900億円相当の資産を押収
破綻した暗号資産(仮想通貨)取引所FTXのサム・バンクマン=フリード前CEO(以下「SBF」)らに紐づく資産として、米国の司法省(DOJ)が押収した資産総額が7億ドル(約900億円)に上ることが20日に明らかになった。
裁判所提出資料でニューヨーク州南部地区の連邦検事Damian Williams氏は、10種類の別々の口座に保有されていた株式、現金、仮想通貨で構成される資産について、今後SBF被告らの有罪判決が決定した段階で没収可能とすることを求めている。
押収した資産の中にはロビンフッド(HOOD)社の株式5,500万株(時価681億円)が含まれる。連邦検察は、HOOD株が盗まれた疑いのある顧客資金4億5600万ドル(約600億円)を使って購入されたと主張しているが、被告側は起訴内容を否定している。
HOOD株と併せて2,000万米ドル(27億円)が、SBFとFTXの共同創設者Gary Wang氏の持ち株会社(Emergent Fidelity Technologies)名義の口座に保持されていた。
また、バハマのFTX Digital Markets名義の3つの口座から、計1億7,100万米ドル(220億円)が押収されている。
仮想通貨取引所大手バイナンスと、米国支社バイナンスUSの3つの口座も差し押さえられたが、資産価値は未公開だ。
これらの口座は1月4日から1月19日の間に米政府当局によって押収された。
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HOOD株の行く末は
特に5,500万単位のHOOD株については、22年11月に米連邦破産法11条(チャプターイレブン)に基づく破産申請を行ったFTXの資産整理の一環で、資金を回収したいFTX債権者(融資会社BlockFiなど)や現経営陣、弁護士費用を捻出したいSBF被告らの間で所有権を巡る法廷闘争が起きていた。
米政府は1月初旬に押収したHOOD株などの資産について、マネーロンダリングや電信詐欺などの犯罪に関わる刑法、および民法違反の収益、またはそれにつながる財産であるとして、破産プロセスの凍結処置の対象外にあると主張していた。
これらの資産が没収された場合、その後の資金の使途は現在のところ定かではない。史上最大の詐欺事件とされる「バーナード・マドフ事件」では、米国司法省没収資産分配プログラム「マドフ救済基金(MVF)」を通して没収金を被害者に返還している。
SBF被告は3日の公聴会で8つの刑事告発について無罪を主張しており、公判は23年10月2日から開始することが決定していた。