「クリプト規制・保護・透明性・監視法」
米ニューヨーク州のレティシア・ジェームズ司法長官は5日、全米をリードするような包括的な暗号資産(仮想通貨)規制案を提示した。
仮想通貨業界の透明性を高め、利益相反を防ぎ、他の金融サービスと同様の投資家保護措置を課すものだ。仮想通貨取引所には独立した公開監査や、詐欺などの被害者となったユーザーに弁済することを義務付ける内容を盛り込んでいる。
この「クリプト(暗号)規制・保護・透明性・監視法(CRPTO)」について、ジェームズ長官は、次のように説明した。
仮想通貨セクターで詐欺や機能不全が横行している今、この数十億ドル規模の業界に法と秩序をもたらす必要がある。
ニューヨークの投資家は、彼らの資金を保護するための安全装置があるという安心感を持つべきだ。すべての投資会社は投資家の資金に責任を持つよう規制されており、仮想通貨も例外ではない。
この(金融業界一般からすると)常識的な規制は仮想通貨業界の透明性と監視を強化し、当局が法律違反を取り締まる能力を強化する。
法案の主なポイントとしては、以下の点が挙げられている。
- 利益相反行為を食い止める
- 財務諸表の開示を要求する
- 投資家保護の強化
法律違反については、個人に対して約135万円(1万ドル)、企業に対して約1,350万円(10万ドル)の民事罰やその他賠償金を課すこと、詐欺を行った事業を閉鎖することなども盛り込まれた。
また、ニューヨーク州規制当局が仮想通貨事業者にライセンスを付与する権限を成文化するものでもある。
不正流出被害者への弁済も提案
利益相反を防ぐ方法としては、主に次の項目を挙げた。
- 仮想通貨ブローカーやマーケットプレイスが、自分のアカウントで取引できないようにする
- マーケットプレイスや投資顧問が、顧客資金を保管することを禁止
- ブローカーが顧客の資産を貸し借りすることを禁止
- 事業者が、仮想通貨発行者、マーケットプレイス、ブローカー、投資顧問など複数活動の所有権を一手に持つことを防ぐ
財務諸表に関しては、独立した監査を必須とし、監査済み財務諸表を公開することを義務付けている。リスク情報やトークン上場基準などの公開も課す。
さらに投資家保護については、プラットフォームからの不正な資金流出や詐欺被害があった場合に、事業者がユーザーに失われた資金を払い戻すことも要求している。
以上のようなジェームズ司法長官の新法案は、一部の州議会議員らから賛同も得ているところだ。ジェームズ長官の声明には、12人の民主党議員が名前を連ねた。
ニューヨーク州司法長官とは
ニューヨーク州の最高法務責任者。ニューヨークの市民、組織、天然資源の法的権利の保護者としての役割を果たしている。司法長官事務所には、700人以上の弁護士をはじめ、その他1,800人以上の職員が属す。
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