DAO間の投資契約
2つのDAO(分散型自律組織)間の投資契約の解消と、割り当てたトークンの買い戻しが決定した。投資家サイドであるYield Guild Gamesが10倍の投資リターンを得る形で着地している。
21年9月、Yield Guild Games(YGG)は競合関係にあるMerit Circle(MC)のシードラウンドで2,400万円(17万5000ドル)を投資し、将来発行するガバナンストークンMCおよそ550万MCについて、0.032ドルでの販売契約(SAFT)を締結していた。
またMerit Circleのシード投資家に配分したMCトークン(供給全体の14.06%)の36ヶ月間の配布期間の開始月が22年6月に迫っていた。
14日の共同声明によると、両者はこの投資契約を解消し、シードラウンドでの17万5000ドルの出資に対してYield Guild Games(YGG)に割り当てられた約550万MCは、2.4億円(175万USDC)で払い戻される。
Merit Circleの発展のために
Merit Circle(MC)とYield Guild Games(YGG)はどちらも「遊んで稼ぐ(Play-to-Earn系)」のゲームに投資するDAOプロジェクト。保有するNFT資産を貸し出すなどの運用も行う。特にYGGはアンドリーセン・ホロウィッツなどから出資を受けており、4カ国以上で10万人以上のプレイヤーを抱える世界最大のブロックチェーン・ゲームギルドだ。
5月20日にはMerit CircleのDAOでSAFT契約を破棄し、Yield Guildの当初の投資を払い戻すとともにMCトークンの割り当てを削除する提案が提出されていた。
提案者はMerit CircleがYGGから十分なサポートを得られていないと主張したが、YGGによる過去の協力事例が示されると、そうした貢献の評価項目が無いことが問題視されるなど論争が発展していた。
YGGのブログで公開された共同声明では、「提案が恣意的であり、合意が守られず投資家が尊重されないという前例はMerit Circle DAOと業界全体にリスクをもたらす可能性がある」と指摘。今回の合意内容に至った経緯について以下のように説明されている。
事前の合意とDAOの提案との相違は、Merit Circle Ltdに対する訴訟につながる可能性がある。法的問題は長期化される可能性があり、妥協案を見出すことに互いに同意した。Merit Circleが前進する上で建設的な道を選んでいる。
関連:「YGG Japan」誕生 世界最大のブロックチェーンゲームギルドが日本進出