「イノベーション保護の面で不適当な法案」
米国下院のTom Emmer議員が、ステーブルコインの規制厳格化法案に反対を表明していることが分かった。長い間、仮想通貨・ブロックチェーンを支持してきたEmmer議員は、法案はイノベーションの保護に関して不適当であると述べている。
この反対意見は、米国下院で提出されたステーブルコインに関わる法案「STABLE」へ向けられたもの。
法案は、ステーブルコインを発行するために銀行設立許可書を取得し、当局の承認を得ること、取得後も継続的にシステミック・リスクに関する監査を受ける必要があることなどを盛り込んでいる。
仮に法律として成立すれば、米国居住者向けにサービスを提供する多くの企業が規制対象になりうる。例えば、ステーブルコインUSDCを発行するCircle社やGUSDを発行するGemini、USDTを発行するテザー社などへの影響も予測される形だ。
ステーブルコインが連邦法の下で一種の預金としてみなされることになり、発行者は連邦預金保険公社(FDIC)の保険に加入するか、連邦準備制度に準備金を保持することが要求される。
Emmer議員は、仮想通貨メディアTHE BLOCKに次のように語った。
米国で(ブロックチェーンなど)新しいイノベーションの成長支援を行っている私たちは、このテクノロジーについて学び、理解するために努力してきた。このテクノロジーは、低所得層から中所得層のアメリカ人、そして世界中の人々にも非常に有益な影響をもたらすだろう。
また、法案を提唱した議員たちも、イノベーションの恩恵を実現するために、様々な側面から実践的な方法を検討することをしてほしいと付け加えた。
「XRPは有価証券ではない」との見解も披露
Emmer議員は「Congressional Blockchain Caucus(議会ブロックチェーン会)」のメンバーである。この組織は、COVID-19パンデミックに関してブロックチェーンによるソリューション導入の検討や、内国歳入庁などの機関における仮想通貨規制見直しなどをトランプ政権に求めてきたグループだ。
リップル(XRP)が未登録有価証券であるとして訴訟されている問題についても、Emmer議員は「私自身の立場として、XRPは有価証券ではないと考えている」と見解を出した。
SECがこれまでビットコインとイーサリアム以外の主要仮想通貨について明確な判断を行なっていないことも問題と指摘している。
またEmmer議員は、みずからも仮想通貨を積極的に活用、政治活動についてステーブルコインも含め仮想通貨での献金も受け入れており、BTC、ETH、XRP、BCH、GUSD、USDC、BUSD、PAXなどを受け入れている。
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EUもステーブルコインに警戒
最近では欧州連合(EU)もステーブルコインへの警戒を強めており、特にFacebook主導のステーブルコインを念頭に置いて、そのリスクを語っている。
「価値の保存手段」として利用されることで、銀行預金から資産が流出する可能性や、欧州の競争力にもたらす影響、データのプライバシーや個人情報保護の面でもリスクがあるとした。
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なお、Facebook主導のステーブルコイン「リブラ」は、先日リブランディングを行い、「Diem(ディエム)」に改称している。
これについてリブラ協会は「リブラという名称はプロジェクト開始時の理念を反映し規制当局との不一致に関連しているため、変更をおこなった。現在は設計や規制への準拠方針などを一新している」と語った。
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