ウォレットハッキング
上海を拠点にする投資会社Fenbushi Capitalのパートナー、Bo Shen氏のウォレットがハッキング被害に遭い、11月10日に約60億円(4,200万ドル)相当の暗号資産(仮想通貨)が奪われていたことが明らかになった。
不正流出した資産の内訳は以下の通り、いずれも個人資産であり、Fenbushiやその関連団体の顧客に影響を与えることはないという。
- USDCoin(USDC)3,823万ドル
- イーサリアム(ETH)1,600ドル相当
- テザー(USDT)約72万ドル
- ビットコイン(BTC)4ドル相当
Shen氏は既に、事件について地元の法執行機関に通報済み。FBIやブロックチェーンセキュリティ企業SlowMistと連携して捜査している。
オンチェーン追跡を行うSlowMistによると、盗まれた資産のうち25万ドル相当のUSDTは、KYC(顧客確認)なしで利用できる仮想通貨交換サービス「ChangeNOW」や「SideShift.」に預入された。
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Bo Shen氏のイーサリアムアドレス(0x6~c5e894)から奪われた約3,823万ドル相当のUSDCはDeFiプロトコルAaveを通してDAIに交換され、大部分が(0x66~ae14)で保持されている。これによりUSDC発行企業Circle氏による、アカウント凍結を回避した。
To sum up, a simple money flow shows that the hacker transferred 38M $USDC to a flash-loan contract, the hacker used the $USDC to pay the debt and lend $DAI.
— 0xScope (@ScopeProtocol) November 23, 2022
Tx hash:https://t.co/vJH2ltFV62 pic.twitter.com/e8NtOQkLRr
SlowMistによると不正流出の原因は、24個の単語で形成されるニーモニックフレーズが何らかの原因で漏洩したこと。事件前日にBo Shen氏はFTX.USから資金を引き出していた。同氏は当時、ウェブ・モバイルウォレット「Trust Wallet」を使用していたという。
Trust WalletはMetaMaskと同様にソフトウェアベースのホットウォレットと呼ばれ、デバイスに秘密鍵を暗号化形式で保管し、インターネットに接続して使用する。TrezorやLedgerなどコールドウォレットに比べて使い勝手が良いが、セキュリティ面で劣る。
過去にはウォレットのアカウントを復元する時に利用するニーモニックフレーズ(シークレットリカバリーフレーズ)が暗号化されずに中央サーバーに保存され、漏洩する事例も報告されている。
22年8月にPhantomやSlope等のソラナ関連のホットウォレットから、暗号資産(仮想通貨)SOL及び「SPL規格で発行されたトークン」が流出。被害を受けたアドレスは約8,000件に上り、推定10億円(800万ドル)程の資産が攻撃者が管理する4つのアドレスに送られた。
ソラナ財団によれば、被害に遭ったウォレットアドレスは、いずれもモバイルウォレットアプリ「Slope」で作成されたり、Slopeにインポートして使用されていたもの。Slopeの中央サーバーに「平文(暗号化されていないデータ)」で秘密鍵とニーモニックが送信されており、大規模な情報漏洩を招いた疑いがある。
(編集済み)