
- 重要ファンダ予定表
- 「ビットコインETF」の審査期限、BTC先物SQなど、仮想通貨市場価格に影響を与える得るイベント情報をまとめている。あらかじめ材料をチェックしておくことで、トレードの投資判断に役立てることができる。
- ファンダメンタルズ分析とは
- 経済活動や業績を元に企業等の本質的な価値を分析する手法。仮想通貨の場合は、株式市場のような決算発表はないため、国際規制の動向、大手仮想通貨取引所へのハッキング、機関投資家の参入など重要ニュースが相場に影響を及ぼしやすい。
注目イベント
イベント名 | 注目度 | 日程 |
---|---|---|
ダボス(ブロックチェーン経済フォーラム) Ripple CEO登壇 | ★★★☆☆ | 日本時間 1/25(金) 3:15-4:00 |
Cboe ビットコイン先物SQ | ★★☆☆☆ | 日本時間 1/26 1:00頃 |
中国の旧正月(春節) | ★★★☆☆ | 日本時間 2/5〜2/7 |
CME ビットコイン先物SQ | ★★☆☆☆ | 日本時間 2/14 6:00頃 |
VanEck版ビットコインETF審査の最終期限 | ★★★★★ | 米国時間 2/27(水) |
イーサリアム大型アップグレード | ★★★★☆ | 日本時間 2/27(水)前後 |
米中貿易摩擦(通商交渉)最終期日 | ★★★★★ | 日本時間 3/1(金) |
英ブレグジット問題 離脱期限 | ★★★★★ | 3/30(土) |
仮想通貨取引所ErisXのCFTCへのDCO申請認可見込み | ★★★☆☆ | 2019年第1四半期(1〜3月) |
米ナスダック、来年上半期に「ビットコイン先物」提供 | ★★★★★ | 2019年前半 |
イーサリアム大型アップグレード
1月17日に予定されていたイーサリアムの大型アップグレード【コンスタンティノープル】における、リエントランシー攻撃に関する脆弱性が発覚したため、2月27日付近に予定を延期。開発者のPéter Szilágyi氏は、「ブロック#7,280,000」の時点の実施を発表している。
実装される事になっている「EIP()」は5つだ。
- EIP 145: ビットワイズ・シフティングと呼ばれるイーサリアム上での情報プロセスの効率向上
- EIP 1052:特定のアドレスハッシュを生成するラージ・スケールコードのオプティマイズ化
- EIP 1283: ガス計量法の変更によりガスコスト削減
- EIP1014:実際にアドレスが形成される前にアドレスを決めてやり取りを可能にする
- EIP 1234:「ディフィカルティボム(マイニングの難易度を徐々に上げていくプログラム)」の延長、マイニング報酬の減少化
スケーラビティ問題の改善だけでなく、プルーフ・オブ・ワーク(PoW)からプルーフ・オブ・ステーク(PoS)への移行として話題を集めた「イーサリアム2.0大型アップデート」の第三段階として注目される。
ブロックチェーン経済フォーラム
1月22〜25日に開催される「ダボス会議・年次総会」と同時開催される「ブロックチェーン経済フォーラム」は、資本市場(長期金融市場)と分散型金融システムをテーマにしたもので、00人を超える著名エコノミスト、規制当局、政府関係者、投資家、および銀行関係者の集う重要イベントだ。
仮想通貨市場から注目されているのは、現地時間の1/24 19:15-20:00(日本時間 1/25 3:15-4:00)のラウンドテーブル「2020年の決済システムについて」の内容で、米Ripple社CEOガーリングハウス氏が、「分散型決済システムの新時代は到来するか?」というテーマで登壇する。
主要国を代表する経済界の重鎮が集う「世界経済フォーラム・年次総会」及び「ブロックチェーンフォーラム」。仮想通貨市場に対して、どのような言及があるのか、投資家の関心が集まっている。
米中貿易摩擦に関する通商交渉期日
米国と中国は現在、米中貿易摩擦を巡り、3月1日(金)まで90日間の期限を設けて貿易協議を行っている。
米トランプ大統領は、2018年に激化した貿易摩擦の緩和を目指して、中国の習近平国家主席と「知的財産権の侵害」などの問題について協議中だ。
3月1日までに進展がなければ、制裁措置を発動する構えを崩しておらず、仮に決裂となれば、景気後退(リセッション)懸念が加速し、株式市場など世界経済に多大な悪影響を及ぼすのは明白となる。昨年末のように再びリスクオフに傾けば、株や債券などリスク資産全般が売り浴びせに遭うことになるため、昨年10月の世界同時株安の時と同様、センチメントの急悪化に伴う個人投資家の追証回避売りなどで、リスクアセット的な傾向が強まりつつある「BTC価格」も引きずられる可能性があると言えるだろう。
以前には、以下のケースで一定の相関性が認められる。
為替急落
1月3日には、年始で薄商いの中、為替レート109円台から一時104円85銭までフラッシュ・クラッシュしており、同タイミングでBTC価格も急落している(下図参照)ことから、価格推移には相関性が認められる。

TradingViewのBTCJPYチャート(上側のチャートがBTC価格)
株価の暴落
下図では、青いラインが日経平均株価、赤の大陰線がビットコイン価格を重ねて比較・検証したものになるが、大規模な急落が連動するなど、やはり「相関性」が指摘されている。
10月11日から12日にかけて、国際金融市場では米国市場や日経先物が暴落しており、日経平均株価も、リーマン・ショックに匹敵する規模の(終値900円安)急落している。
この事で、リスクオフ相場におけるポジション調整の動きが連鎖的に発生。同様のタイミングでBTC価格が急落したことで、個人投資家による「パニック売り」を誘発した可能性が考えられる。
英EU離脱交渉
先日、イギリス下院がメイ首相の「EU離脱協定案」を大差で否決するなど、ヨーロッパの政情不安が混迷を深めていることで、「ハードブレグジット(合意なき離脱)」のリスクが取り沙汰されている。強硬された場合、EU間とのビジネスや、関税および通関で大混乱を招くのは明白で、何が起きてもおかしくない。
国際金融市場は”合意なき離脱”を織り込んでおらず、イングランド銀行総裁のマーク・カーニー氏は2018年11月、「最悪のシナリオの場合、英ポンド(GBP)が25%暴落することもあり得る」と述べ、英国の金融業界団体U.K. FinanceのStephen Jonesも、「EUからの合意なき離脱は、金融業界に壊滅的な結果を招くかもしれない」と警鐘を鳴らした。
そんな中、世界最大の仮想通貨取引所バイナンスは、欧州市場で仮想通貨の普及促進を行うための拠点となることを見込み、英王室属領のジャージー島に「Binance Jersey(バイナンスジャージー)」を設立。
ユーロや英ポンドとビットコインやイーサリアムを交換可能な仮想通貨取引サービスを公表したところ、新規の口座開設申し込みが殺到。CEOのCZ氏は、その数に対し「圧倒されている」と述べ、自国通貨(英ポンド)の不確実性が高まる中、新たな経済的機会として”潜在需要”の高さが浮き彫りになった。
ただし、ビットコイン自体の値動きは2018年以降右肩下がりで、急落を繰り返すなどして不確定要素が増しており、有事の際に仮想通貨市場への資金流入がどの程度あるかは定かではない。
Van Eck版ビットコインETFの最終判断期限
米SEC(米国証券取引委員会)は、日本時間12月7日、最有力とされる、現在申請中のVanEck版ビットコインETFに対して、判断における最終延期の通知 を発表し、その可決の可否に関する期限を公表した。

出典:SEC
最有力とされているVanEck社のビットコインETFは今年7月2日からSECにより、レビュー・審議が行われており、ビットコイン相場は、一時期は最短で8月中旬に承認される可能性があるとされ、思惑先行で急騰を見せていたものの、最初の延期発表とともに、大幅反落を余儀なくされた。
以前よりSECは、「仮想通貨の市場操作の懸念」や「未熟な仮想通貨市場」を主な延期する理由として、今回の最終延期を含め、これで計3回目の延期となった。
SECは最初にレビューが公開された7月2日から240日以内に最終判断を下さなければならない為、12月初旬に行われた延期が最後となっており、その期日が2月27日となっている。
なお、必ずしも2月27日当日に可否判断が降りるものではなく、前倒しに判断が発表される可能性も考えられるため、期日前後の相場の動きには要注意と言っていいだろう。
次世代仮想通貨取引所 ErisXの動き
コインチェックの運営を行う「マネックスグループ」が出資を行い、Bakkt最大の競合と目される次世代仮想通貨取引所「ErisX」のデリバティブ清算機関(DCO)が、2019年の第1四半期(1月から3月)に認可予定だ。
ErisX社の経緯
- 2010年に設立されたErisX社は、指定契約市場(Designed Contract Market)として機能
- 2018年10月にアメリカ大手ブローカー企業TD AmeritradeやCBOEを始めとする複数企業からの投資を受けたことを発表。新興仮想通貨取引所として市場への参入が明らかに
- 2018年12月始めにシリーズBの投資ラウンドを完了した事を発表、総額27.5億ドル(約31億円)相当の資金を大手企業21社から調達した。
- 実際には同社広報担当Jessica Darmoni氏が2017年に既にアメリカ商品先物取引委員会(CFTC)に属するデリバティブ清算機関(DCO)に書類を提出済みであった。
- 2019年の第1四半期(1月から3月)に早々の認可が見込まれている。
今回の認可が下りれば、ErisX社は米CFTCの規制に準拠した仮想通貨商品取引所として、安全で透明性のあるデジタル資産取引所と認知され、機関投資家の参入の可能性が高まる。
また、シリーズB投資ラウンドでErisXに投資している戦略的パートナー企業は、日本の大手金融企業であるマネックスグループも含む有名な大手企業が名を連ねている。

出典:ErisX
- ビットメイン
- フィデリティ
- Cboe
- CTC
- Digital Currency Group
- Nasdaq
- Monex Group
- Pantera Capital
- TD Ameritrade
数々の有名・大手企業が来年発足予定の規制に準拠した仮想通貨商品を提供する取引所ErisXに出資している事は仮想通貨への関心度や興味の高さを示している。
メインストリームをターゲットにした仮想通貨サービスが普及し、特に現物受渡し先物の提供も開始されることは、仮想通貨における健全な市場にとって極めてポジティブな動きになると期待されている。
Bakktのビットコイン先物取引開始
また2019年の1月24日にはBakktが毎日決済のビットコイン先物取引を開始する予定だ。
Bakktはニューヨーク証券取引所を手がけるインターコンチネンタル取引所が親会社であり、提携企業にもマイクロソフト、スターバックスやBCGといった大手企業が名を連ねている為、機関投資家からの信頼獲得、そして資金流入につながることが期待されている。
相場への影響
Bakktが仮想通貨市場に与える影響は主に以下の3点にまとめられる。
1.価格への影響
2.機関投資家参入への影響
3.申請中のビットコインETFへの影響
価格への影響
本来2018年の12月に開始が報道された時にBakktが注目された理由の一つとして2017年にビットコイン先物取引が開始した時の事例が大きな影響としてある。昨年12月にCboeとCMEがそれぞれビットコインの先物取引を開始した際、ビットコイン価格は12月6日から8日の3日足らずで+50%の高騰を記録した。

出典:CoinMarketCap
今回は2017年とは違い下落相場が続いており、初めての仮想通貨派生商品提供でないものの、Bakktの先物取引は「毎日現物決済のビットコイン先物取引」である点や、親会社が影響力を持つインターコンチネンタル取引所であることを考慮すると、実際に取引が開始される1月24日前後が重要な局面として意識される可能性も安易に予想できる。
機関投資家への影響
ウォール街の超大型金融機関を筆頭とした機関投資家の資金流入は2018年に下落を続ける仮想通貨市場の回復につながるシナリオとして期待されている。機関投資家の市場参入を呼び込むファンダメンタルズとしてビットコインETFのSECによる認可が挙げられるが、アメリカでブロックチェーンに特化した弁護士として定評のあるJake Chervinsky氏は「Bakktのビットコイン先物取引開始は、機関投資家からの資金流入を促す可能性において、ビットコインETFと同等の重要性を持つ」と語っている。
4/ ICE entering crypto feels like a big deal. It's an established, respected & powerful player in the finance industry.
— Jake Chervinsky (@jchervinsky) 2018年11月6日
In other words, large institutions trust ICE with their money, including those institutional investors who many people think are key to the next bull run.
ICE(インターコンチネンタル取引所)の機関投資家からの信頼の厚さを考慮すると、ICEが仮想通貨に参入する意味合いは大きく、Chervinsky氏は次の強気相場の引き金となり得るかもしれないと相場の期待感をまとめた。
ビットコインETF申請への影響
またもう一つBakktに注目すべき理由として、上述のビットコインETFへの良い影響を与える可能性がある点だ。ETF商品は証券を規制する米国のSECの認可が必要である上、無論ビットコインの先物取引も規制当局の認可が必要である。
しかしETFとの相違点としてあるのはビットコイン先物はコモディティのデリバティブ商品として規制される為、米国のCFTC(商品先物取引委員会)に規制される。
ビットコイン申請が認可されなかった理由の一つとして、米SEC(証券取引委員会)は申請されたETF商品の担保となっていたCboeやCMEのビットコイン先物取引商品における流動性の低さを課題として指摘していた。しかし、Bakktの参入でSECの見方は変わるかもしれないと仮想通貨専門家のJoseph Young氏は説明した。
Bakkt will officially begin clearing Bitcoin futures on Dec 12, 2018.
— Joseph Young (@iamjosephyoung) 2018年10月22日
Previously, the US SEC rejected 9 Bitcoin ETFs that based their price on the futures market because the BTC futures market was not sufficiently liquid.
The entrance of Bakkt could change the viewpoint of SEC pic.twitter.com/BhGRCR7Qe2
Bakktが12月12日からビットコイン先物の取引を開始。
以前、SECはビットコインETFを却下した際、ビットコイン先物市場の規模と流動性の不足を却下した理由の一つとして挙げていた。
Bakktの参入はSECの見方を変えるかもしれない。
このような理由からも、2019年1月に開始するBakktのビットコイン先物取引は重要ファンダとなる可能性が予想される。
背景
Bakktは8月上旬に急遽発表がされ、米経済番組のCNBCで司会を務めるBrian Kelly氏は「ビットコイン市場にとって今年最大のニュース」と称するなど、市場から期待感が高まった。
その後、10月23日にBakktのビットコイン先物取引の開始予定日は12月12日になると発表されたが、約1ヶ月後には11月21日に2019年の1月24日まで延期することが発表された。
延期の理由として、Bakkt社のCEOであるKelly Loeffler氏は以下の3点を挙げた。
・顧客のオンボーディングを進めている
・米CFTCと連携して規制の認可を進めている
・興味度の高さとさらに準備を整える期間として1月24日まで延期
米ナスダック、来年上半期「ビットコイン先物」提供
世界No.2の出来高を記録する「証券取引所ナスダック」のコミュニケーション部門のバイスプレジデントを務めるJoseph Christinat氏は、「2019年の上半期で、ビットコイン先物取引を開始する」と発表した。
現在、多くのビットコインETFは米証券取引委員会(SEC)によって非承認とされているものの、ビットコイン先物取引においては、既に米国の規制下に置かれるシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)、シカゴ・オプション取引所(CBOE)で取引されている先例から、ナスダック版先物も実現しやすいとされている。
同社のChristinat氏は、仮想通貨市場に多大な人気が生じる5年前より、多くの労力や資金を注ぎ込んできたことを明らかにし、ナスダックの本気度が伺える。
ナスダックのような世界最大の新興企業向け株式市場へのビットコイン先物上場は、活気に欠けている今のビットコイン相場にとってトレンド転換する好材料とされており、Bakktのビットコイン先物開始や、フィデリティの機関投資家向けの取引サービスに加え、より多くの機関投資家の参入に期待感が高まっている。
なお、ナスダックからの発表が行われる前に、11月27日に、ニューヨークで開催された仮想通貨業界の重要会議Consensus Investにて、最注目ビットコインETF申請企業であるVanEck社のデジタル・アセット戦略部のディレクターを務めるGabor Gurbacs氏は、ナスダックと提携を結んだと発表した。
VanEckのインデックスとナスダックがインデックス技術分野で提携し、仮想通貨市場に向けて、ビットコイン先物取引などのデジタル・アセット商品の取引を提供する予定となった。
@Nasdaq and VanEck’s @MVISIndices announces #index #partnership and intention to bring to market transparent, regulated and surveilled #DigitalAssets products, such as #Bitcoin futures contracts. More info to come. Share & follow us. #crypto #futures #SMARTS #ConsensusInvest pic.twitter.com/Q2oCZx4pp1
— Gabor Gurbacs [Jan/3, 🔑] (@gaborgurbacs) 2018年11月27日
ナスダック、仮想通貨業界参入の重要性
世界的な取引所であるナスダックが仮想通貨事業に参入する重要点は主に以下の3点にまとめられる。
- 仮想通貨業界イメージ向上への貢献
- 投資家と規制当局からの信頼獲得
- 仮想通貨派生商品における健全な競合
イメージ向上
韓国取引所のUpbitやBithumbなどで、取引量の水増し疑惑が問題視されている。
他にもハッキングや仮想通貨の流出・盗難が世界各国の仮想通貨取引所で相次ぐ中、伝統的な金融業界で定評のある「ナスダック」が仮想通貨市場に進出することは、仮想通貨業界のイメージ向上につながると期待されている。
信頼獲得の可能性
ナスダックの業界参入メリットとして挙げられているのが、機関投資家や規制当局からの「仮想通貨」に対する信頼獲得だ。
先月末にナスダックがVan Eck社と提携を発表する以前から、同取引所は世界でもトップ水準を誇る独自の市場監視技術、「SMART」をSBI、ジェミニなど複数の仮想通貨取引所に提供しており、相場操縦など、仮想通貨業界で頻繁に発覚する不正行為の抑止・探知することができる。
その為、業界のイメージ向上だけではなく、実際に仮想通貨取引所に対するスタンダードを底上げする可能性もある。
健全な競合
さらにナスダックが今後、ビットコイン先物取引などの仮想通貨商品を提供した場合、仮想通貨商品の取引する選択肢が現状より増えることが挙げられる。
現在、機関投資家がビットコイン先物をポートフォリオに組み込みたいと考えた場合、選択肢にあがるのはCboeとCMEだけだ。しかし、Bakktが1月に先物取引を開始し、ナスダックも来年同様な商品を提供した場合、仮想通貨商品における健全な競合が期待でき、業界自体の発展と向上につながるかもしれない。
ビットコイン先物限月(SQ)について
ビットコイン市場では、2017年12月から米国のシカゴ・オプション取引所(Cboe)とシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)で「先物取引」が提供されている。
先物を利用しない一般投資家にも無関係ではなく、限月(先物期限の満期日)が近付くにつれ、機関投資家などによる「ポジション解消の大量売買」が行われ、仮想通貨市場が動く可能性があるため、注意が必要だ。
先物取引とは、「特定商品を将来の指定日にいくらで売買するかを、予め約束する契約」のことで、デリバティブ(金融派生商品)の一種で、盗難やハッキング被害のリスクがないため、機関投資家にも重宝されてきた。
日本では、江戸時代に盛んだった米(農産物)の売買に関して、天候によって豊作・不作が変動しやすいことから、収穫前に行うリスクヘッジの一環として生まれたとされている。
CEM(シカゴ・マーカンタイル取引所)で取り扱うビットコイン先物限月(SQ)については、公式サイト上で、
と解説している。
つまり、一定の期間が過ぎると、投機取引のほとんどが取引最終日までに反対売買(買建ての場合は売り、売建ての場合は買戻し)を行うことにより、先物契約を解消する必要がある。反対売買が行われない建玉に関しては、ビットコイン参照基準レート(BRR)に基づいて差金決済される。
期日前後の市場への影響
ビットコイン価格の影響について、米調査会社ファンドストラット・グローバル・アドバイザーズのアナリストでCEOのトム・リー氏は、ビットコイン価格下落の原因は6月中旬のCboe先物の期日にあると言及しており、「ビットコイン先物期日前の10日間で、BTC価格は平均18%減少、6日後には回復する傾向がある」と分析している。
Bitcoin futures hit record volume of 12,878 contracts on Tuesday, equivalent to 64,390 bitcoins with a notional value of $530M. Learn more about #Bitcoin futures. https://t.co/AIsPztBU6V pic.twitter.com/7RIRL2qZ3A
— CMEGroup (@CMEGroup) 2018年7月25日
実際、8月15日(日本時間16日 午前4時45分)に期日を迎えた、Cboeのビットコイン先物8月物決済日には、直接的な影響こそ軽微だったものの、ビットコインFXで仕掛け売りが入ったことでBTC価格が乱高下するなど、間接的な影響を与えることもあった。
Trading terminates at 4:00 p.m. London time on the last Friday of the contract month.
CMEグループ公式サイト
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