことが明らかになりました。

コインチェック側の今後の対応説明

会見の前半で行われた、大塚取締役のよる今後の対応に関する情報まとめです。

NEMの補償について

不正送金されたNEMを保有していた顧客に対する補償について、来週中を目処に実施予定です。

詳細は、コインチェック公式ページで発表予定とのことです。

(送金停止中の仮想通貨)一部サービス再開について

システム面の安全性の確認ができました。

技術的に安全性等が確認できた仮想通貨から順次、来週中を目処に、一部再開予定です。

詳細は、コインチェック公式ページで発表予定とのことです。

経営管理体制の強化について

問い合わせ窓口の強化など、顧客保護を優先した経営体制を優先する。

今後の事業継続については、今後も一時停止中のサービス再開に向けて全力を挙げて取り組むとともに、金融庁への仮想通貨交換業者の登録に向けた取組も継続し、事業を継続していく予定とのことです。

本事案の発生の原因調査

コインチェック社内、外部の捜査機関に依頼をして、全従業員のPC、ネットワーク機器、サーバーのログの調査を行なったようです。

その結果、外部の攻撃者が、従業員のPCの端末にマルウェアを仕込んで感染させ、外部ネットワークからそのPCを経由して、NEMのサーバーに侵入した可能性があるとのことが判明しました。

今後の対策について

  • ネットワークの再構築を実施
  • サーバーの再構築
  • 端末のセキュリティ強化(全従業員のPCを新規で準備)

外部専門家と対策を行い、ネットワーク再構築を実施。

ネットワークの入口では不審な物が入らないように、出口では多重防御によりセキュリティ強化を行ったとのことです。

また、常時監視体制を整えることでセキュリティの強化を図っていると説明しています。

システム管理体制の強化について

  • システムセキュリティ統括責任者(CISO)を新設
  • システムリスク管理対策委員会を新設
  • 内部管理体制の強化(内部監視の強化)

システムセキュリティ統括責任者(CISO)は、金融機関出身の人材を置いた上、モニタリングを強化、金融セキュリティに強い会社に外部委託を行うとしています。

また、「内部管理体制の人員強化を図るとともに、セキュリティーの優先度をつけ、承認されたものを使えるように整備する」と述べました。

仮想通貨のセキュリティ強化について

仮想通貨の管理を「ホットウォレット」ではなく、よりセキュリティの高い「コールドウォレット」への対応等、安全に入出金等が行える技術的な検証を順次進めています。

これら対策については、金融系システムセキュリティ及びサイバーセキュリティ対応に関する実績のある外部専門家の確認・検証を経た上で実施予定としています。

経営体制の抜本的な見直しについて

どのような責任の取り方をするかについては、顧客保護を第一に考え、問題解決後に(大手の傘下に入ることや、経営陣の辞任を含めて)検討するとしています。

質疑応答まとめ

NEMについて

NEM補償の内容と、具体的な日付については?

当初予定していた通り、日本円で補償する。 補償は、来週中を目処に、各自のアカウントに対して日本円で反映するつもり。

NEMの補償対象者は26万人だと聞いたが、マネロンを疑われる人物が含まれていた場合どう対応するのか?

基本的に、KYC(本人確認)をしっかり行っている。

現時点でマネロン対象者などはいないと認識。

なぜNEMは日本円で返すのか?強制利確で税金がかかるのでは

補償の方法としては、複数の法律事務所と相談した結果、日本円になった。

税金については、現在国税庁と協議中。

NEMの補償額は、約88円のままなのか?

前回説明したレート(1NEM = 88.549円)通り。

今後、NEMはどのように管理するのか?

複数使用のコールドウォレットを使用して、管理する方向で検討している。

NEM以外の仮想通貨について

(現在凍結中の)NEM以外の仮想通貨の引き出しについては?
現時点では、(安全性の確認もあり)「一部」の仮想通貨から対応するとしか言えない。 来週中を目処に一部再開予定。コインチェックの公式HPで詳細を発表する。
現在留保されている仮想通貨が一斉に引き出しされた場合、経営体力は大丈夫か?

問題ない。

口座の管理も別々に管理しており、大量の出金要請があっても経営に支障はない。

業務停止に伴い、NEM以外の仮想通貨が売買出来ないことによる機会損失を被っているユーザーへの補償は?

(利用規約にもある通り)、相場の下落による機会損失について、当社は責任を負わない。

業務改善命令では「取り扱う仮想通貨のリスク」が挙がっているが、どのように考えているのか?

取り扱い仮想通貨については、リスクの洗い出しを行った。

今後、何を扱っていくかを(慎重に)検討していく。

今まで取り扱っていた仮想通貨は、きちんと全て再開されるのか?

まずは、今まで通りの状況を確実に再開させたい。

匿名通貨について取り扱いについては、既存の通貨も含めて、精査した上再検討を行う。

取り扱い仮想通貨を少なくする予定はあるのか?

現在13種類の取り扱いがあるが、リスクを洗い出した後、このまま続けて問題ないか確認中。決定事項は現段階ではない。

セキュリティについて

社内PCがマルウェアに感染した経緯は?

従業員のPCにメールから感染した。

詳細については、捜査情報が絡むのでお答えできない。

マルウェアは特定の社員を狙って送られてきたのか?

一人ではなく複数の従業員に届いていると認識している。

感染したPCも1台ではなく、複数台だった。

マルウェアに感染した端末は、在宅勤務のPCか?

会社で支給された、社内で働く社員のPC。

新設のシステムセキュリティ責任者は、社内の人間なのか?

そうだ。サポートするポジションとして、外部の者を配置する。

すでに取締役会を通っており、設置するのは確定事項。

人材採用が進まなかったためにセキュリティが脆弱だったと説明があったが、具体的には?

システムの人員、内部管理などの人員が不足しており、求人はかけていたが、補充が間に合わなかった。

採用強化については、何度も取締役会で議論をしてき上、お金もかけてきた。

顧客資産と会社資産は、しっかり分別管理できているのか?

別々の口座に管理をしており、現時点では600億ほど日本円の出金も対応済み。

コールドウォレットの開発を行うのは誰なのか?

外部の知恵を借りつつ、(基本的には)社内で行なっていく。

今後の経営について

御社の年間利益はどのくらいあるのか?どのようなビジネルモデルなのか?

仮想通貨販売所で売買された際の手数料を得ている。

これにより、財務体制を強化してきた。

社外の業務資本提携などについては?

経営体制の抜本的な見直しは、これからしっかりと検討していく。

大手の傘下に入るなど、資本増強は(必要に応じて検討する)選択肢の一つであるが、顧客の保護が最優先であり、現時点では考えていない。

今後取引する顧客が半減した場合、御社の収益源も減り、経営難に陥るのでは?

当然、そうなってしまった場合は、売上が下がってしまい行き詰まるので、そういった事態を避けるため企業努力をしていく。

しっかりと立て直す意思を持っている。

コインチェックに対する訴訟などに対する準備は?

お客様にしっかり向き合い、きちんと対応していく。

監査役が今後交代する可能性は?(創業当初から関わってきた人物は何をしているのか)

経営体制の抜本的な見直しに監査役も入っており、今後も検討していく。

役割は、取締役会に対して監査をする人だ。

経営責任について、社長や取締役はどう責任をとるのか?

まずは顧客保護を第一に、今後検討していく。

「経営陣の辞任も視野に入れているのか?」というご質問については、そこも含めて検討をしている。

CoinPost考察

今回の記者会見の内容は、最大の焦点であった「凍結中の顧客資産に関する送金サービスの再開予定や、不正流出したNEMの補償時期について」も具体的に言及するなど、過去二回に渡って行われた煮え切らない会見から一転し、大幅に進展した印象を与えました。

ひとまず、コインチェック社が経営破綻したり、他のアルトコインが凍結されたまま戻ってこないといった最悪な事態は免れたことで、ほっと胸をなでおろした方も多いのではないでしょうか。

記者との質疑応答でも、概ね前向きな内容を示せており、コインチェックで凍結中の膨大な仮想通貨資産の送金などの取引再開の見込みを提示できたことで、市場の流動性の向上や、冷え込んでいた投資マインドの改善に結び付く可能性があります。

日本の最大手取引所の倒産、などといった”最悪な事態”を織り込みつつあった仮想通貨市場にとっては、解決に向けて大きく前進したポジティブサプライズといっても良いのではと思われます。

これを機に金融庁の監督・監視体制を確立することで、発展途上の仮想通貨業界における利用者保護に関する万全な仕組みが整備され、仮想通貨、及びブロックチェーン業界が、健全に発展・繁栄されていくことが期待されます。

なお、今回コインチェック以外の大手取引所、GMOコインとZaifが金融庁に業務改善命令を出されており、その動向も注目されています。

CoinPostの関連記事

金融庁がコインチェック・Zaif・GMOコインを含む7社を行政処分|内容まとめ
金融庁が、最も悪質だと判断した2社に業務停止命令、5社に業務改善命令を下しました。注目ポイントは、「業務停止命令」を受けた業者が現れたこと、コインチェックが2度目の業務改善命令を受けたこと、またZaifやGMOコインといった大手取引所も新たに業務改善命令を受けたこと、の3点です。
CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
11/17 月曜日
20:08
暗号資産の金商法移行が本格化、分離課税実現へ最終局面=ブロックチェーン議連
金融庁が暗号資産を金商法に位置づけ、インサイダー取引規制を整備する方向を明示。業界団体は20%申告分離課税を要望。来年の通常国会での法整備を目指す。第31回ブロックチェーン推進議員連盟で議論。
17:41
IG証券、仮想通貨ETF CFD取引を終了へ 金融庁の新指針受け
IG証券が仮想通貨ETF CFD取引の終了を発表。金融庁が「望ましくない」との見解を示したことを受け、12月1日から新規建て停止、2026年1月末までに既存ポジションの決済が必要に。
16:43
ステーブルコイン取り付け発生ならECB金利再考も、オランダ中銀総裁が警告=FT報道
欧州中央銀行の政策委員がステーブルコインの取り付け騒ぎ発生時にはECBが金融政策見直しを迫られる可能性があると警告。米ドル建てステーブルコインの急拡大が欧州の金融主権に及ぼすリスクについて、ECB当局者や専門家の懸念が高まっている。
14:32
ハーバード大のビットコイン投資が急増 IBIT保有を前期比257%拡大
ハーバード大学がブラックロックのビットコイン現物ETF(IBIT)保有を257%増加し、685億円相当を保有していることが明らかになった。これによりIBITがポートフォリオ最大の銘柄となった。
12:15
金融庁、資金調達目的の暗号資産発行者への情報開示義務化へ=報道
金融庁は資金調達型暗号資産発行者に年1回の情報開示を義務化する方針。金融審議会では継続開示の必要性や頻度をめぐり議論が展開。ICO・IEOの構造的課題も指摘され、2026年の金商法改正案に盛り込まれる見通し。
11:40
デッドクロス形成のビットコイン、市場心理は「極度の恐怖(総悲観)」水準で推移
ビットコイン急落に伴いテクニカル指標は弱気のデッドクロスを形成している。FRB利下げ期待の後退を受け、投資家がリスク資産から安全資産へシフト。市場心理は「極度の恐怖(総悲観)」を示す水準まで悪化した。デリバティブ清算が連鎖しETF大規模償還につながったが、専門家は感謝祭後の回復を予測している。
11:30
「ビットコインは底値圏に達した」金融大手JPモルガンのアナリストらが見解
JPモルガンが、仮想通貨ビットコインの価格を生産コストの観点から分析。底値に到達したとの見解を示している。同社はビットコインの目標価格を17万ドルとしている。
10:45
カードン・キャピタル、888BTC取得完了 不動産とビットコインの融合プロジェクト
不動産投資大手カードン・キャピタルが「101 Mizner Boca Bitcoinプロジェクト」向けに888BTCの取得を完了。年内で3,000BTC超を購入し、不動産収益でビットコインを継続購入する独自の融合モデルを展開。マイクロストラテジー戦略を不動産に応用した新たな投資手法として注目を集める。
09:49
アーサー・ヘイズ、保有していたアルトコイン大量売却か 実際の価値提供が必要との意見も
著名仮想通貨アナリストのアーサー・ヘイズ氏がイーサリアムやエセナなどのアルトコインを大量売却している。専門家は4年サイクル論の終焉と実需の重要性を指摘している。
11/16 日曜日
16:22
金融庁、暗号資産105銘柄の「金融商品」扱いを検討 金商法適用へ=報道
金融庁は暗号資産に金融商品取引法を適用し、交換業者が取り扱う105銘柄に情報開示とインサイダー取引規制を導入する方針。税率は最大55%から株式と同じ20%への引き下げを検討。2026年の通常国会で改正案提出を目指す。
14:00
今週の主要仮想通貨材料まとめ、XRP現物ETFの米上場や世界初のZcash保有企業の91億円調達など
前週比で振り返る仮想通貨市場の最新動向。ビットコインやイーサリアム、XRP、ソラナ、ジーキャッシュといった主要銘柄の騰落率や注目材料を一挙紹介。市場トレンドと関連ニュースを詳しく解説する。
11:30
ビットコイン、下値余地残すも反発は時間の問題か|bitbankアナリスト寄稿
今週のBTC相場は1530万円周辺で推移。米政府機関閉鎖解除後もハイテク株軟調で上値重い展開。12月FOMC前の経済指標不足が懸念材料に。一方、STH損失レシオが95%超となり売られ過ぎの水準。オプションOI分析では9.5万ドルがターゲットに。
11:00
週刊仮想通貨ニュース|米史上最長の政府閉鎖終了に高い関心
今週は『金持ち父さん貧乏父さん』著者ロバート・キヨサキ氏によるビットコイン・金・銀の価格予想、堀田丸正のBitcoin Japanへの社名変更、米政府の閉鎖終了に関する記事が関心を集めた。
11/15 土曜日
13:55
続落するイーサリアム、長期保有者が1日4.5万ETH超を売却=グラスノード
グラスノードによると、イーサリアムの3年から10年保有者が1日あたり平均4万5000ETH超を売却している。イーサリアム現物ETFも13日に2億6000万ドルの純流出を記録し売圧を高めている。
13:20
リミックスポイント決算発表、仮想通貨評価益で売上高が大幅増加
リミックスポイントが2025年4~9月期決算を発表した。仮想通貨評価益で売上高が大幅増加している。同社はビットコイン、イーサリアムなどの仮想通貨を財務資産として蓄積している。
通貨データ
グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧