30億円超のビットコインを押収
ブラジルの警察は25日、暗号資産(仮想通貨)投資関連の詐欺行為を行っていたとして捜査を行い、時価30億円に相当する591BTCを押収したことが分かった。
警察によると、リオデジャネイロに拠点を置くこの会社は、仮想通貨への投機に関連するとされる活動を行っていた。
ブラジルの警察は「クリプトス作戦」と銘打って、15件の捜索・押収令状を発行、少なくとも5人を逮捕したという。約120名の警察官を動員する大規模な捜査だった。
CNNブラジルは、逮捕者の一人は、カボフリオ市にあるビットコイン・コンサルタント会社のオーナーであるGlaidson Acácio容疑者だと報じている。容疑者は、ユーザーに投資金額の最大15%のリターンを約束すると騙り、ポンジスキームの一種を大規模に行っていた疑いがある。
Glaidson Acácio容疑者の弁護団は「逮捕されたことは知らされているが、今のところ捜査の具体的な内容を入手できていない。すべての書類を適切に分析して初めて、私たちは意見を述べることができるだろう」との声明を出した。
警察はビットコインに加えて、一連の捜査で現金約1,900万レアル(約4億円)を押収。その他、21台の高級車、高級時計、宝石、外貨、書類などを差し押さえた。
警察の発表によると、この企業は過去6年間に数十億ドル相当の取引をしており、そのうちの約半分は昨年に行われたものだったという。逮捕された者達は、無登録での違法な証券発行、マネーロンダリングなどの容疑で有罪となった場合、最長で26年の懲役刑を受ける可能性がある。
仮想通貨に先進的なブラジル
ブラジルは仮想通貨の導入に積極的な国の一つである。3月に、ブラジルの証券取引委員会(CVM)は、米国などに先駆けて、QR Capitalが立ち上げたビットコインETFを承認。このETFは6月、QBTC11というティッカーシンボルで主要証券取引所B3に上場した。
さらに、QR Capitalは7月、南米初のイーサリアムETFも立ち上げている。このファンドはB3にQETH11というティッカーシンボルで上場した。
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ブラジル中銀総裁は規制改善を呼びかけ
ブラジル中央銀行のカンポス・ネト総裁は、今月Council of the Americasが主催したイベントで、国内投資家の仮想通貨に対する需要を考慮して、規制を改善する必要があると述べている。
総裁は「スピーディでオープン、安全で、透明性が高い決済システムに対する人々のニーズに対応する必要がある」と見解を表明。現在、仮想通貨に対応する環境整備のために、証券取引委員会と話し合いをしているという。
ブラジルの政策担当者の中には、仮想通貨が一般的な決済システムというよりは、投資手段として成長していることを懸念している者がいることにも言及。総裁はその点には「注意すべき」としつつ、金融市場が大きく変化する中で「規制の世界を再構築する必要がある」と話した。