マクロ経済と金融市場
前週末17日の米NY株式市場では、ダウは前日比384ドル(1.1%)安、ナスダックは86ドル(0.74%)安で取引を終えた。
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米銀行の破綻が相次ぐ中、金融大手クレディス・スイスの経営懸念が急速に台頭するなど、世界的な金融不安の高まりが背景にある。
一方、スイス投資銀大手UBSがクレディ・スイスの巨額買収に合意したことが伝わり、懸念後退につながった。米株安を受け、東京株式市場では日経平均株価が続落した。UBSの買収が下値を支えたものの、景気後退懸念も根強く、売り先行の状況は続く。
世界的に前例のないペースで急速な利上げが続く中、表沙汰になった金融機関の経営破綻および財政懸念は氷山の一角とされるほか、クレディ・スイスが発行していた多額の劣後債・AT1債(約2.2兆円)が無価値になったことも大手投資運用会社への影響は必至であり、市場心理を悪化させたものとみられる。
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仮想通貨市況
暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコインは前日比1.15%高の27,512ドルに。
一時28,300ドルを上回り、2021年の強気相場の底値である28,800ドルに迫ったが、その後反落した。
20日に日米欧の中央銀行が協調して「ドル資金の供給強化」を発表するなど、金融不安の払拭に努める動きがある。投資会社アライアンス・バーンスタインのアナリストらは昨今の仮想通貨上昇について、「リスクプロファイルの見直しによるものだ」と述べた。
このような金融危機リスクにおいて、リーマン・ショック後の2009年1月に誕生したビットコインの真価が問われている。
ビットコインのジェネシス・ブロックには、「金融危機における中央銀行2度目の救済」を報じた英Times紙の見出しを模倣した『Chancellor on brink of second bailout for bank』の文字が刻まれており、中央銀行および伝統金融市場に対する“アンチテーゼ”とみなされてきた。
各国で法定通貨が大量増刷されるなか、インフレーションによる物価高の高止まりで相対的に現金及び預貯金の価値が目減りする状況にあることからも、“価値の保存手段”として金(ゴールド)やビットコインといった代替資産への逃避需要が発生しやすい。
新興国では、アルゼンチンの年間インフレ率は22年3月時点の55.1%からさらに急進。23年2月に100%を超え、30年ぶりの高値を記録した。今年2月の仮想通貨相場の下落局面では、BTCがドル建てで34%下落したのに対し、アルゼンチン・ペソ建てでは20%上昇したという。そのような経済や自国通貨が極端に不安定な国々では代替資産として重宝される。
米銀シリコンバレーバンク(SVB)の経営破綻やクレディス・スイスの金融不安も影響し、安全資産とされる金価格もビットコインとともに高騰している。NY金先物価格は今年1月の高値を上回る1トロイオンス=1988ドルまで上昇した。
米金融当局の利上げペースの減速および停止思惑がビットコイン上昇の主因と見る向きもある。米連邦公開市場委員会(FOMC)を日本時間23日3時に控える中、様子見基調が強まる可能性もありそうだ。
次回FOMCでは25bpsの利上げを現時点で7割ほど織り込んでいるが、「インフレ抑制」のための急速な金融引き締め断行が銀行破綻へつながった側面が指摘される中、「金融システムの安定」を優先し、このタイミングでピボット(政策転換)を示唆すべきかどうか極めて難しい舵取りを迫られる。
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