SECの「ノーアクションレター」
米SEC(証券取引委員会)は、アバターソーシャルプラットフォームを提供するIMVUが販売予定の仮想通貨に対して、取り締まりを行わないとする「ノーアクションレター」を発行した。事実上の認可(免責)を与えたことになる。
IMVUは、ユーザーがアバターを作り、バーチャルの世界でコミュニケーションを取ることのできるソーシャルプラットフォームを開発する企業で、独自デジタルトークン「VCOIN」の販売を予定している。
トークン販売にあたり、SECが審査を行った結果、VCOIは「有価証券に該当しない」との結論を下し、制裁金を科すなどの取り締まりを行わない旨を伝えている。
このノーアクションレターでは、一定の条件が設けられている。VCOINの販売は許されるが、販売する価格を固定しなくてはならない点が明記されている。また、ユーザーがVCOINを購入する際、投機するのでなく、実際にプラットフォームで利用することを約束する必要があるとも規定されている。IMVUは販売で得た資金を開発に充てることができない。
価格を固定することに関してどのように設計するか説明されていないが、ステーブルコインのように価格を固定するメカニズムが導入される可能性があるとみられる。同社の弁護士はSECへの書類で、「VCOINは、IMVUのプラットフォームで米ドルなどの法定通貨に交換することはできず、サードパーティプラットフォームで法定通貨との換金を行う場合、10%〜15%の手数料が発生する可能性がある」と説明した。
IMVUの弁護士は、IMVUは有価証券ではないと証明するため、VCOINをIMVUで購入する際は、厳格なKYCに準じて手続きを終える必要があるほか、ユーザーが実際利用する範囲以上にVCOINを入手することおよび投機目的で購入することを抑止し、IMVUからのVCOIN出金も制限する。
さまざまな制限によって、IMVU上のVCOINの固定価格と別のプラットフォームで取引される異なるVCOINの価格での裁定取引(アービトラージ)のメリットを最小限に抑える狙いがある。
今回の判断の重要性
一部有識者は、SECが仮想通貨の有価証券判断基準を仮想通貨業界にとって前向きなものに改善している可能性があるとみている。
過去の事例では、企業発行の独自トークンについて、ユーザーの購入及び取引を禁止、取得手段は付与に限り、企業側がユーザーに販売できないことを規定していた。
しかし、今回初めて企業による(固定価格で)の販売を認めたことになる。SECの判断では、投機の性質があれば、「有価証券」とみなされるリスクが高まる。
仮想通貨弁護士のJake Chervinsky氏は、「いずれビットコインのような価格変動性の大きな銘柄にもノーアクションレターを下すだろう。官僚主義のペースは遅いものだ」とコメントした。
The SEC issued another no-action letter for a digital token offering, once again for an asset with a fixed price & unlimited supply.
— Jake Chervinsky (@jchervinsky) November 19, 2020
Some day we'll get one of these for a volatile asset (like, say, Bitcoin), but not today. Alas, the gears of the bureaucracy grind rather slowly. https://t.co/XVuxGCvfpM