ゲーム内の仮想通貨も課税対象に
ブロックチェーンゲーム「Axie Infinity(アクシーインフィニティ)」などのゲームから得られる収益は、フィリピンでは課税対象になることが分かった。現地メディア『Manila Bulletin』らが報じた。
同国財務省のAntonette C. Tionko次官が、収入が得られるゲームから得た利益は、所得税の対象になると説明。コロナ禍を追い風にフィリピンでオンラインゲームの人気が高まる中、財務省と内国歳入庁は特にアクシーインフィニティを注視しているという。
アクシーインフィニティは、ベトナムのゲームスタジオ「Sky Mavis」が開発。NFT(非代替性トークン)のキャラクター「アクシー」を育成したり戦わせたりするゲームだ。
プレイヤーがゲームで暗号資産(仮想通貨)SLPを獲得し、それを現地の法定通貨に変換できる「Play-to-earn」という仕組みが備わっており、フィリピン以外でもインドネシアやブラジルなどの国々で参加者が増えている。今月にはアクシーインフィニティについて、これまでに250万件以上の取引が行われ、11億ドル(約1,200億円)超の取引高を記録したことが分かった。
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Tionko氏は今回、「アクシーが通貨なのか有価証券なのかという判断は、証券取引委員会(SEC)と中央銀行が今議論しているが、それでも税金を徴収することは可能だ」と説明。
また、「アクシーインフィニティの開発企業は内国歳入庁に登録をしていない。ベトナムを拠点にする外国企業だが、フィリピンで得た収益は、フィリピンの課税の対象になるため、報告義務が生じる」と指摘している。そして、アクシーインフィニティに限らず、オンライン上で得た収益は所得税の対象になると説明した。
比SECも注視
『Manila Bulletin』は連日で本内容を報じており、上記の内容は23日付の記事だ。
24日にはSECの見解を報道。「アクシーインフィニティについては、Sky Mavisらの関連企業はSECに登録しておらず、有価証券を販売・取引するラインセンスも取得していない」というSECの主張を伝えた。なお、上述した通り、ゲームで利用されるNFTが有価証券になるかはまだ決定していない。
SECは、収益を得られる他のゲームと同様、アクシーインフィニティに関する問い合わせが非常に多いとしている。そして現在、経済的な影響やリスクについて調査しており、複数の組織で議論もしていると述べた。
また、国民に対し、一生懸命稼いだお金を失わないために、対象のライセンスを持たない企業で取引は行わないように警告もしたという。
フィリピン、インドネシア、ブラジルなどの新興国では、一定量以上の日々のゲームプレイで得られる平均月額1,200ドル(約13万円)は、最低賃金の5倍以上になるとされ、生活費を稼ぐことを目的にプレイヤーが急増していると見られる。
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