スマホからカジノに資金転送
世界最大規模のスロットマシン・メーカーInternational Game Technology(IGT)が、暗号資産(仮想通貨)ウォレットからカジノに仮想通貨を転送する技術について特許を取得した。
これにより、カジノ施設における支払いオプションとして、将来的に「仮想通貨」を選択できるようになる可能性がある。
特許出願文書の概要には「プレイヤーと紐づけられたゲーム施設のアカウントと、外部の仮想通貨ウォレットの間で仮想通貨転送を可能にするシステム」と記載された。プレイヤーは、ウォレットを導入した自身のスマートフォンから、スロットマシンにビットコインを送金することができるという。
特許文書では、ビットコイン(BTC)、ビットコインキャッシュ(BCH)、イーサリアム(ETH)をゲーミングマシンに転送して決済する例が挙げられている。
IGTの広報Phil O’Shaughnessy氏は、次のように説明した。
規制されたゲームで仮想通貨利用する将来の可能性を予期して、業界をリードする知的財産のポートフォリオを強化すべく、この特許を確保した。
「接触が少なく安全なゲーム体験」
これまでは、カジノに設置された仮想通貨ATMで現金に変換する必要があったが、ネバダ州のゲーム委員会は2020年、カジノによるキャッシュレスシステム導入を容易にしており、IGTも、今回の特許取得と同時に、スロットマシンで「リゾートウォレット」を使用することについて当局の承認を得た。
IGT独自のスマートフォン対応ウォレットアプリ「リゾートウォレット」は、現金、クレジットカード、デビットカード、銀行口座から資金をチャージして、ゲーム施設においてキャッシュレスで決済を行うことができるものだ。
IGTは現在のパンデミック状況にも言及し、キャッシュレスにより「接触が少なく、より安全な」ゲーム体験を提供できるとしている。
詳細は発表されていないが、将来はこの「リゾートウォレット」へのチャージ手段の一つとして仮想通貨が組み込まれる可能性もありそうだ。
若い世代はビットコインを肯定する傾向
今回の転送システムについては、キャッシュレスへの需要の他、ゲーム施設を利用する若者世代の間でも需要がありそうだ。IGTによると、ラスベガスの著名カジノ「シーザーズパレス」では、ゲストの3分の1が21歳〜40歳の世代だった。
金融メディア「The Tokenist」が、2020年4月に17ヶ国の参加者を対象として行ったビットコイン意識調査では、特にミレニアル世代の間でビットコインに対する肯定的な評価が高まっていることが判明。
ミレニアル世代とは、一般的にミレニアム(新千年紀)が到来した2000年前後以降に社会に進出する世代という意味で、1980年代序盤から1990年代中盤までに生まれた世代を指す。
この世代の45%が株式、不動産、金よりもビットコイン投資を好むような傾向を示していた。また「次の10年で多くの人がビットコインを使用するか」という質問に対し、全体の43%、およびミレニアル世代の59%は肯定的に回答している。
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2019年末に、米大手ファンド「グレイスケール」の責任者Michael Sonnenshein氏は、2045年までに米国で遺産相続などによりミレニアル世代に約68兆ドルの富が引き継がれ、その一部がビットコイン市場に流入するのではないかという考えを披露していた。
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