「仮想通貨に対する投資ポジション」を質問
米大手投資銀行ゴールドマン・サックスは2022年の保険業界調査レポートを発表。暗号資産(仮想通貨)についての質問事項が初めて含まれるものとなった。
この年次調査は今回で11回目に当たる。世界の保険会社の最高投資責任者あるいは最高財務責任者、合計328人を対象にしたものだ。ゴールドマンサックスによると、対象となる企業は合計でバランスシートに約1,700兆円(13兆ドル)を投資しており、世界の保険業界の半分を占めることになるという。
調査では、「仮想通貨に対する投資ポジションは?」という項目が設けられ、回答として「現在投資している」「投資を検討している」「投資を検討していない」という3つの選択肢が用意された。
大半(94%)が、仮想通貨への投資を「検討していない」と答えており、「検討している」としたのは4%、「現在投資している」としたのが2%だった。
地域によって差も見られ、米国に限定した場合は11%が「現在投資している」または「投資を検討している」と答えている。アジア地域の場合この割合は6%、欧州の場合は1%だった。
9割以上が「投資を検討していない」とした格好だが、ゴールドマンサックスは仮想通貨への「関心の程度は注目される」と述べている。
ゴールドマンサックスの保険資産管理・流動性グローバル責任者マイク・シーゲル氏によると、仮想通貨に興味を持った企業は、その市場やインフラについて理解を深めたいと考えていたという。
シーゲル氏は、もし仮想通貨が「取引可能な通貨になった場合、保険会社は仮想通貨で保険を決済する能力を持ちたいと考えている」と述べた。その場合、ドルや円、ポンド、ユーロで行うのと同様に、仮想通貨での保険料支払い受付を望んでいるという。
仮想通貨の投資リターンについて
調査では、今後12か月のリターンが高いと推測される資産、低いと推測される資産についてもアンケートが行われた。仮想通貨はいずれにも登場している。
「最も高いリターンを生み出すと考えられる資産」の項目では、仮想通貨は株式、コモディティ、新興市場株式、不動産に続く5位にランクイン。全体の割合では6%だった。
一方で仮想通貨は、「最も低いリターンを生み出すと考えられる資産」の項目では債券、現金や短期金融商品に続く3位であり、全体の16%だった。リターンが低いと見る傾向の方が強かったことになる。
企業のビットコイン保有事例
保険会社の仮想通貨保有事例としては、米自動車保険企業Metromileが2021年に約1億円相当のビットコイン(BTC)を購入していたことが知られている。
その後、Metromileはニューヨーク証券取引所に上場しているIT系の保険企業Lemonade社と合併した。
ビットコインをバランスシートに大量保有する企業としては、5月時点で129,218BTCを有する米上場企業マイクロストラテジーが存在する。
市場下落により、同社は5月時点でビットコインにより400億円以上の含み損を抱える計算だが、マイケル・セイラーCEOは、「仮に1BTCの価格が約46.4万円まで大幅に下落して担保不足に陥った場合も、保有するビットコインは売らず、他の資産を担保として追加する考えだ」との方針を表明している。
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