仮想通貨市場とBTC(ビットコイン)
6日の暗号資産(仮想通貨)市場。 ビットコイン(BTC)価格は、前日比+11.65%の164.5万円(15,890ドル)と高騰した。
19年の最高値である14,000ドル(①)を超えたことで、主立った上値抵抗線がないことから騰勢を強めた。
15,000ドル到達は、18年1月のバブル相場以来。BTCの過去最高値は17年12月に記録した20,000ドル(③)となっており、もし今後これを上回るようなことがあれば、未知の領域に突入することになる。
並行チャネルでレジスタンスマーカーを上抜いていることから、今後サポートマーカーとして機能する可能性がある。
急騰の影響で、BTCドミナンス(市場の通貨シェア)も急増している。
18年1月以来の仮想通貨バブルの様相を呈する一方、過去最高値付近まで回復しているのはビットコインのみであり、リップル(XRP)やイーサリアム(ETH)など主要アルトコインは、依然として上場来高値を大幅に下回る価格帯を推移する。
乱高下への警戒感も
足元では急騰の影響で日足RSIが80を上回るなど過熱感が台頭。大口売りをきっかけにチャートが崩れれば、いつ急落、乱高下してもおかしくない状況にある。
一方で、週足・月足の上位足では、仮想通貨バブルの時の数値には及んでおらず、中長期ではまだ余力を残している可能性もうかがわせる。
デリバティブ市場の需給
需給面で注目されるのが、先物などデリバティブ市場との現物乖離だ。BitMEXの資金調達率(ファンディングレート)は、今朝3時の高騰局面でもマイナス圏にあるなど、ほぼ中立を維持している。
$BTC – Nice continuation.
— Dean ⟠ Trader (@Dean_Trader) November 5, 2020
Funding still negative, but could flip soon. Think we might squeeze another pump to ~ $16.2k-16.7k, then ranging and retest of MA(20W), or even rally to ATH with MA retest delayed until that is done.
Overall very bullish 🍻 pic.twitter.com/vfMoRRcaKy
国内最大手bitFlyerでは、6日昼時点で現物乖離0.4%に留まっており、昨年6月に現物乖離5%が常態化していたSFD相場と比較すると過熱感は薄い。極めて強い相場環境にあるといえる。
相次ぐ高値更新で市場のセンチメントにFOMO(乗り遅れることへの恐怖)が作用していることは間違いないが、米大統領選の先行き不透明感やFTXのSamCEOによるバイデン陣営への巨額寄付、1000億円相当のビットコイン押収などがプラスに働いたとの見方もある。押収は11月3日に確認された巨額送金(69,369BTC)に関連したものだ。
ファンダメンタルズ視点からの相場分析は、以下の記事で詳しく解説している。
関連:ビットコイン高騰で160万円上回る──1000億円のBTC押収はどう読む?
イーサリアムも大幅上昇
直近でこそビットコインの騰落率に及ばないものの、大型アップデートを控える時価総額2位のイーサリアムの強さも際立っている。
きたる大型アップデートETH2.0に関連し、共同創業者のヴィタリック・ブテリン氏は、11月4日に実装されたばかりのデポジットコントラクトに3,200ETH(1.3億円相当)を預け入れたことを明かした。
今後のPoS移行後に期待されるイーサリアムのステーキングでは、いわゆる株式や債券の配当益のような報酬を得ることができることから、フェーズ0にあたるBeacon Chainにおけるデポジットコントラクトの実装は追い風だ。長期保有を前提としたインカムゲイン狙いの現物流入の増加は、イーサリアムの売り圧力低下や現物買い需要の増加が見込める。
シャードチェーン・メインネット稼働、及びPoS移行を伴う「フェーズ1.5」は、2021年中を予定している。
関連:ヴィタリック、イーサリアム2.0関連で3,200ETHを入金
なお、DeFiPulseのデータによれば、DeFi(分散型金融)市場でも、米ドルベースの「ロックされた合計価値(TVL)」は、極めて高水準を維持する。流動性プールの多くがETH基盤であり、WBTC(WrappedBTC)など多額の通貨がロックアップされていることを示している。
bitFlyer 金光氏の見解
今回のビットコインの高騰について、bitFlyerマーケットアナリストを兼任するトレジャリー部部長の金光 碧(@KanemitsuMidori)氏が見解を示した。
BTC150万円は2019年6月に1回トライしましたが、その後下がっており、これより高い価格帯は2018年1月16日以降実現されていませんでした。テクニカルに真空地帯の価格帯となっており、価格が急進しやすい状態でした。
今回は「現物」主導の上げであることも特徴です。直近のマイクロストラテジー、スクエアのインフレヘッジの資産としてのビットコイン買い、ペイパルでの導入などあらためて価値が見直される中、大統領選挙の混乱を受けて、よりビットコイン買い需要が強まったものと考えられます。
全仮想通貨の時価総額に占めるビットコイン時価総額の割合(ビットコインドミナンス)も、9月には58%まで下がる局面もあったものの、足元では66%まで上昇しています。
関連: bitFlyer