MKRトークノミクスモデルの革新
分散型金融(DeFi)プロトコルのMakerDAOでは昨今、ガバナンストークン「メイカー(MKR)」のトークン設計に関する議論が活発化している。23日には、著名VCであるAndreessen Horowitz(a16z)のPorter Smith氏が新たな提案を投稿した。
MakerDAOはステーブルコインDai(DAI)を開発するプロジェクトとして始まり、現在ではイーサリアム(ETH)を始めとした様々な暗号資産(仮想通貨)を担保にDAIを借りることができる。DAIの時価総額は現在、94億ドル(約1兆1,500億円)ほど、ステーブルコインとしては時価総額で5番目の規模に成長している。しかし、ガバナンストークンである仮想通貨MKRは時価総額18億ドル(約2,000億円)で市場ランク66位に留まっている。
MakerDAOでは現在、ステーブルコインDai(DAI)の貸出プロセスで得た手数料を使ってシステムの負債を補充し、余剰分をSurplus Auction(余剰オークション)にかけてMKRトークンを買い戻し、バーン(焼却)するのに使用している。これまで22,000以上のMKRトークンがバーンされてきたが、期待された効果に結びついていないとSmith氏は提案で指摘した。
過去の統計分析と現在の市場状況を考えると、バイバック・バーンモデルは、MKRトークン保有者とDAOにとって、コミュニティが望む長期的な影響を達成するために最適とは言えないかもしれない。
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MKRにユーティリティを追加
提案された新しいモデルは3つの個別のスレッドから構成。主なコンセプトは、バイバック・バーンモデルを廃止して、MakerDAOのエコシステム内でより生産的に使用する方法となっている。提案は、MKRのトークノミクスモデルを刷新するねらいについて以下のようにまとめられている。
価値創出の最大化、MKRトークンに新たなユーティリティの追加、(利回り)レイヤーの追加、ガバナンスプロセスの耐久性と効率性の向上を指し示す。
MKRトークンにユースケースを追加する部分では、ステーブルコインDaiのための保険基金の設置や、不動産などRWA(リアルワールドアセット)を使用するシステムのオンチェーン担保とする案が盛り込まれた。
「ガバナンスインセンティブ調整」のパートでは、投票へのエンゲージメントを高めるためにMKRトークンを報酬として用いたり、権利確定期間を設ける案が細かく記載されている。なお、長期間のトークンロックの代償として報酬率を高める「veToken」モデルには否定的な立場を示した。最後に、これらの提案は「a16zの個々の担当者の見解であり、a16z社や関連会社の見解ではない」と注記されている。
MakerDAOは現在、ガバナンストークンであるMKRトークン保有者が参加できるDAO(自律分散型組織)として運営されている。21年7月にはプロトコル開発促進やエコシステムの支援などを目的として活動してきたMaker財団が解散していた。
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