CoinPostで今最も読まれています

IBM、「デジタルユーロ」普及のための鍵を考察

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

デジタルユーロを成功させるための提案

IBMコンサルティングは8月30日、欧州連合(EU)の中央銀行デジタル通貨(CBDC)として構想されているデジタルユーロについての考察を発表した。デジタルユーロを成功に導く方法を分析している。

IBMコンサルティングは、主に次の5つを成功要因として挙げた。

  1. 既存の決済レールを土台に機能強化
  2. 規制枠組みPSD2をデジタルユーロAPIで拡張
  3. 少額近接決済で強力なプライバシー保護を提供
  4. トークン化経済などを実現するため、中央管理型の分散型台帳を導入
  5. サンドボックス制度内で、最少額からシステムを構築

CBDCとは

各国・地域の中央銀行が発行するデジタル化された通貨を指す。「Central Bank Digital Currency」の略である。仮想通貨との大きな違いは、CBDCは法定通貨であること。通貨の管理や決済等においてコスト削減や効率性向上が期待できる一方で、個人情報やプライバシーの保護、セキュリティ対策、金融システムへの影響など考慮すべき課題は多い。

▶️仮想通貨用語集

提案の詳細

まず、デジタルユーロが社会で受け入れられるかどうかは、コストや技術などの問題に加えて、操作のシンプルさや、すでに存在している決済手段と使い勝手や操作性が似ているかどうかにも大きく左右されると論じている。

そこで、既存の決済システムやそうしたシステムの標準から利益を引き出しつつ、必要な場合には機能強化を図ることが望まれるとする形だ。なお、すでに欧州委員会(EC)も、こうした提案を行っている。

次に、規制枠組みPSD2を活用することについて言及した。PSD2(Payment Services Directive 2)とは、EUにおける決済サービスと電子マネーに関する規制枠組みで、サードパーティの決済プロバイダーが、ユーザーの銀行口座へアクセスすることやセキュリティ基準向上などを定めているものだ。

IBMコンサルティングは、フィンテック企業やその他様々なサードパーティ企業などが、デジタルユーロをサポートすることが、デジタルユーロを普及させる鍵になると意見している。

その上で、PSD2のルールを、デジタルユーロに特化した標準インターフェースでセキュリティ機能などの面で強化することを提案した。

3番目の提案としては、スマホをタッチするなどして行う「近接決済」について、強力なプライバシー保護を設定することにより、デジタルユーロをより普及させることが期待できるとしている。

4番目には中央管理型の分散型台帳を導入することを挙げた。

デジタルユーロにおいては、デジタルのシステムや仮想世界、トークン化経済との相互運用性も重要になると指摘。そのためには、分散型台帳技術(DLT)は、強力なプライバシー保護機能を実現するゼロ知識証明と組み合わせることが可能である点などが有望だとしている。

ゼロ知識証明とは

証明(Proof)プロトコルの一種であり、証明者が「自身の主張は真実である」以外の情報を検証者に開示することなく、その主張が「真実である」と証明するメカニズム。例えば、送金者、受取人、送金額などの取引内容を第三者に明かすことなく、その取引が不正でないことを証明することができる。

▶️仮想通貨用語集

IBMコンサルティングは最後に、デジタルユーロのシステム構築においては、文化の異なるEU諸国における多数のユーザー、既存の仲介業者、次世代決済インフラの準備、関連する規制枠組みなど様々な要素が複雑に絡まると述べた。

このため、まずは最小限で実行可能な範囲から試すのが一番であるとしている。特定の範囲で規制緩和してテストを行うサンドボックス制度などを立ち上げることも選択肢の一つとした。

なお、欧州中央銀行(ECB)のクリスティーヌ・ラガルド総裁は6月、今年10月末までに、デジタルユーロ創設について決定を下す予定だと発言している。

関連欧州中銀、デジタルユーロの法案を協議へ

注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
09/22 金曜日
16:29
大手VCパラダイム「仮想通貨は新たな惑星のようなもの」 投機需要も欠かせないと見る理由
仮想通貨関連技術に特化した米大手ベンチャーキャピタルParadigmは、「火星のカジノ」と題した論説で、仮想通貨を新しい惑星に例え、投機的な投資も「移住の起動プロセスの一部」として欠かせないものだと主張した。
16:15
セガ三国志大戦IP活用のBCG「Battle of Three Kingdoms」、動画初公開
  三国志大戦のIP活用BCGのチュートリアル動画公開 セガの人気ゲーム『三国志大戦』のIPを活用し、double jump.tokyo株式会社が開発を手がける新作ブロックチェ…
14:00
米FRB「資産のトークン化」に警鐘
米FRBは、トークン化が金融安定性に及ぼす影響について詳細に調査した論文を公開した。トークン化がデジタル資産のエコシステムと伝統的な金融システムとの相互接続を促進し、伝統的な金融システムに新たなリスクをもたらす可能性があると指摘している。
13:40
「Proof of Play」、a16zなどから約50億円調達
ブロックチェーンゲーム企業「Proof of Play」はシードラウンドで約49億円を調達した。プレイヤーが世界構築に参加できるWeb3ゲームを開発していく。
12:17
ビットコイン続落、FOMC後の金融引き締め長期化懸念で日米株安進む
暗号資産(仮想通貨)相場でビットコインが続落した。FOMCにおけるFRBの2024年の金融政策見通し悪化を受け、株安が進んでいる。
12:00
10年ぶりの日銀総裁交代、植田新総裁の金融政策は
2023年4月8日に黒田前総裁が退任し、翌9日より植田新総裁が就任し新体制へ。黒田前総裁は10年間でどのような政策をとり、経済・市場環境にどのような影響を与えたのか、また植田新総裁の現時点で発表されている政策による今後の影響も解説します。
11:45
韓国釜山市がWeb3産業育成に本腰 取引所も設立へ
韓国の釜山市はブロックチェーン育成関連の計画を発表。独自メインネットやデジタル資産取引所、100億円規模の育成ファンドを立ち上げるとしている。
11:00
チューリンガムの親会社クシム、Zaif親会社と経営統合へ
Web3企業チューリンガムの親会社クシムは、カイカエクスチェンジホールディングスと経営統合することを取締役会で決議したと発表した。仮想通貨取引所Zaifの運営企業も連結対象となる予定。
08:45
バイナンス、ETHのガス代を1日で計1億円相当支払い
仮想通貨取引所バイナンスは21日に、イーサリアムのガス代を1日で合計1.2億円相当も支払ったことがわかった。バイナンスの担当者が経緯を説明している。
08:10
恐怖指数上昇 米国株続落、日銀マイナス0.1%金利維持|22日金融短観
本日米NYダウは続落。ナスダックとS&P500は6月以来の安値となった。昨日のFOMC会合では市場の予測通りに金利据え置きが発表されたが、年内1回の追加利上げの可能性が示唆された余波を受けた形だ。
05:52
欧州MiCA法施行に向けてバイナンスのステーブルコイン対応は|22日朝の重要速報まとめ
仮想通貨取引所バイナンスは来年6月までに欧州市場でステーブルコインの上場廃止を検討しているか。CZ氏は報道を否定した。
09/21 木曜日
18:00
仮想通貨擬人化BCG「コインムスメ」がSTEPN運営と提携、GMTアイドル「ジェムティ」誕生
ブロックチェーンゲーム「コインムスメ」は、STEPN運営Find Satoshi Labとの提携により誕生した「ジェムティ(GMT)」のデザインを公開した。限定NFT200枚を抽選でプレゼントする企画も行われる。
16:56
コナミ初のweb3プロジェクト「ZIRCON」、東京ゲームショウで発表
コナミがweb3進出 国内ゲーム大手企業のコナミデジタルエンタテインメントは21日、「東京ゲームショウ2023(TGS2023)」のステージにおいて、ブロックチェーン技術を活用…
15:42
マウントゴックス弁済期限、2024年10月まで延長
2014年に経営破綻した仮想通貨取引所、マウントゴックスの債権者へのビットコインや現金による弁済の期限が、1年延長されることが確認された。弁済先情報が提供されている債権者に関しては、年内に弁済を開始する可能性もあるとしている。
14:44
「ゲソてん byGMO」ブロックチェーンゲームを統合へ
GMOメディア株式会社は、ゲーム特化型ブロックチェーン「Oasys」のレイヤー2であり、ゲームプラットフォームとして機能する「GESOTEN Verse(仮)」の開発を発表。従来のWeb2ゲームポータル「ゲソてん byGMO」とユーザー基盤を連携する。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
イベント情報
一覧
重要指標
一覧
新着指標
一覧