過去最大のアップグレードに
KyberNetworkは次のアップグレードとなる「Kyber3.0」の目的や主要な開発目標について発表。アップグレードの規模としてはこれまでで最大のものになるという。
Kyberは「Any Token Anywhere」を掲げる、トークンの交換(swap)を行うためのプロトコルであり、アプリやウォレットではKyberの交換サービスを組み込むことができる。
Kyber3.0では①ハブ化による手数料の削減や柔軟性の向上、②DMMの導入による資本の非効率性や変動損失(Impermanent loss)への対処、③KNCトークン周りの提案によるコミュニティの強化などがそれぞれ挙げられている。
また、KNCトークンは発表を受け、高騰している。
主な変更点
まず、変化の激しいDeFi(分散型金融)に対応する場面でこれまでのKyberでは柔軟性に欠ける面があったとし、Kyber3.0によってトレンドに遅れないよう適応力の向上を目指す。
そこで、1つの流動性プロトコルであったKyberを「目的志向の多様な流動性プロトコルによるハブ」へとアップグレードするとした。
これによって流動性の提供側も、ユーザーやdAppsなどの利用側もより柔軟な選択が行えるようになるという。
将来的にプロトコルとしては、デリバティブを集約し取引するためのデリバティブプロトコル、ストップロス機能を備えたトレードプロトコル、トークンの販売を行うプロトコルなどの開発が想定されているという。
このアップグレードにより手数料の削減や、dAppsを含めた利用者は流動性を柔軟に選択可能になるとしている。なお、従来の、全てのプロトコルから最適なレートを見つけるシンプルなエンドポイントも引き続き提供する。
Kyber DMMなど
次に、Kyber3.0では、新たに「Kyber DMM」をローンチする。
DMMはDynamic Market Makerの頭文字をとったもので、DeFi初のDMMだという。調整可能な価格曲線や、手数料をボラティリティに応じた変動制とすることで、資本効率の向上、変動損失(Impermanent loss)のリスクなどに対応する。変動損失は、DeFiの流動性プールに流動性(トークンペア等)を提供した際、レート変動により発生し得る含み損を指す。
また、Kyber DMMの普及により、KNCトークン保有者に分配される収益も増加する可能性があるとした。
そして、Kyber DAOとKNCトークンについてもアップグレードが提案された。これはKyber3.0に伴う変更点への対応と、KNCトークンの有用性を追加することなどが目的だ。
具体的にはKyberDAO(DAO=自立分散型組織)のガバナンス力を強化、新たな流動性プロトコル群からの手数料収入の受け取り、ネットワークにおける資金調達の仕組みなどが整えられるとした。
提案がDAOを経て可決された場合、アップグレードは実行に移される。
2段階でアップグレードを実施
Kyber3.0のアップグレード予定は2段階で実施され、1段階目となる「Katana」は今年の第1四半期~第2四半期の実施を予定しており、Kyber DMMのローンチのほか、Kyber DAOとKNCに関する提案が提出される。
次の段階である「Kaizen」フェーズとKyber3.0アップグレードの完了は第3四半期の終わりごろになる見込みだ。