信託会社もステーブルコイン発行可能に
日本政府は、円などの法定通貨に価値が裏付けられた暗号資産(仮想通貨)ステーブルコインに関する法整備について、銀行や資金移動業者に加え、信託会社を規制対象にする方向で最終調整に入ったことがわかった。時事ドットコムが17日に報じた
金融庁は、円に連動したステーブルコインを発行できる組織について、銀行と資金移動業者のみに限定する方針を示している。
既存の法律で顧客資産の保護が義務づけらている銀行と資金移動業者に発行許可を限定することで、利用者のリスクを軽減することが狙いだ。また、ステーブルコインの取引や管理を担う仲介業者を監督対象に加えて、マネーロンダリング対策(AML)も強化する。
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ステーブルコインを発行できる組織として、検討していた銀行と資金移動業者に加えて信託銀行などの信託会社も対象とする格好だ。信託会社が資産の受益権を設定する形での発行を見込んでいる。
17日に金融庁が開催する資金決済に関する作業部会で詳細を詰める予定で、資金決済法など関連法改正案を来年の通常国会に提出したい考えだという。
ステーブルコインをめぐる動き
現在、国内でステーブルコインを巡る動向が活発化している。
日本円連動のステーブルコインJPYCを発行するJPYC株式会社は11月、米ドルステーブルコイン「USDC」を発行するCircle社が運営するファンド「Circle Ventures」などからシリーズAで約5億円を調達。
また、実店舗における利用も拡大している最中で12月6日には百貨店「松屋銀座」にてJPYCを使用した代理購入を開始することを発表していた。
また、ディーカレットが事務局を務める「デジタル通貨フォーラム」は11月、日本円のデジタル通貨「DCJPY」の概念実証を2021年度内に開始する計画を発表した。
デジタル通貨を活用するとしたら決済や送金において、どのくらい効率化やコスト削減につながるかなどを実証する狙いで、その結果を踏まえ、2022年度中にデジタル通貨やその運用を支えるプラットフォームの実用化を目指すと説明していた。
12月6日には、株式会社woorthが、2022年春にブロックチェーン上で発行される前払式支払手段である日本円連動のステーブルコイン「JPYT」発行することを発表した。
JPYTは日本円と1:1で購入・利用できるプリペイド式のBEP20トークン。最初はバイナンススマートチェーン(BSC)に対応し、順次その他のチェーンにも対応予定だという。
第2フェーズとして決済手数料の発生しない自己管理型決済サービス「JPYT Pay」、カード加盟店でJPYT決済ができる「JPYTカード」、ガス代(ネットワーク手数料)不要で送金・決済可能なサービス、独自ブロックチェーン・ウォレットの開発を視野に入れているとした。