遅延に対応して審査体制を強化
英国の規制当局である金融行動監視機構(FCA)は暗号資産(仮想通貨)企業のライセンス登録をめぐって、審査体制を強化中。背景としては、登録の審査が遅延しており関連企業からクレームが発生していることがある。
英国では、2020年1月よりFCAが仮想通貨関連企業に対するマネーロンダリング及びテロ資金供与対策(AML/CTF)の監督機関となり、当局への登録を義務付けていた。
しかし審査が遅延し、登録期限はこれまでに二度延長され、当初の2021年1月から、2022年3月31日まで延長。それまでの間、既存の仮想通貨関連企業は登録なしでも事業を継続できることになる。
当局は、パンデミックの影響や審査プロセスの複雑さなどにより作業に遅れが生じていると説明していた。
議員との質疑応答
この遅延について保守党のPhilip Davies議員は、一連の書面により財務省に質問を投げかけた。その後5月28日に、英財務省のJohn Glen経済担当政務官が「かなりの数の企業が、十分に強固なマネーロンダリング制御のフレームワークを準備できておらず、また適切な人材も確保していなかった」と回答。
これを受けてDavies議員は、審査が遅延している状況でFCAはまだ仮想通貨セクターの監督者として適切なのかどうかと6月に入ってから新たに質問を提出。Glen政務官は再度応答し、現在審査体制を強化しているとして、次のように述べた。
申請の処理に予想よりも長い時間がかかったために、FCAが審査に割り当てるリソースを大幅に増やしたことを確認している。
また政務官は、審査にかかる時間についても明かしている。仮想通貨企業が登録申請してから審査結果が出るまでの平均は248日で、これまで企業の最長待機期間は527日だったという。
審査遅延については、企業に追加情報を求めていたことも原因として挙げた。
金融行動監視機構(FCA)は企業のビジネスモデルを総合的に評価しており、多くの場合は申請企業に追加情報を要求する必要があった。
大きな理由としては、事業形態や、会社が必要な基準を満たしていることを示す情報が不足していたことがある。このために、仮想通貨企業の審査には、当初の予想よりも時間がかかった。
Glen政務官は「消費者へもたらす潜在的なリスクと、仮想通貨セクターの競争力とイノベーションを促進することとの間でバランスを取る」必要性があると強調している。
また政府は「金融商品の規制に関する専門知識や、仮想通貨以外の金融サービス企業について、マネロン防止の監督を行ってきた経験」などにより、FCAを仮想通貨セクターの適切な監督者だとみなしているとも回答した。