マージの最新スケジュール
暗号資産(仮想通貨)イーサリアム(ETH)の開発者チームは24日に会議を実施、テストネットSepoliaで7月6日頃に「The Merge(マージ)」を行うことを計画している。その他、関連する幾つかの問題を確認している。
マージは「統合・合併」を意味するフレーズ。プルーフ・オブ・ワーク(PoW)を採用する既存のイーサリアムチェーンと、PoSを採用した新チェーンを統合させる狙いがある。9日には、テストネットRopstenでマージが実装された。
残り2つのテストネットSepoliaとGoerliでもマージを完了した後には、メインネットで正式に実装されることになる。
The Mergeとは
イーサリアム・ブロックチェーンのコンセンサス(合意形成)アルゴリズムを従来の「プルーフ・オブ・ワーク(PoW)」から「PoS」へ移行する大型アップグレード。ユーザーが現在利用している旧イーサリアムと「ビーコンチェーン」と呼ばれる新チェーンを統合(The Merge)することにより、PoSへのアップグレードが完了する。
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現在確認されている問題
Galaxy DigitalのアナリストであるChristine Kim氏は、開発者会議の内容をまとめた。このスレッドによると、開発者達は、いくつかの問題を指摘していた。
But through some of these compounding failures, the network could end up in a never ending syncing loop that requires manual intervention from core devs to fix.
— Christine Kim (@christine_dkim) June 24, 2022
22日にはメインネットで7回目のシャドーフォークが行われたが、この際に20%のノードがマージの実行と同時に脱落し、その後さらに多くのノードが脱落してしまったという。
これはErigonノードに関わる問題と、HyperledgerBesu(Javaで記述されたオープンソースのイーサリアムクライアント)のノードおよび、それらが使用する「bonsai tries」というデータ保存フォーマットに関する問題から引き起こされていた。
開発者チームは、Erigonノードに関わる問題については、すでに必要な修正を行ったと確認している。HyperledgerBesuに関する問題については、現在解決方法を模索しているところだという。
チームはこれらのことは、マージそのものではなく、シャドーフォークの動作に関わる問題だと強調した。
その他には、クライアントソフトウェアNethermindとTekuの組み合わせに問題が見つかり、チームは根本原因を調査しているところだ。
なお、シャドーフォークとはストレステストのこと。テストネットではアクティビティが少ないため、同期やステート(状態)の増加に関する想定が正しいか、負荷(ストレス)をかけてテストを行うものだ。
シャドーフォークで見出された課題にも関わらず、開発者チームは楽観的であり、7月6日頃に2番目の主要テストネットSepoliaでマージを実行することを計画している。
また、7月の第1週頃に、再びメインネットのシャドーフォーク(8回目)が行われる見込みだ。
マージ完了後3つのテストネットが閉鎖予定
開発者チームは、イーサリアムのテストネットのうち、Ropsten、Kiln、Rinkebyの3つを、マージ完了後に閉鎖すると発表している。今後マージが実施されるGoerliとSepoliaはマージ後も存続予定である。
チームによると、Goerliには、強力なコミュニティと多くの既存インフラがあり、プロトコルのアップグレードをテストするステーカーや、既存インフラで機能を検討したい開発者に推奨される。
一方、Sepoliaはかなり新しく、その状態や履歴はどちらも非常に規模が小さいため同期も早い。より軽量なチェーンとの同期やインタラクションを望むユーザーや開発者に推奨されるという。
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