CoinPostで今最も読まれています

「サム被告の富と権力は、嘘の上に築かれた砂上の楼閣」検察が主張、FTX前CEO裁判

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

双方が冒頭陳述

2日目を迎えた米大手暗号資産(仮想通貨)取引所FTXのサム・バンクマン=フリード前CEOに対する裁判で4日、検察と弁護団が冒頭陳述を行い、それぞれ大きく異なる主張を展開した。

前日完了しなかった陪審員の選出が終了すると、検察側から冒頭陳述を行った。

ルイス・カプラン判事が「映画の予告編のようなもの」と形容する冒頭陳述で、検察側はまず、「1年前、世界の頂点にいるように見えた」バンクマン=フリード被告の富と権力、そして影響力は「嘘の上に築かれていた」と指摘。同被告が大規模な詐欺を働き、多数の被害者から巨額の資金を巻き上げたと主張した。

対する弁護側は、被告は「誰も騙しておらず、誠実に行動した」と主張。スタートアップとしてのFTXと姉妹企業アラメダ・リサーチの運営を「飛行機を組み立てながら飛行させるようなもの」にたとえ、CEOが全てに目を行き届かせることの困難さを強調した。

検察は、バンクマン=フリード被告が故意に、FTXの顧客資金を「秘密のルート」を通じて、アラメダ・リサーチへ不正に流用したと主張。そのやり口を次のように説明した。

  1. 顧客がFTXに米ドルを入金する際には、自身の口座に入金していると告げる
  2. 一方、顧客資金はFTXではなく、アラメダにリンクされた口座に入金される

検察は、被告が銀行に「嘘をついて」アラメダの銀行口座を開設し、顧客にも嘘をついていたと非難した。

さらに、顧客のデジタルウォレットには、アラメダが引き出すことが可能なソフトウェアのコードが書き込まれ、顧客の保有する仮想通貨に被告らがアクセスし、その流用を可能にしていたという。

弁護側は、FTXとアラミダには「ビジネス関係」があったが、極めて「合理的」なものであり、アラメダがFTXに口座をもち、FTXから多額の融資を受けていたことは「全く問題ない」と主張した。また、FTXは当初、ドルを受け入れる銀行口座を持っていなかったため、アラメダの口座を使用したと説明した。

検察は、バンクマン=フリード被告が顧客資金を自身の投資に注ぎ込み、ワシントンDCでは巨額の政治献金を行ったと指摘。その後、被告はアラメダのローン返済に、FTXからさらに顧客資金を引き出し、虚偽の財務諸表の作成を指示したと述べた。

しかし、被告は、米国議会でFTXは顧客資金を流用していないと証言。ツイッター(現X)でも「FTXとその資金に問題はない」と繰り返し述べていた。しかし、それは虚偽であり、恋愛関係にあったアラメダの前CEOキャロライン・エリソン被告を含むごく一部の側近とだけ、事実を共有し「より多くの資金を得るために嘘をつき続けた」と検察は主張している。

弁護側は、「誠実な信念を持った」被告によって、盗みは行われておらず、「壮大な詐欺計画もなかった」と主張。2022年の5月から11月にかけて、仮想通貨市場を「嵐が襲った」ため、アラメダは大きな損失を出したが、アラメダのCEOに就任したエリソン被告が、大幅な価格変動に対するヘッジ対策を行なっていなかったことを非難した。

関連:FTXサム前CEO 初公判始まる

二人の証人

同日の審議では、二人の証人が証言を行った。

一人は、バンクマン=フリード被告のマサチューセッツ工科大学(MIT)時代からの長年の友人で、FTXでソフトウェア開発をおこなっていたアダム・イェディディア氏。同氏は2021年にFTXに復帰し、同年10月から2022年11月の初めまで、被告と8人の従業員と共に、バハマのペントハウスで過ごした人物だ。

イェディディア氏は、FTX破綻直前に、アラメダがローン返済にFTXの顧客資金を利用したことを知り、辞任。被告に会ったのはそれが最後だと述べた。同氏は、自身が作成したコードが、不正な顧客資金の流用などに寄与した可能性を懸念して、自身の意志で証言を行うことにしたという。なお、同氏は政府から訴追免責を付与されている。

イェディディア氏は、バンクマン=フリード被告と幹部らが、顧客にはFTXの口座は安全で、いつでも預金を引き出すことができると繰り返し約束する一方で、顧客の同意なしに、その使途を明かすことなく、顧客資金を流用していたと証言した。

もう一人の証言は、コモディティトレーダーのマーク・ジュリアード氏でFTXで仮想通貨の取引をおこなっていたユーザーの一人。ジュリアード氏は、「仮想通貨業界のリーダーという印象」を持ったバンクマン=フリード被告を信頼し、FTXで多額の取引を行なっていたが、FTXに預けてある約1億8,000万円(10万GBP)を回収できていないという。

FTXからの資金の引き出し問題が浮上した際には、出金処理は順調であるというバンクマン=フリード被告のツイッターの投稿を信じ、2022年11月8日まで資金を引き出さなかったと証言した。

仮想通貨のリスクは理解していたが、自身の資金を取引所によって流用される「契約」は結んでいないと述べた。

次なる証人

公判3日目となる5日には、米VC大手セコイアの元パートナーであるマット・フアン氏と、FTXの共同創設者である、ゲイリー・ワン氏が証言台に立つ予定だ。

昨年12月に起訴されたワン氏はすでに刑事責任を認め、検察当局に協力することに合意している。

関連テスラ・仮想通貨関連銘全面高、予想以下の米指標で国債利回り低下|5日金融短観

注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
11:41
ビットコイン1年半ぶり4万ドル水準へ、株式市場では「仮想通貨関連銘柄」が全面高に
暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコインETF(上場投資信託)の上場承認期待やFRBの利上げ終了観測が強まったことで、BTCは4万ドルの節目を1年半ぶりに上回った。米国株ではコインベース株が大幅上昇しているほか、マネックスやセレス株など関連銘柄に資金が集まった。
12/03 日曜日
11:30
米経済減速続けばビットコイン上抜けは時間の問題か|bitbankアナリスト寄稿
3.8万ドル付近を底堅く推移する今週のビットコインチャートを図解。国内大手取引所bitbankのアナリストが今後の展望を読み解く。オンチェーンデータも掲載。
11:00
週刊仮想通貨ニュース|マイクロストラテジーのBTC買い増しに高い関心
今週は、マイクロストラテジーが仮想通貨ビットコインを買い増ししたニュースや、金持ち父さん著者ロバート・キヨサキ氏がビットコインなどの資産への投資を推奨していることを書いた記事が関心を集めている。
12/02 土曜日
16:25
エルサルバドルのブケレ大統領、2024年再選を見据え職務離脱へ
暗号資産(仮想通貨)ビットコイン支持者で知られる、エルサルバドルのナイブ・ブケレ大統領が総選挙キャンペーンのため職を離れる。再選を目指す中で、国内政治のチェック・アンド・バランスの弱体化と、国際関係への影響を探る。
14:00
2024年に半減期を迎えるビットコインは約1800万円到達、Matrixport分析
Matrixportによる暗号資産(仮想通貨)ビットコインの価格予測を深掘り。2024年に1835万円到達の可能性、歴史的なデータ分析、マクロ経済要因と地政学的影響を詳細に解説。ビットコイン投資の未来を探る。
13:00
米サークル社、「テロ資金調達への関与はない」
ステーブルコイン「USDC」を提供するサークル社は、公開書簡を米議員らに提出。テロ資金など不正金融への関与はないと強調した。
12:00
イーサリアム運用で高利回りを実現、Cegaのデュアルカレンシー戦略とは?
セガ・ファイナンスが新しいオプション戦略「デュアルカレンシー」を発表。暗号資産(仮想通貨)イーサリアム、stETH、USDCホルダーに向けて、年利22%以上の収益を提供。この戦略は、リスクを最小限に抑えつつ、市場での高い固定利回りを実現する。
10:45
コインベースCEOがBaseトークン発行を否定 ソラナなどの統合計画も
米仮想通貨取引所コインベースのCEOは、イーサリアムL2「Base」に関する展望について話した。独自トークンや取引高速化について説明している。
09:55
コインベース・マイニング株大幅高、ビットコイン年初来高値更新|2日金融短観
本日のNYダウは+294.6ドルと続伸し、債券市場は反発した。この日にパウエル連邦準備制度理事会議長の発言からトーンダウンが示唆され2024年にFRBが利下げに動くとの観測がますます広がった格好だ。
08:30
Starknet独自通貨の無料配布、スナップショット実施済み
仮想通貨イーサリアムのL2「Starknet」は今週SNSで出回っていたSTRKトークンのエアドロップのスクリーンショットの真贋を確認し権利獲得にあたるスナップショットはすでに実施されたことを明かした。
07:20
ビットコイン価格は24年に上昇加速か=グレースケールレポート
仮想通貨運用会社グレースケールは、2023年11月版の市況レポートを公開。2024年は複数の条件が重なることによって、ビットコインの価格に上昇圧力がかかる可能性があるとの見解を示している。
06:50
ビットコインETFの上場申請めぐり今週3社目のSEC面談、専門家が承認楽観視
米SECは、GBTCから現物型ビットコインETFへの転換申請について、今週29日に申請側のグレースケール(2度目)と会議を行ったことが判明した。仮想通貨ビットコインは年初来高値を更新した。
06:00
ソラナDEX「Jupiter」、仮想通貨JUP無料配布の事前確認ページ公開
ソラナ基盤の分散型取引所アグリゲーター「Jupiter Exchange」は独自トークン「JUP」の無料配布(エアドロップ)計画について、事前確認の公式ページを公開した。
12/01 金曜日
17:41
「暗号資産の投資状況と確定申告」に関する調査、年内取引で約7割が利益
Aerial Partnersが2023年の暗号資産取引調査結果を公開。ビットコインなどの現物取引だけでなく、PoS銘柄のステーキング利用度が高まりつつあり、利益を出している投資家増加に伴い「確定申告」の必要性も上がっている。
16:03
米投資会社タイガー・グローバル、BAYCやOpenSea投資の評価額を大幅下方修正
タイガー・グローバル・マネジメントが、有名なNFTコレクション「Bored Ape Yacht Club」(BAYC)と主要なNFTマーケットプレイスであるOpenSeaへの投資により、大幅な含み損を抱えていると報じられた。同社の直近の投資動向と報告内容についてまとめる。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア