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欧州中銀理事、ステーブルコインのリスクをデジタルユーロと比較

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

ステーブルコインのリスクを指摘

欧州中央銀行理事のファビオ・パネッタ氏は4日、欧州議会の経済金融委員会で、EUの中央銀行デジタル通貨(CBDC)であるデジタルユーロについて話した。

その中で、デジタルユーロと比較した場合の、PayPalなど民間の決済サービスプロバイダーが提供するステーブルコインのリスクについて述べている。

まず、民間企業の目的は顧客ベースを拡大し、市場シェアを獲得することであるため、ステーブルコインの提供するサービス範囲を適切に制限するインセンティブがないと指摘した。さらに、次のように続けている。

民間企業には、自社の決済ソリューションを現在すでに使用されている決済手段と互換性のあるものにするインセンティブがない可能性がある。

また、他のデジタル分野でそうしたことが起きたように、大手ハイテク企業やその他の大手決済プロバイダーの市場参入は当初イノベーションを促進するかもしれないが、そうした企業が独占的な地位を獲得した場合、競争が大幅に妨げられる可能性がある。

パネッタ氏は、現在はプラス金利の環境により、ステーブルコインの準備資産から利子収益が得られるため、民間企業にとっては低コストでサービスを提供できる有利な状況にあるとも指摘した。

特に、今回の発言は米国の送金サービス大手PayPalが8月7日に、米ドル建てステーブルコイン「PayPal USD(PYUSD)」を新たにローンチしたことを踏まえたものとなっている。

PYUSDは世界的な大手企業による初のステーブルコインで、米ドルや短期国債、その他の現金同等物で裏付けられるものだ。

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さらに、米決済大手Visaも今月5日、加盟店契約会社へのソラナUSDC決済機能の拡大を発表したところだ。試運転段階だが、Visaの加盟店契約会社はソラナ(SOL)基盤のステーブルコインであるUSDコイン(USDC)で取引を決済できるようになる。

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ステーブルコインとは

価格が常に安定している(stable)仮想通貨を指す。ステーブルコインは暗号資産の一種で、BTCやETH、XRPなど変動性のある資産とは異なり、米ドルなどに裏付けられその価値を保つことが目的だ。米ドルの裏付けによるステーブルコイン(USDT・USDC)のほか、アルゴリズムを利用するステーブルコインもある。

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デジタルユーロのメリットを強調

パネッタ氏は、デジタルユーロの場合は、欧州の規制枠組みに基づいて公的な当局によって提供されるものであり、金融セクター全体の状況にも十分な注意を払いながら、決済サービスプロバイダーに革新的なプラットフォームを提供するものだと強調した。

民間企業のステーブルコインとは異なり、デジタルユーロでは銀行やその他の決済サービスプロバイダーも市民に配布する役割を担うことになり、その顧客との関係を維持できると述べている。独占のリスクは避けられると示唆する格好だ。

また、欧州中銀は、デジタルユーロが既存の決済方法と完全に互換性を持ち、すべての人にとって魅力的なものとなるよう、欧州の民間決済サービスプロバイダーなど関係者と共同作業を行っていくとも話した。

現在提案されているデジタルユーロの設計では、決済に際して最高レベルのプライバシーが保証されるとも付け加えている。EU外の決済プロバイダーへの依存を減らすことで、自主性と柔軟性が強化されるとも述べた。

欧州中銀のクリスティーヌ・ラガルド総裁は、同行が今年10月末までに、デジタルユーロ創設について決定を下す予定だとしている。

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