ヴィタリック氏がタイム誌の100人に選出
米「タイム」誌は15日、「世界で最も影響力のある100人」を発表。その中の一人に暗号資産(仮想通貨)イーサリアム(ETH)の創設者であるヴィタリック・ブテリン氏が選ばれた。
ブテリン氏はこれまでにも、ブルームバーグ社の「世界に一番影響力を与えた人物50人」(2017年)などに選出されたことがある。
ヴィタリック・ブテリンとは
ブロックチェーンプラットフォーム「Ethereum」を考案した人物である。ロシア系カナダ人のプログラマ、起業家。主に暗号通貨イーサリアムの考案者として知られる。2017年にブルームバーグ社の「世界に一番影響力を与えた人物50人」のうちの1人に選ばれ、2018年にはフォーブス誌の「30アンダー30」に選ばれる。
▶️仮想通貨用語集
「開発者の開発者である」
ブテリン氏の記事を書いたのは、大手掲示板サイトRedditの共同設立者であるAlexis Ohanian氏。Ohanian氏は「Redditにもイーサリアムを語るスレッドがあったおかげで、早い時期からブテリン氏のキャリアを見てきており、彼が築き上げてきたものに誇りを感じている」とコメント。次のように続けた。
イーサリアムの時価総額が約4,000億ドル(約44兆円)に達したことや、非中央集権的なアプリケーションの隆盛、今年のNFT(非代替性トークン)ブームなど、彼がプラットフォームの創設者として生み出した価値は沢山ある。
しかし、ブテリン氏が特別なのは、彼が開発者達の開発者であることだ。イーサリアムのすべての用途を思いつけた人はいないだろうが、一人(ブテリン氏)のアイデアがきっかけとなってイーサリアムの世界が始まったと言える。
具体的には、サッカー選手のデジタルカードを取引できるフットボールゲーム「Sorare」などNFTの世界が広がっている事例も挙げている。Ohanian氏はCoinDeskに答えて、人気NFTプロジェクトCryptoPunks、Bored Apes、Axie Infinityなども、イーサリアムにより可能になったものとして指摘した。
このうち、例えばBored Apesは老舗オークションハウスのサザビーズでも競売にかけられており、9日には約26億円という高値で落札されている。
関連:大企業の関心集める「NFT」の魅力とは|主な特徴と将来性を解説
ブテリン氏のメディア登場事例としては、現在イーサリアムをテーマとするドキュメンタリー映画「Ethereum:The Infinite Garden(イーサリアム:無限のガーデン)」のプロジェクトが進められているところだ。
2023年に封切り予定のこの映画は、イーサリアムのもたらした革新やブテリン氏に焦点を当てるものだという。
関連:イーサリアムの長編ドキュメンタリー映画 ヴィタリックも登場へ
ブケレ大統領も100人の1人
今年の「世界で最も影響力のある100人」には、ブテリン氏の他にも仮想通貨と関連のある人物が掲載された。ビットコイン(BTC)を財務資産として購入したテスラのイーロン・マスクCEO、ビットコインを世界で初めて法定通貨として採用したエルサルバドルのナジブ・ブケレ大統領などである。
なお、日本からは野球選手の大谷翔平氏、テニス選手の大坂なおみ氏、建築家の隈研吾氏が選出された。
選考基準について、2007年にタイムの「100人」リスト編集長は「その人物のアイデアや、模範、才能、発見などが私達の生きる世界を変えるような人物」と話していた。