- Golemのベータ版サービスがリリース
- ICOから実に18ヶ月かかってようやくβ版がリリースされました。ベータ版リリースにいたるまで、この通貨は様々な疑惑を持たれていました。
- ICO通貨の問題点と不信感
- ICOへの投資は成功したときに莫大なリターンが得ることができるケースもありますが、大多数は詐欺と言われており、失敗すればICOで手に入れた通貨は電子のゴミと化してしまいます。
ゴーレム(Golem)は、コンピュータリソースをP2P(個人対個人)で取引する「分散型スーパーコンピュータネットワーク」を目指して作られました。
ゴーレムはイーサリアム上に構築されたプラットフォームの名前であり、そこで支払われるトークンの単位がGNTと呼ばれています。
ブロックチェーン技術を応用し、分散した複数のコンピュータがもつコンピューティング資源によって成り立ったネットワークを形成、世界規模にまたがったコンピューティング資源のシェアサービス構想を練っています。
ICOでの820,000ETH(現在市場価格約370億円)という莫大な資金の調達から18か月後の2018年4月10日、ついにサービスのベータ版「Golem Brass Beta」をイーサリアムのメインネットにローンチしました。
ブログに投稿された開発者の言葉を借りると、Golemは「コンピュータのためのAirbnb」であり、インターネットユーザーにパソコンが持つ、未使用の処理能力を使用する、あるいはそれを貸す貸し出す機会を与えることを目指しています。
チームはイーサリアムのメインネットへのリリース時に以下のような言葉を残しました。
「これは大きな一歩です。ですが、私たちはまだいくつの課題を残しています。」
GolemのトークンであるGNTはこのニュースを受けて、価格は数十%上昇しています。
その価格はまだ低いですが、ICOで資金調達を行ってからこれまでの間に、一時は1ドル台まで価格が上がるなどで注目された通貨でもあります。
ただ、ベータ版リリースにいたるまで、この通貨は様々な疑惑を持たれていました。
イーサリアムメインネットにGolemのベータ版サービスがリリースされるまでに、あまりにも長い年月がかかっていたからです。
ベータ版リリースまでの長い歳月
Golemの開発者たちは、2016年に行われたICOが完了してから、これまでの間、ユーザーから非難を浴びてきました。
ユーザーたちはICOからサービスのリリースまで長い時間がかかったことから、トークンを購入するために利用したETHの価値分のリターンがないのではないか、と不安に駆られたのです。
仮想通貨を利用した資金調達法であるICO周辺のルールは依然として整備されていません。
出資者が何か明確なインセンティブを浮くとることのできるクラウドファンディングに対し、ICOの見返りは仮想通貨です。
通貨が提供を予定するサービスが有用であれば、先行してそこで使用することができる、ボラティリティの高い仮想通貨市場では新たに生まれた仮想通貨は数10倍、場合によっては数100倍という価格を付ける可能性もあり、そうした金銭面でのインセンティブがあるでしょう。
ただ、これはあくまでも、ICOがうまくいけばの話です。
うまくいかなければ、ICOで手に入れた通貨は電子のゴミと化してしまいます。
クラウドファンディングや仮想通貨業界以外のスタートアップ企業では実際のところ、彼らが真摯に事業に取り組んでいても、うまくいくかどうかはわかりません。
彼らに出資することはある種の賭けで、大手の仮想通貨ですら、まだ試験段階にある仮想通貨市場では、よりその度合いは強いと言えるでしょう。
つまり、失敗した際には出資者が何ら見返りを得られない可能性がある、それが現状のICOのシステムです。
現時点では規制や出資者保護のルールも定まっておらず、詐欺も横行しています。
Golemへの不信感と競合通貨の誕生
Golemは提供された資金の多さに見合った動きを、これまで取ることが出来ていませんでした。
2016年にICO資金を獲得した際は、Golemの提供するコンピューティング資源のシェアサービスには競合はいませんでした。
ですが、この2年弱の間に、「SONM」や「iEXEC」というライバルも生まれました。
彼らは2017年にICOで資金調達を行い、既にテスト段階ですが、プラットフォームを立ち上げています。
つまり、現時点でGolemよりも進んでいるのです。
2018年4月10日にやっとサービスがローンチされ、詐欺であったり、ロードマップを遂行する気がないといった疑惑は払拭することができた可能性がありますが、依然として前途は多難でしょう。
ただ、市場はこのことを好意的に受け取っています。
以前のGolemのような状況に置かれている仮想通貨の一つがTezosです。
2017年7月に232万ドルもの莫大な資金をICOで調達していながら、いまだそれが実を結んでいません。
こうした状況の中Golemのクローズドテストではなく、ローンチを行ったという選択はTezosのようなチームとはGolemが違うことを証明し、結果としてGNTの市場価格を底上げすることにつながりました。
Golemのライバル達
Golemは今回のローンチによって正式に仮想通貨市場に参入したと言えるでしょう。
Golemの競争相手となるのが、すでにどちらも2017年にICOで資金調達を行い市場に参入している、「SONM」と「iEXEC」です。
SONMはブロックチェーン技術を利用した分散化されたネットワークを利用して、コンピューティングを世界中でシェアするような仕組みの構想を練っています。
また、iEXECはブロックチェーン技術を利用したクラウドリソースの分散型マーケット構想をねっているなど、三社ともに非常に似たプラン、メインサービスの計画を立てています。
現状メインプラン以外の部分でもあまり大きな差異はないこの三社が、お互いどのような差別化を図っていくのかが今後のカギとなるでしょう。