薬品会社SynBioticがビットコインを購入
ドイツの薬品会社SynBiotic SEが、インフレヘッジとして、自社保有資産のポートフォリオに暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(BTC)を加えたことがわかった。
SynBioticは、デュッセルドルフ証券取引所とXetra電子取引プラットフォームに上場している企業だ。MicroStrategyや、Square、テスラなどの米企業に続き、欧州企業もビットコインの購入へ動き始めている。
2月16日に同社は公式サイトで「余剰資金の一部をビットコインに移し始めた」と発表。購入したビットコインの量は明かしていないものの、これからも継続的にビットコインを購入する可能性を示唆している。
この決定の理由についてLars Müller CEOは、次のように説明。
ビットコインの量は2,100万枚に制限されている。この上限は決定されていて動かせないもので、仮想通貨の分散型構造とブロックチェーンの改ざん防止性により保証されている。このため、政治の影響を受けた中央機関が際限なくマネーサプライを拡大できるユーロやドルよりも、ビットコインは長期的な信頼性があると考える。
投機的な購入ではなく、ビットコインの発行上限を根拠に挙げ、法定通貨ユーロの切り下げリスクをヘッジすることを示した。
SynBiotic SEは、特に大麻から抽出できるカンナビノイドの合成生産、医薬品開発、栄養補助食品や化粧品の開発に焦点を当てる企業である。
同社の子会社は、以前よりユーロでの支払いに加えて、ビットコイン決済を受け入れており、シンプルでデジタルな支払い手段として非常に好感触を得ているという。
ドイツの上場企業の中では、ベンチャーキャピタルBitcoinGroup SEが、ビットコインへ投資しており、2021年1月には増資して1億ユーロ(約127億円)まで増やした。
他の欧州企業としては、ロンドンを拠点とする資産運用会社Ruffer Investmentが、昨年のビットコイン投資から7億5,000万ドル(約793億円)以上を利益を上げたと発表している。
米ツイッター社もビットコイン保有を検討
2月8日には、イーロン・マスク氏率いる大企業テスラ社が総額15億ドル(約1,550億円)相当のビットコインを購入していたことが報道され、ビットコイン価格は過去最高値を更新した。
また現在ビットコインを購入していないものの、将来の購入可能性を否定しないとコメントする企業も増えている。
大手自動車メーカーGMのCEOも、10日に行われた四半期決算会議で「現在はビットコインに投資する計画はないが、今後も引き続き市場の展開に注目し評価する。将来仮に消費者からの需要が高まれば、検討する余地はもちろんある」と発言した。
また、米ツイッター社CFO(最高財務責任者)も、ビットコインを従業員やベンダーなどへ支払う手段として活用するために、保有を検討していると述べている。
一方で、短期的にはビットコイン購入を行う企業は多くないだろうという調査結果もある。リサーチ・アドバイザリー企業Gartnerが16日に発表した調査によると、2021中に企業資産としてビットコインに投資すると答えた経営者はわずか5%だった。ビットコイン投資を思いとどまる原因としては「高いボラティリティ」と答える回答が多かった。
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