マイニング報酬所有権110万BTCめぐるクレイグ・ライト被告の訴訟、最終段階へ

マイニング報酬めぐる長期裁判が最終段階へ

米国フロリダ州の地方裁判所は1日、ビットコインの生みの親である”サトシ・ナカモト”を自称するクレイグ・ライト氏と、故デイブ・クレイマン氏の間で行われている訴訟について、陪審員裁判を開始する。4年に渡る法廷闘争に、ようやく決着がつく見込みだ。

この訴訟は、ライト氏と故デイブ・クレイマン氏が、2009年から2011年の間に共同で行った暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(BTC)マイニング報酬について、所有権が争われているものだ。

マイニング報酬は、推定110万BTCに及ぶとされているが、2013年に死亡したクレイマン氏の遺族は、共同でマイニングしたにも関わらず、ライト氏が全ての報酬を着服したと主張し、2018年にクレイグ氏を被告として訴訟を起こした。クレイマン氏の遺族は、ライト氏に対して、約114億ドル(約1.3兆円)と、ビットコイン技術に関する知的財産(IP)の返還を求めている。

クレイグ・ライト氏は2018年、ビットコインキャッシュの敵対的ハードフォーク(分裂)をめぐりロジャー・バー氏らと争ったほか、ビットコインのホワイトペーパーを掲載する仮想通貨企業Bitcoin.comを著作権侵害で訴えるなど、数々の争いを繰り広げてきた。

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サトシ・ナカモトとは

ビットコインの生みの親として知られる人物(あるいは複数名の人物)の呼び名である。全ての発端となった2008年の論文は『Bitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash System』というタイトルである。サトシ・ナカモト氏名義の論文はビットコイン(BTC)の原点として28カ国の言語に翻訳されており、論文では「電子的な通貨を使えば金融機関を使わずに金銭をやりとりできる。」など、仮想通貨の概念が明確に示されている。

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今年1月の、ホワイトペーパーを巡る騒動の際には、Bitcoin.org側がライト氏に抵抗してホワイトペーパー公開を継続。ビットコインコミュニティ内には、これに連帯する動きも見られた。

旧フェイスブック(メタ)社の子会社でデジタル資産ウォレットを提供する「Novi Financial」や、ビットコインを財務資産として購入しているMicroStrategy社、Square社なども、それぞれの公式サイトにホワイトペーパーを掲載した。

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こうして、ライト氏が物議を醸してきた経緯があるだけに、今回の陪審員裁判も、仮想通貨コミュニティから注目されている。この裁判の過程で、これまでのライト氏の主張の真偽が問われる可能性があるためだ。

民事訴訟では最大級の係争額

また、民事訴訟では最大級の賠償金約1.3兆円が争われる点でも関心が集まっている。

訴訟データを提供するVerdictSearchによると、2021年に米国で行われた民事裁判で言及されたうち、最も大きな係争額は、VLSI Technology LLCがIntel社を特許侵害で訴えた件の21億7,500万ドル(約2,480億円)と、Optis Wireless Technology社がApple社を訴えた件の3億ドル(約342億円)だった。

今回の訴訟は、こうした、巨大企業が関連する事例よりも、はるかに大きな金額が個人間で争われる異例の裁判となる。

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